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【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

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21.身支度を終えて、晴れた空を夢見る

 執事ランベルトの素早い動きで、最低限の荷物が纏められる。残った荷物を整理し処分してから向かうと告げる彼に、屋敷は残すよう伝えた。本心としては処分しても構わないのだが、現時点で王妃殿下を刺激することはない。父リベルトの判断に、私は首をかしげた。


 屋敷を処分しないことが、王妃様に関係あるなんて。貴族間のしきたりやマナーで、まだ私の知らないこともあったのね。明日の朝出発と言われ、慌てて侍女と自室へ駆け込んだ。ドレスや家具などかさばる物は後回しにした。


「大切な思い出の品と貴金属だけ用意しなさい、とお父様は仰ってたわね」


 旅の間の着替えは侍女が用意する。もちろん動きやすさや寛げる服ばかりとなり、靴も踵の低い物が多かった。普段使いの髪飾りなども一緒に梱包され、夜会用ドレスはクローゼットに残す。後でランベルトが輸送の手配をしてくれるから……あとは、これね。


 ベッドサイドに飾っていた家族の絵姿と、私の日記を手に取った。王宮の王妃様にも見せたことがない、私の個人的な日記を小さな箱に入れて持ち出し用に分類する。愛用のペンやお気に入りのショールも一緒に入れた。


 貴金属は専用の宝石箱に入っている。それらは顔を見せたランベルトに預けた。侍女に渡して届けてもらってもいいけれど、紛失などの事故があれば侍女の責任を問われる。だから高級な品を彼女達に預けないのは、私なりのマナーだった。


 王宮で見かけた騒動以降、ずっとそうしている。あの日は王子妃教育で登城し、夜会のレッスンを行う予定だった。マナーの確認も行われるので貴金属を含め、完璧に着飾った姿を取る。ダンスやマナーのチェックが終わり、普段から着用する絹のロングワンピースに着替えた後、その騒動は起きた。


 外した装身具を預かった侍女が青ざめた顔で飛び込んできたのだ。屋敷に戻すドレスと一緒に預けたのだが、私の自室の手前で転んだのだと言う。落ちたケースから転がり出たお飾りのひとつが見つからない、と。王妃様はひどくお怒りになって、その侍女を罰した。暴れて泣き叫ぶ彼女を見て、与えられる罰を想像して恐ろしくなった。


 屋敷に戻り、ランベルトにその話を打ち明けた時……彼が提示した解決方法がこれだった。高級な品は執事や家令と言った上級使用人に預けること。預ける際は中身を一緒に確認することだ。簡単だけれど、これで事故は防げる。執事や家令は屋敷にある金庫を使用する権利を持っているため、すぐにしまえば紛失の可能性は低かった。


 今回もランベルトと中身を確認し、大きな箱に入れた宝石箱をすべて引き渡す。普段使いの品はすでに荷造りし終えていた。


「こちらは責任をもって、屋敷まで運びます。ご安心ください」


「お願いします」


 準備は終わった。伯父様やお父様と一緒に夕食を終え、体を休めるためにベッドに横たわる。目蓋の裏に浮かんだのは、別れ際の王妃様のお顔でした。直前に名を呼びお茶を飲むなと警告した件、お父様にお聞きしようと思っていたのに……忘れていましたわ。


 身を起こそうとして、真っ暗な室内に苦笑いします。この時間ではお父様もお休みになったでしょう。明日から一緒に馬車で移動ですもの。時間はいくらでもあります。横になると目蓋が重くなりました。ぐっすり眠れそうです。明日は出発、空が晴れていますように。

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様、12月も後半に入り、年末年始に向けて多忙になるかとは思いますが、体調には気を付けて物語を綴って頂けたらと思います。
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