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ヴァイオレット・ステージ  作者: 秋葉缶
12/27

転入生

次の日、学校に着くとひまり達はプチ有名人になっていた。


「ひまり大丈夫だったの!?何かS級と喧嘩したって聞いたよ!?」


朝教室に入るとクラスの生徒達がひまりに詰め寄った。


「いや、私じゃなくて澪ちゃんが喧嘩したんだよ」


「あ、そうだよね。ひまりがS級なんかと戦ったら塵も残らなさそうだし…」


「いやいや!酷いな君たち!!」


「はい、皆席に着いて!」


ガララ、とドアを開けて担任の教師が入ってきた。


「お、ひまり。生きてたか」


担任までもひまりが喧嘩したと思っている始末だ。すかさずひまりはツッコミを入れる。


「アンタは知ってなさいよ!」


「冗談だ、協会からお前らのことは聞いたよ。澪、よく生き延びたな」


「どうも…」


担任としては澪を讃えたつもりだったのだろうが、「よく勝てたな」ならともかく、「生き延びたな」と評価の基準が低いことに素直に喜べない澪。


とはいえ澪も、新幹線ではひまりには強がったが、あの喧嘩が側から見たら雷果がほぼ一方的に攻めていたのは自覚していた。


「(上には上がいる。私も頑張んないとな〜。試験も今度は真面目に受けて等級Aは目指すかな)」


改めて意識する澪であった。


全員が席に着いたのを確認し、担任が話し始める。


「はい、知ってる人も多いと思うが澪が東京で他校のアイドルと衝突した。最近何かと悪い噂を耳にする東條学園の生徒だそうだ。静岡でそうそう出会うことはないと思うが、もし東京に遊びに行ったりする際は気をつけるように」


「うへへ、澪ちゃん有名人だね〜」


たった1日でそこまで話が広がるものかと、ひまりは流し目で澪をちゃかす。

対して澪は横の席のひまりにチョップをお見舞いする。


「では注意喚起も終わったところで転校生を紹介する」


「転校生ですか!?」


教室がざわめく中ひまりと澪、舞子だけはにこにこ笑っている。

扉が開き、銀髪ツインテールの美少女が入ってきた。


クラス内からは歓声があがる。

彼女が人間離れした神秘的な可愛さだったからだろう。


あちこちから「かわいい〜」や「肌白ーい」などの声が聞こえてくる。


壇上に上がりペコリとお辞儀する少女。

小さな口を開けて自己紹介を始める。


「東京から転校してきた『草薙サファイア』といいます。ひまりさんは私のお姉さんです。皆さんよろしくお願いします」


えー!とクラス中で驚きの声が上がった。


「そういう設定なのか……」


澪は隣にいたひまりにボソッと聞く。


「うん!私の双子の妹ってことになってるよ」


「ふーん」


サファイアの自己紹介が終わると、担任が声を上げた。


「ではみんな仲良くするように。では席は…エリノアの横で」


「えっ」


以前ひまりと模擬戦を行った雷の使い手のA級アイドル、エリノアが驚きの声を上げる。


何故か彼女は体に複数の切り傷を負っており、顔に数箇所バンドエイドを貼っていた。


「お前なら成績も優秀だし色々教えてやれるだろう。協会への就職も考えてるならこういう教育係の経験は活きると思うぞ」


「承知しました。ではサファイアさん、こちらに」


「あ、はい」


エリノアに席に案内されちょこんと椅子に座るサファイア。


「エリノアさん。よろしくお願いします」


「サファイアさんでしたね、こちらこそですわ」


席につくや否や、エリノアは何故かサファイアの顔をジーッと見つめている。

視線に耐えきれなくなったサファイアがエリノアに尋ねる。


「あ、あの…何か?」


「貴方…かなりやり手ではなくて?」


「やり手?」


「戦闘力という意味です。私先週に新たにA級に昇格した全国各地のメンバーと戦闘訓練を行っていたのですが、貴方からは彼女らのように強者特有のオーラのようなものを感じますわ」


「そ、そんな事ないですよ」


「ふーん……」


訝しむエリノアの視線から逃げるように顔を背けるサファイア。


「昼休憩が終わった後は、スキル発動の授業です。そこで一戦お相手してもらっていいですか?」


「えぇ〜…」


入学初日に厄介ごとに巻き込まれるサファイアであった。


授業はつつがなく進行し学生待望のお昼休み。

ひまりは澪、舞子、サファイアを連れて食堂でご飯を食べていた。



「エリノアちゃんに喧嘩を売られただと!?」



「声が大きいよひまり!!」


しかし突然ひまりの声が食堂に響き渡った。

澪が耳を抑えながら注意する。


「え、と…まぁ昼休憩後の実習で手合わせしてほしいと言われました」


唐揚げを口いっぱい頬張りながら、エリノアと何があったか詳しく話すサファイア。


「あ、あの野郎〜。代わりに私がやってやるか…!」


「ひまりは完全敗北したから無理でしょ〜」


澪がハンバーガーに齧り付きながら容赦ない一言をひまりに放つ。


「う…それはそうだけど」


舞子が野菜ジュースを片手にサファイアに問いかけた。


「そもそもサファイアちゃんって強いの?」


「それ私も思ってた。実際私と舞子はサファイアちゃんが戦ってるとこ見た事ないからね」


サファイアはまた箸を使う事にめんどくさくなったのか、残りの唐揚げを手づかみで食べ始めようとしたところをひまりに無言の圧力で止められた。


「ん…まぁ実際サファイアちゃんの戦闘を見た私だから分かるけど、suruga⭐︎oneで一番強いのはサファイアちゃんだよ。断言できる」


「へぇ…」


澪が面白いと言わんばかりに体からザワ…と殺気を放つ。

慌てて舞子が澪に抱きつき止めに入る。


「澪ちゃん、落ち着いてー!!」


「やめんか舞子!別に此処で暴れ出したりしないよ!!」


「今の私はかなり力が戻ってきた気がします。前スノウさんと戦った時は、もしかしたら連戦とかで消耗してたのかもしれませんね」


それを聞いてひまりは驚き、澪は不適な笑みを浮かべ、舞妓はデザートのプリンを食べ始めていた。


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