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作者: 1月の海馬

埋めたい」


子供の頃から穴に何か

埋めるのが癖で、

おもちゃの野菜、腕の取れた人形、音の出ない変身ブレスレットも埋めた。

特に自分の大切な宝物は

綺麗な穴に埋める。

綺麗な穴を手掘りするのは大変で

ゆっくりじっくり時間をかけて

まん丸な穴をつくる。

タイムカプセルやお気に入りの

ぬいぐるみは一週間かけて作った

最高の穴に埋めてあげた。



私は母子家庭なので、

昔で言う鍵っ子だった私は、

1人の時、

よく庭に穴を掘っていて、いつも

気が付くと夜になっているから

都合がよかったな。

母も私の癖に気付いていたけど

注意されることが無かったのは、

私に興味が無かったからだろう。

高校の卒業証書も筒ごと埋めた。




それから少しずつ

穴への欲望を他の欲で埋める術を

憶えられたのは良かったのか、

まあ、そういうものなのか。





今、久しぶりに穴を掘ってる

母のいない実家の庭



雑な穴

業者に頼んで掘った汚い穴




今まではどうしようもない男

ばっかりだったけど、

大和は違ったから結婚もしたし、


色んなとこで働いたし、 

何でもしてあげたんだ。

そしたらいままでで一番 

どうしようもない男になって、だから

投げ捨てようと思ったら、

無理やり引っ付いてくる、剥がそうとしても剥がれない、痛い、

身体中痛い。


「埋めたい」



こんなに何かを埋めたい

衝動にかられたのは初めて。


お前には汚い穴がお似合いだろう


男「本当にいいですね」

葵「お金はもう渡したでしょ」


男「じゃいきますね」


轟音でショベルカーが動き出し

器用に土をすくっている。


今夜は星一つ見えない暗闇。


埋まってしまえ、早く、

埋まってしまえ

そしたら私の欲望は埋まるの。


葵「やっぱり自分で掘れば

  良かったな」


そんな事を考えいたら

ショベルカーから降り注ぐ土が

あっと言う間に


私の身体を半分位埋めていた。






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