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ヴァイオレット・ステージ  作者: 秋葉缶
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スノウ

ひまりは放課後に1人で電車に乗り、沼津の千本浜という海岸に来ていた。


次の日が休みということもあり自校の生徒に見つかる事のない場所でリフレッシュしようと思ったからだ。


「〜♩」


鼻歌を歌いながら浜辺を歩くひまり。


「ふ〜。中学まで成績なんて気にしてなかったつもりだけど…なんかやっぱり悔しいや」


「澪ちゃんと舞子ちゃんはB級。2人とも凄いな〜」


「エリノアちゃんに限ってはA級…駿河学園でA級はこれで2人目だとか。雲の上の存在だね〜」


「いや、まだ一年生の前期だし…実戦はBあるって言ってもらえたんだ。嫌だけど勉強も頑張ろう…!!」


自分で自分を勇気づけるひまり。


その時だった。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………



「え、なになに!?」



目の前にある海が地響きに似た音を発し始める。

地震かと思ったが次の光景を観てその考えを捨てた。


「なんじゃあれ!?」


海水が持ち上がり渦を巻きながら数十m規模の球体を作り出した。

それと同時に嵐が来たかのように天気が崩れて、ピカッ!と落雷が鳴り響く。

周囲の鳥は危険を察知し一斉に飛び立った。


球体は荒ぶっており今なお膨れ続けている。



「なにが、起きているの…?」



この世の終わりかと思うような光景に呆然と立ち尽くすひまり。


膨れ続けていた水球が突如破裂した。

バァァァァァン!!!と兵器並の威力で破裂する球体。

飛び散った水の塊が周囲の木々を薙ぎ払っていく。



「うわぁぁぁぁあ!!!」



ひまりはあまりの風圧に耐えきれずに転がってしまう。



「いたたた…」



何とか起き上がり先ほどまで球体があった場所に目を向ける。



「あれは……」



最初に認識できたのは中世で着られていたような女性用の一般服だった。

次に、銀色のロングヘアにモデルのような端正な顔立ち、透き通るような白い肌。

白のイメージとは裏腹に、周囲に黒い稲妻を纏わせながら、1人の美少女が宙に浮いていた。

頭には骨董品のような髪飾りをつけていた。


「あ…あ…」



ひまりは震えが止まらなかった。

目の前のアイドル?はこれまで見てきた中でも格が違うと感じたからだ。

服装に反し神様のように神々しい、彼女の一挙一動から目を離すことができない。見惚れていたのではなく恐怖心から。


数秒後、宙に浮いていた彼女がひまりを認識した。



「誰あなた?」


「ひっ!!く、草薙ひまりです!!」


「あなたが私を呼んだのかしら?」


「違います!海で黄昏ていただけで…」


「ふぅーん…」


興味深そうにひまりをじっと見る謎の少女。


「あの…あなたは?」


「スノウ」


「スノウちゃん!いいお名前ですね〜」


「…」


「あはは」


「(会話はできるのか!!けどこの子が危険な存在であることに変わりはない!アイドル協会に通報しないと…!!)」


ポケットからスマホを取り出そうとするひまり。

しかしその手が白い手に阻まれた。


「私の許可無しに行動しないでくれる?」


「っ!!!」


ひまりと謎の少女の距離は30m程だった。

しかし彼女は一瞬で距離を詰めてひまりの動きを止めた。


「(嘘でしょ…速すぎるよ!!)」


「ん…この感触、あなたアイドルなの?」


「へぇ…触っただけで分かるもんなんだ」


顔を引きつらせながら何とか返事をするひまり。


「この腕の腫れは攻撃の副作用ね。…なるほど、他のアイドルとの戦闘で負ってしまったと」


「な、何でそこまで分かるんですか!?」


謎の少女はひまりを階段付近に投げ飛ばした。


「うわわ!!」


「失せなさい。あなたは召喚者ではないようだから」


「(た、助かった…?)」


謎の少女は完全にひまりに興味を無くしたようで海を眺めていた。


「し、失礼しまーす…」


恐る恐るその場から立ち去ろうとするひまり。

すると謎の少女は急に表情が険しくなり臨戦体制に入った。


「ぎゃあ!私は帰るだけですよ!?」


「……」


「…?」


しかし彼女が睨んでいる先はひまりではなく何もない虚空だった。

直後、天空に眩い光の球体が出現し中から1人の少女が現れた。


白色のドレスを着用し、素朴な短剣を握っていた。

銀髪のツインテールが靡く紫の美しい瞳が印象的な少女だ。


「サファイア…久しぶりね」


「えぇ。ようやく貴方を見つけられました」


サファイアと呼ばれたツインテールの少女は切先をスノウに向ける。


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