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ヴァイオレット・ステージ  作者: 秋葉缶
16/27

ひまり、死す!!!

2人は家に帰った後、ひまりはコーヒー、サファイアはオレンジジュースをコップに入れテレビゲームをする事にした。


「サファイアちゃんはゲームをした事あるかな?」


「ネモさんの研究室で過ごしている時にスマホで学校生活体験ゲームとやらを少ししました。凄くリアルで生徒を殴ったりするとすぐに警察に通報されるんですよ」


「サファイアちゃんがゲームの中でNPC殴ってる姿想像するとちょっと面白いな…」


「今からは何のゲームをするんですか?」


「じゃじゃん!このBUCGっていうバトロワゲームをします!」


「おぉ!」


「100人に1人だけ生き残れる銃を使ったゲームだよ!広いマップの好きな場所にヘリから飛び降りて色んな場所に落っこちている銃を拾って戦い抜くんだ。私とサファイアちゃんはペアね」


「よろしくお願いします!」


「あ…間違えて4人マッチにしちゃった」


「ということは…」


「うん、私たちの他に2人参加するよ」


「ワクワクですね」


ひまりはパンダの着ぐるみのキャラ。サファイアは初期装備で何もなく下着だけしか履いていないおっさんのキャラを使いゲームを始めた。


ハンドルネームはそれぞれ「ひまわり」、「ツインテ」である。



『きゅるりん⭐︎ご主人様方、よろしくね!』



「おわぁ!?」


「ゲームから人の声が聞こえてきましたよ!」


「ボイスチャット入れっぱだった。まぁいいや、よろしくお願いします!!」


「よろしくお願いします!」


ボイスチャットをしてきた人物は『きゅるりんポップ』というハンドルネームのキャラみたいだ。


2人ともそれぞれ挨拶した。


きゅるりんポップはメイド服で上下揃えたいかにも課金してそうな装備だ。


「あれ…?」


「どしたのサファイアちゃん?」


「な、なんでもないです!(なんかこの声どこかで聞いたような…)」


4人いたが1人は回線切れですぐさま3人になった。


サファイアは不慣れながら廃屋の中のアサルトライフルを装備して射撃の練習をしている。


『ツインテちゃんはこのゲーム初めてだったよね?分かんないことがあったらきゅるりん⭐︎に相談してほしいなっ!』


「ありがとうございます。けど、これなら前ネモさんの研究室でやったゲームと操作が同じですね!お役に立てそうです!」


『ネモさんの研究室?』


きゅるりんポップが急に使ったアニメ声でなく地声に戻る。

あまりに声に落差があったため、サファイアは驚きを隠せない。


「きゅるりんさん!?」


『あ、何でもないよー!さぁ敵を殲滅しに行こうっ!』


「っしゃあ!!」


ひまりはいい武器を手に入れたためか、きゅるりんポップの変化に気づかず銃を乱射している。


3人は順調に敵を倒していき、敵の数は残り10人になっていた。


「ここまできたら一位狙いたいですね!」


サファイアは即戦力となり、何故かフライパンを装備して敵を叩き殺しまくっていた。



「うぎゃぁぁぁぁ!!!!」



「ひまりさん!?」


ひまりが聞いたことないような叫び声をあげて後ろに倒れた。

よく見るとひまりのキャラが頭を撃たれて即死していた。


『ひまわりちゃん逝っちゃったね!私とツインテちゃんで彼女の意志をつごう!』


「は、はいっ!」


ゲーム内で撃たれたひまりだったが現実世界でもショックのためか横に倒れていた。




『いだだだだだ!!!』


サファイアが古い家屋から飛び出た瞬間、きゅるりん⭐︎ポップが叫んだ。

どうやら遠くからマシンガンで撃たれているようだ。


「きゅるりんさん!建物に隠れて回復してください!」


サファイアがきゅるりんを撃っている敵に向かって威嚇射撃を行う。

敵もダメージを負ったのか木の後ろに隠れ回復しているようだった。


『ツインテちゃん!助かるよ⭐︎』


「残り5人…という事は私たちを入れて後3人倒せば終わりですよ!!」


サファイアときゅるりんは岩陰に隠れて周囲を見渡す。

ヒュン!とかなり遠くから彼女らに向けてライフルの弾が飛んできた。


『およっ!どこかなぁ?』


「スコープが無いから敵の場所が分かっても狙えませんね…」


『私も2スコしかないや。けど向きは分かった。南西の方角だよ!』


「あ!確かに点みたいに表示されてますけど3人動いていますね」


『となれば残り1チーム。持ってる分のスモークグレネードを投げて身を隠しながら特攻しよう!!』


「分かりました!えいっえいっ!!」


