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ヴァイオレット・ステージ  作者: 秋葉缶
15/27

訓練!!

放課後


授業をほぼ受けていない3人は放課後に自主練をする事になった。

ひまりは澪と舞子も誘おうとしたが舞子はアルバイト。

澪はというと…。


「ごめん、私今日ボランティア活動あるから」


澪は先日、雷果と街中で戦闘した件でペナルティとして静岡駅周辺のゴミを片付けるボランティア活動を一日義務付けられていた。


「結構大変でさ、掃除した箇所をビフォーアフターでスマホで記録しないといけないんだよね。また明日以降遊びとか誘ってよ」


「私たちも手伝った方がいいかな?」


「いいって、暴れたの私だし。それよりサファイアに鍛えてもらった方が有意義だよ。suruga⭐︎oneが協会主催の大会に出る事になった時のためにね」


「分かった!頑張ってね澪ちゃん!!」


「あいよ、そっちもね」


という事で学外にある特別訓練場という場所にに3人で向かう事にした。


本当は学内で訓練したかったひまりだが放課後はサッカーや野球部等普通の部活が活動で使うため、他所で行うことを余儀なくされた。


場所はJR安倍川駅のすぐ近くにある。


訓練場に着いた3人は思い思いを吐露する。


「静岡から一駅とはいえ学校終わりに来るのは少し大変だね〜」


「電車なんて乗ったの久しぶりでしたわ…」


「お、エリノアちゃんは普段どうやって移動してるの?」


「基本運転手が送迎してくれますわ」


「流石お金持ち…」


「しかしひまりさんはともかく、エリノアさんは大丈夫なんですか?私との戦いでかなり大技を使ってたように見えますが」


サファイアがエリノアを心配する。


「心配無用ですわ。私の【ヴォルテックス•ディヴァイン】は日に3度までは撃てますから」


「よし!じゃあ特訓していこうか。2人とも何したい?」


「わたくしはサファイアさんにいろいろ教わりたいですわ!」


「奇遇だねーエリノアちゃん。私もだよ、というわけで…」


「え、と…」


「「よろしくお願いします!!」」


2人の声が重なる。

もう先生になるしかないサファイアであった。




「はい、では私が先生ということで…エリノアさんはなにか自分が足りていないと思うところはありますか?」


「課題点ですね。私は…うーん、自分で言うのもなんですけど機動力も攻撃力もあると自負していますわ。強いて言うなら防御が苦手かもしれませんわね」


「防御は大事ですよね。攻撃を全て避けるのも良いですが、スキルの中には『必中』でこちらに向かってくるものもあります。そういう場合防御に頼らざるを得ない場面もありますから」


「常に雷を身に纏っておく…とかでしょうか?」


「たしかにそれだけでも攻撃しにくくなるでしょうね。出来そうですか?」


「練習してみますわ」


「一旦エリノアさんの課題は決まりましたね…次はひまりさん」


「私かぁ〜」


「そういえば私、ひまりさんの戦闘はしっかりと見たことありませんね」


「あ、そっか。サファイアちゃんには【ヴァイオレット•ブラスト】しか見せてないもんね」


「正直C級というのが信じられない強さですわよ」


エリノアがフォローをいれる。


「あはは!まぁ勉強苦手だからね。私のスキルは【ツヴァイハンダー】。虚空から剣を生成させて戦う事ができるよ」


ひまりは説明しながらツヴァイハンダーを顕現させた。


「澪さんが雷果さんと戦った時も使ってましたね」


「うん!顕現時間は10分。切れ味を自分で決めることもできるから、模擬戦では木刀並みに切れ味を落として戦ってるよ」


「へぇ…そうだったんですね。気づきませんでしたわ」


「模擬戦で人死が出たらヤバいからね…。後はエリノアちゃんは知ってる通り、剣に纏っている紫のオーラを斬撃として相手にぶつけたり、1日1回が限度だけど【ヴァイオレット・ブラスト】っていう高火力のビームが撃てるよ!」


「けど、それを撃つと確か腕を痛めるんですよね?」


「ま、まぁ…」


「それ、私と一緒なら克服できるかもしれません」


「ほう?」


「今から【ヴァイオレット・ブラスト】を撃ってください。私も一緒に剣を握るので」


「へ?まぁ良いけど…どこに撃つの?ここからなら市街地まで被害出ちゃうよ」


「わたくしの【ヴォルテックス・ディヴァイン】にぶつけてください」


「いいの?エリノアちゃん」


「わたくしも練習になりますからね。遠慮なく撃ち込んできてきださい!!」


「いよっし…そういう事なら」


ひまりとサファイアは訓練所の端まで移動する。

おおよそエリノアとの距離50m。


エリノアが手を振って合図を送った。



「【ヴォルテックス・ディヴァイン】!!!」



ギャオオオオオオ!!!と雷龍が本日二度目の降臨。

改めてひまりはその存在感に圧倒される。


「ひまりさん剣を握って」


「う、うん」


「私を信じて撃ってください」


「分かった!!」


サファイアと共にツヴァイハンダーを握るひまり。



「「【ヴァイオレット・ブラスト】!!!!!」」



なぜかサファイアも一緒に技名を叫んだ。

直後、紫の圧倒的火力の塊が、レーザーとしてエリノアに向かっていく。


ドォォォォォン!!!!!


