Arcana
主人公:アルカナ 赤髪でロングのウェーブヘア 白いワンピースを着ている 修道士
arcana意味 ラテン語でarcanum=アルカーヌムの複数形arcanaであり、「机の引き出し」の意味から引き出しに「隠されたもの」を指し、さらに転じて「秘密」「神秘」などの意味になった。
子どもたちが、アルカナの元へ走っていく。ユーリがアルカナに向かって口を開く。
「先生!今日はどんなお話を聞かせてくれるんですか?」
キラキラした瞳でアルカナに問う。尻尾がついていたら今頃ブンブンと振っていただろう。アルカナは空を見上げる。青空が広がっていて、天気が良い。アルカナは悩むように腕を組み、頭を傾げた。
「うーん、そうだなぁ。」
「じゃあ先生の昔話して!」
「私の昔話?まぁいいでしょう特別よ?」
口に人差し指をつけて言う。また空を見上げたアルカナは思い出すように目を細めた。
これは私がまだ17,18歳だった頃の話よ。今私が何歳ですかって?秘密よ。レディーにそんな野暮なこと聞くんじゃありません。
私が17,18歳の頃の時代はまだこんなに裕福ではなかったのよ。戦争の時代だったからね。今のこんなにも綺麗な芝生も昔は焼けて焦げていたのよ。まぁもう何10ン年も前の話よ。
その時はね今はもう殆どいない魔法使いがいてね。魔法使いたちの戦争だったのよ。私は騎士だった。正義を貫く騎士だったんだけどね。え?そんな風に見ない?って。女騎士も珍しかったわね。
それでねまんまとお偉いさん方に嵌められていたんだけど。あのときは何も考えず、突っ走っていたわ。これが正しいんだってね。
でもある時、街の視察に行っていて、本当にひどい状態だったわ。あちこちに家とは言えない廃墟があったの。雨風凌げないようなそんな家。その時、馬に乗っていたんだけど、街に入った瞬間に異変を感じたの。何この匂いって思ったんだけどすぐに察したの。これは人間の死体が腐ったものだってね。
私はすぐに探したわ。生きている人間をね。やっとの思いで、見つけたの。でもね人間じゃなかったのよ。いえ、人間の形をしていなかったの。ただただ喋れるだけのゲル状の塊だったわ。眼球が取れかけていて呼吸も浅かった。色は黄色で、口は裂けているように大きかったわ。今でもあの匂いが染み付いて、ゲル状の生き物が頭から離れないの。
私は目を疑った。こんな生物がこの世にいたなんて信じられなかった。だから目を背けた。これが私の罪。あなた達も罰を受けてここに来たでしょう?私もなのよ。
その後は私騎士をやめたの。逃げた、責務から。私は正義を貫くのをやめた。その現状を伝えられる勇気さえなかった。だから私はせめてと思い、またその街に行って何百の死体を火葬して墓を作ったの。それが今のミュータル高原の墓。あそこも本当は街だったのよ。
あのゲル状の生き物については未だに解明されていないわ。気付いた頃にはいなかったわ。なんの噂も聞かなくなって自然とゆっくり消息不明になっていったのよ。
魔法使いの百年も続いた戦争も終息した。それがミナーサ戦争と呼ばれるものよ。え?千年も昔の戦争だって?あらもうそんなに経ってたのね。アルカナは何者なの?って。ふふふ、さあね秘密よ。そんなこんなで今私がここにいるのよ。あなた達の世話係兼教育係としてね。
「そろそろ、お勉強の時間よ?家に帰りましょうか」
「えーアルカナもうちょっとお話聞かせてよ!」
「ふふ。勉強が終わったらね」
読んでくれてありがとうございます!
私はヒロインではありません。も読んでくださると嬉しい限りです!
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