表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/79

38.殿方って狡いですわ

 殿方って狡いですわ。執事ランベルトが用意したパラソルの下で、唇を尖らせる。目の前で、弟ダヴィードが手合わせをしていた。その相手は、騎士になったばかりのカスト様で、なんとも楽しそう。すぐに仲良くなってしまうのは、本当に狡い。


「いかがなさいました?」


「私も剣術を習えばよかったわ」


 そうしたら一緒に立てたのに。不満を口にした私に目を丸くした後、ランベルトの表情が柔らかくなりました。どうしたのかしら、普通は窘める場面ではなくて?


「希望を口にできるようになり、ほっとしました。以前のお嬢様は何でも我慢して飲み込んでおられましたから」


 いつ崩壊するか、心配だったと微笑む老執事に私が驚いた。そんなふうに見えていたのね。張り詰めた皮袋に穴が空くように、突然破裂してしまうと心配されてたなんて。まったく気づきませんでした。


 剣術の練習が始まってすぐ、ダヴィードの癖に気付いたカスト様が口を挟み、軽い口論になりました。剣術を教えるのは、シモーニの分家タルティーニ子爵家の嫡男です。その行儀よいマナー通りの剣術に、カスト様が否と口に出しました。


 曰く、行儀がいい太刀筋は見切られやすい。君主が身につける剣術は型通りの物だけでなく、生き残るための実践術も必要なのだと。意見自体は受け入れられましたが、ダヴィードがしばらく反発しました。


 カスト様の言葉が正しいと理解しながらも、中々従おうとしません。我が侭な弟を叱るべきか、迷う私の前でカスト様は己の実力でダヴィードに認めさせました。圧倒的な実力差、それでいて型通りの剣術も舞のように見事です。やり込められたダヴィードは、見違えるようにカスト様に懐いてしまって。


 姉である私は王都にいて会えず、他の兄弟姉妹がいない一人っ子で育ったこの子は、こうして叱ってくれる頼れる兄が欲しかったのかもしれません。仲のいい二人の姿に、私の小さな嫉妬なんて、吹き飛んでしまいました。


「少し休憩をなさって」


 タオルと冷たい水を用意させ、三人を手招く。タルティーニ子爵令息もカスト様の訓練に加わり、手合わせも行っていました。飲みやすいように檸檬と蜂蜜を加えた水を手渡し、タオルも差し出す。


 全員が真っ赤な顔になるのを見て、いいタイミングだったと安心しました。暑い中で無理をすると倒れてしまいますから。


「ありがとうございます、お姉さま」


「恐れ入ります」


 カスト様の微笑みを向けられた途端、私の顔が(ほて)るのがわかりました。顔が真っ赤なのではないかしら。恥ずかしい。両手で頬を包み、俯いた肩を髪が滑り落ちました。


「姫、具合がお悪いのでしょうか」


 心配そうに覗き込まないで。勢いよく首を横に振り、私はその場から逃げ出しました。呼びかけるカスト様やダヴィードの声を無視して、必死で自室に向かう私。階段で足を踏み外し、ふわりと体が浮いた感じに強張ります。落下の痛みを覚悟した私を、逞しい腕が支えてくれました。


「ありがと……っ!」


 ランベルトだと思ったのに、お礼を向けた相手はカスト様でした。安堵に緩んだ体がまた硬直し、意識が遠のきます。なんてこと! 王家に嫁ぐと決められた私に触れるなんて、カスト様のお命が危ないわ。そこで私の意識は途絶えてしまいました。



***********

新年明けましてo(〃>ω<)oおめでとうございますぅ!! 本年もヾ(*・ω・*)ノヨロシクデス(o*_ _)o))ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