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ヴァイオレット・ステージ  作者: 秋葉缶
10/27

再び協会へ

協会所属のアイドル、ネモは普段研究職をしている。

研究対象はアイドル、スキルの起源、スキル以前の能力について等。

その他にも新入職員に座学を教えたり、相談を受けたりと協会にとっていなくてはならない存在で人望も熱い。


毎日の激務で疲れている彼女だが、今日はあまり会うことのない女子高生達とお話ができてリフレッシュになり、疲れが少し和らいだ気がしていた。


また話したいな〜と思いながら協会の外にあるベンチに腰掛けてると目の前に護送車が止まった。


「護送車か…またどこかのアイドルが悪さでもしでかしたのかな?」


中から出てきた人物は手錠をかけられており、周りにいる軍服のアイドル達が彼女を取り囲んでいた。

だがその人物にネモは見覚えがあった。


青いポニーテールの長身の女子高生。

先ほど会話を楽しんだ松浦澪その人だった。


「あ、ネモさん!さっきぶりですね!」


「えぇ…」




取調室に澪、ひまり、サファイア、盗撮した男が呼ばれていた。


「って何でアンタもいるんじゃい!!」


ひまりが男に指を向け突っ込んだ。


「ふひひ、僕が今回の事件で1番の被害者だからね。いくら慰謝料がもらえるか楽しみだよ〜」


「いや、盗撮したから連行されてるんでしょうが!!」


「それなら多分警察が僕を逮捕するはずだよ。きっとあのクソ生意気な金髪女にいくら賠償させるかの話し合いだよ。にしてもただのニートオタクの僕が24区の、それも協会本部に入れるなんて思ってもみなかったなぁグヒヒw」


「あの…それよりあの少女に受けた傷は大丈夫でしたか?かなり重い一撃でしたけど」


サファイアが男を気遣う。


「救護班の可愛い女の子に塗ってもらった傷薬でだいぶ楽になったよぉ。ふひひ…やっぱり君は天使だねぇ」


そんなやりとりをしていると扉が開き、先ほど澪と雷果を仲裁したアイドル、水面白子が入ってきた。


「お待たせしました。それでは事情聴取を取っていきます」


「その前に答えてほしいな。あいつを何故追わなかったのか」


澪が開口一番白子に問いかける。


「……東條学園とは互いに不可侵の条約を結んでいるからです」


言いにくそうに、目を背けながら話す白子。

当然そんな回答に納得できる澪ではない。


「いやいや、不可侵とか意味わからないよ。アイドルの犯罪は警察では対処できないからこその協会でしょう。そんな対応じゃ一般人は安心して生活できないよ」


「(ひぃ〜澪ちゃんクレーマーみたいだ)」


「その通りだと思います。我々もあの場で逮捕できるならしていた。しかし、仮に彼女が本気で抵抗してきた場合、9thアイドルの私とS級の彼女がぶつかり合った場合どうなると思いますか?」


「…多分私が戦った時より街は大変な事になるね」


「そこなのです。知っていますか?東條学園はティアマトというアイドルグループがあります」


「あぁ、なんか去り際そんな事言ってたね」


「ティアマトのメンバーは全部で5人。一人一人がS級アイドルです」


「全員S級!?」


ひまりが絶叫する。

全国に10数人しかいないS級の内5人がティアマトにいるとなれば驚くのは当然だろう。


「そんなアイドルグループと私たち『クラス持ち』が対立すれば街は大変な事になる。だからティアマトのメンバーと我々は互いに不可侵の条約を結んでいます」


「それで、多少の素行の悪さは身逃すよって事?ビビってるって思われても仕方ないよ」


「その代わり…我々はティアマトのみならず東條学園の生徒の持つスキルについて開示ができます」


「そんなの向こうは拒否するのでは…」


サファイアがおずおずと口を挟む。

拒否できるのなら強大な力を持つ東條学園は情報開示しないだろう。


「もちろんこちらのスキルによって強制的に開示させます。そういうアイドルがいますから…。だがこちらがそれを行うと向こうは感知はできる。これにより不可侵がギリギリ保たれていた…」


「いた?」


「えぇ。先ほどの天堂雷果の暴れ様。あんなの以前の東條学園ではあり得ない事だった。東條学園はティアマトという最強の矛を得た事で本来行いたかった計画を実行しようとしているのかもしれない。そのためには我々との戦争も辞さないという姿勢で」


「計画って何なんですか?」


ひまりが出されたお茶を飲みながら質問した。


「どうやら東條学園…というよりティアマトは原初のアイドルを使って何かしようとしているようです」


「えっ!?それって…」


ひまりは思い当たる。

先日戦った規格外のアイドルの事を。


「ひまりさんが戦った者が原初のアイドルの可能性も否定はできません。事実、顕現時は中世頃の服を着ていたんでしょう?しかも複数のスキルを扱える…我々の常識をこえていますからね」



それを聞いて澪はようやく緊張を緩め口を開いた。



「話が脱線してきたね。白子さん、言ってくれてありがとう。貴方もクラス持ちで私たちから見たら何でもできるヒーローみたいな扱いだったけど、何か…サラリーマンみたいに苦労してるんだね」


「サラリーマン…まぁ我々は公務員みたいなものですから。ところで気になっていたのですが」


「何?」


「そこの男性は誰なんですか?」


ずっと蚊帳の外だった男にようやく話題が回ってくる。


「ぶひっ!?用があって連れてきたんじゃ無いの!?」


「すみません。部下の手違いだったようです。貴方は帰っていいですよ」


「ざけんな!僕の腹殴ったあの女に慰謝料請求するために来たんだぞ!」


「それは失礼。部下を呼びますので、その者に詳しく話していただければと思います」


「ふひひ!美人で頼むぞ!!」


「うわぁ。欲望に忠実だ」


ひまりがゲンナリした様子でオタクを見ていた。


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