2人とも持ちうる全てのスモークを投げながら敵に突き進んでいく。

敵は銃を乱射してきており、自分たちの姿が相手には見えにくいと言っても数発は当たる。


『ここまで来たら十分!ソイヤッ!!」


きゅるりんは今度はスモークではなく、グレネードを敵陣地に投げる。

敵の3人はまとまっていたため一網打尽にできた。


画面には「優勝!」の文字が表示される。


『おおおおおお!!やったね2人とも!!』


「ひまりさん見てください!優勝ですよ!」


「おぉ〜!なかなかやるな君たち」


何故か上から目線のひまりだが3人で喜びを分かち合う。


『そうだ、ツインテちゃんとひまわりちゃん、良かったらフレンド登録しとかない?』


「良いですね!お願いします」


ひまりが快く承諾した後に、きゅるりんは続ける。


『どーする?もうひと試合行く?』


「そろそろ夜ご飯買いに行かないと行かないのでお暇しますぜ」


「そういえば良い時間ですね」


『そっかそっか。姉妹仲良くて良いね!私も晩御飯買いに行こうかな〜』


「ふふふ可愛い妹ですよ。じゃあ乙ですー」


『はーい⭐︎お疲れ!」


ブツン、と通信が切れ、ひまりもゲームの電源を消す。


「中々に元気な方でしたね」


「だねー。もしかして配信とかやってるのかな?結構声作ってたし」


「う〜ん…」


「どしたの、ツインテちゃん」


「HNで呼ばないでください!いや、なんか…きゅるりんさんの声何処かで聞き覚えがあるんですよね」


「本当に?私は分からなかったな」


「勘違いかもしれません。ご飯買いにいきましょうか」



2人はマイバッグを持って、静岡駅内の地下のスーパーに晩飯の買い出しに行った。


「そういや訓練場で出会った女の人怖かったね〜」


ひまりが訓練所で出会った女性、鬼無円(きなしまどか)について思い出していた。

大人にネチネチ怒られた事がなかったひまりは少し凹んでいたのだ。


サファイアもひまりに同調した。


「確かにあれほど殺気を帯びた方も珍しい。それに口だけでなく実力もありそうでしたね」


「そういや上級とかなんとか言ってたね。今度エリノアちゃんに聞いてみるか…」


「ですね。それで今日は晩御飯はどうするんですか?」


「そうだな〜。昼間お寿司食べたからお金無いんだよね。お米買っておにぎりでも作ろうか」


「あの小さな白い粒の塊ですか。私あれ好きです!」


「米の表現すごいね」


2人はスーパーの米売り場でできるだけ安いお米を選んでいる、その時だった。

後ろから一番値段の高い米を取ろうと後ろから女が入り込んできた。


「失礼」


「あ、どうぞ…って、あ!!」


ひまりがその女の顔を見て驚愕する。




「鬼無さん…!?」


「あ、あなたたち…」




鬼無はさっきの今でまさか再び出会うとは思ってなかったのだろう。

すこしひまり達を見て、面食らっているようだった。


「確か…モロコシ太郎…!!」


「いや、それネタですって!本名はひまりですよ!」


「私はサファイアです」


「あぁ、そうだったね。そうか、駿河学園だとこの辺に住んでるのか…」


鬼無は制服ではなく、上は安そうな白Tシャツ、下はダボっとしたズボンを履いている。

完全にオフモードといった感じで、威厳を示したばかりのひまり達には出会いたくないファッションだろう。


「鬼無さんもこの辺に住んでいるんですか?」


ひまりが鬼無に尋ねる。

鬼無は凄く答えたくなさそうな顔をしながら「そうだよ」と呟いた。


「協会の人もスーパーとか行くんですね。なんか新鮮…。今日は何にするんですか?」


ズイズイ聞いてくるひまりにますます嫌な顔をしながら「まだ決まってない」と返答した。

サファイアは興味深そうに鬼無に視線を向けていた。


そんなサファイアが気になったのか鬼無は彼女に声をかけた。


「サファイアさんだっけ。何か用?」


「もしかして…きゅるりんポップさんですか?」



「」



鬼無が硬直する。

時間でも止まったかの様に口を軽く開けながら停止した。


「いやいや、何言ってんのサファイアちゃん!」


「きゅるりんポップさんが一瞬発した地声でもしかしたらと思っていましたが…鬼無さんがきゅるりんポップだったんですね」


ひまりは鬼無に視線を向けるが、真顔で全身をブルブル震わせる彼女を見て「マジ…?」という表情になった。


「あなた達」


「はいっ!?」


ようやく口を開いた鬼無に軍人のようにいい返事をするひまり。


「今夜何か食べたいものありますか?」


「……はい?」


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