先ほどの授業とは違い、周りに防音のスキルを張っていないため轟音が町中に響き渡る。


剣からは【ヴァイオレット・ブラスト】を発動させ続ける。

ひまり達は嵐の中にいるみたいに服や髪が靡いていた。

しかしひまりは笑顔で剣を握っている。


「腕が痛くない…!?」


「さすがひまりさんです。このレベルの火力を扱えるアイドルはそうはいないでしょう」


「サファイアちゃんは今何をしてくれてるの?」


「私の炎には『攻撃』と『治癒』の二種類があります。つまり『治癒』で、ひまりさんの腕が傷つく前に治しているのです」


「(そういえばサファイアちゃん一番初めにスノウちゃんと戦った時、致命傷を受けても治っていたな)」


「さて、そろそろエリノアさんがキツそうですね。もうやめてあげましょう」


「あ、そうだね」


ひまりが攻撃を止めると、エリノアはぐったりしてその場に座り込んだ。


「おーい、エリノアちゃん大丈夫?」


2人がエリノアに駆け寄ると、彼女は息を切らしながら首を横に振った。


「ぎ、ギリギリでしたわよ。相変わらずとんでもない威力してますね…ひまりさんにC級は益々不釣り合いですわ」


「次の一年最後の試験で絶対Aに上がってみせるよ!!」


「ふふ…お待ちしております」


「そういえばサファイアちゃんってスキルは【炎】だけど治癒もできるんだね」


「私も思いましたわ。同じ元素で色々な派生技を発動させられるのは当然として【炎】を治癒技として扱えるのは常識を超えている気がします」


「そんなものでしょうか…?」


当のサファイアはピンときていないようだ。

そんな彼女にエリノアは続ける。


「スキルというものは、基本的には1人1元素扱えるのが一般的です。雷なら雷の派生技。炎なら炎の派生技、という感じですわね。等級が上のアイドルほど使えるバリエーションが増えますわね。まぁ元素以外にも澪さんなら【肉体強化】のように他にも様々な種類があるんですけど…」


「私のE級の友達も【水】を使うんだけどバレーボールくらいの大きさの水球しか出せないって言ってたな…」


ひまりが思い出しながらポツリと呟いた。


「ごく稀に複数のスキルを使いこなすアイドルもいると聞きますが、サファイアさんもそのタイプかもしれませんわね。にしてもサファイアさんがいれば攻守ともに完璧なアイドルグループになりますわね…」


「あはは…けど私の【治癒】は自分は治せますが、他人も全て治せるわけではありません」


「ほほう?」


興味深そうにひまりが反応した。


「私が治せるのは肉体の相性がいいアイドルだけです。ひまりさんは私との体の相性がすごく良いみたいですね」


「なんか…破廉恥ですわ!サファイアさん!!」


エリノアが顔を赤らめながら叫んだ。

ひまりも隣で少し赤くなっている。


「な、なぜですか?」


相変わらず天然なサファイアであった。


そんな時、訓練場の上空から1人の女が降ってきた。


「え、だ、誰?」


慌てるひまりだがその制服には見覚えがあった。


「もしかしてアイドル協会の人?」


その女性は年齢20代前半といったところだろうか。

黒髪のウルフカットで毛先だけ緑に染めている。吊り目が印象的な、可愛いというよりカッコいいという感想が真っ先に出てくる女だ。

身長はエリノアと同じくらいか…かなりスタイルがいい。

協会指定の制服を着用してこちらを睨んでいる。


「私はアイドル協会静岡支部所属の鬼無円(きなしまどか)。階級は上級。さっきの轟音は君たちのせい?」


「あわわわ…めっちゃ怒ってるよあの人」


あまりの気迫にひまりはビビり倒しサファイアに抱きついている。

心なしかサファイア目を瞑って幸せそうな顔をしている。


エリノアが一歩前に踏み出し弁明する。


「私達は駿河学園の生徒ですわ。先ほどの音は私たちの演習が原因です」


「そう、何で防音スキルを持つ教師や私たち協会に頼らなかったのかな」


「う…それは…」


「今の音で驚いた子供や老人が怪我したらどうするの?運転中の人がいたら事故を起こすかも、そうなったら責任取れるのかな?取れないよね?」


「ひ……」


嫌味な大人の正論ラッシュにエリノアでさえ、押され気味だ。


「とにかく学校に報告させてもらうから。順番に名前を言いなさい、そこの茶髪の子から」


「モロコシ太郎です…」


「死にたいの?」


「ひぃぃ!!草薙ひまりです!!!」


「草薙サファイアです」


「津島エリノアですわ。(何故ボケたんですの…)」


「はい、分かりました。もう今日はトンボ掛けしてから帰りなさい」


「「「はい!!!」」」


三人は気合の入った部活の部員のように元気な返事を行い訓練所の足跡をさっぱりきれいに消してから帰路に着いた。


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