第8話 B級ダンジョンと赤鎧の男【1】
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(ん?こいつ俺に向かって言ってるのか?)
と思いながら和樹は声を返そうとした。声をかけてきた相手は30代くらいの中年男性と思わしき冒険者だ。赤色に輝く鎧を着ていて腰には中くらいの剣を下げている。
その装備を見ただけでも中級以上の冒険者だと和樹は分かった。
「はい?俺ですか?何でしょうか?」
できるだけ丁寧に話しかけているつもりが、和樹は早く経験値を稼ぎたいので急いでいるからか、少しイラついたような口調で話してしまう。すると、赤い鎧を身に着けた男がこう尋ねた。
「お前のその木の棒...見る限りだと剣でもなさそうだが、それでこのダンジョンに行くのは自殺行為だぞ?お前も冒険者ならダンジョンの危険性は理解しているはずだと思うが...階級はいくつだ?」
(うわぁ...これは面倒くさいことになったな...)
「それくらい分かってますよ。では失礼しますね。」
と早口で言う和樹に対し男は、
「そんな訳ないだろう!やめなさい..って...おい!!!俺は止めたからな!!」
と大きな声で言っていたが気にせずにダンジョンに入っていった。男の絶叫が聞こえたような気がするが知るか、他人の心配をするぐらいなら自分のこと心配しろよ!と和樹は思った。
だが、和樹もB級ダンジョンにかなり恐怖を抱いていたため、最初は走りながら移動していたが徐々にゆっくりと歩き始めた。B級ダンジョンはC級ダンジョンと違い、かなりの威圧感が空間全体を支配していた。
その威圧感に和樹も緊張感が走る。
「「「アギャギャッ!!!!!」」」
すると、声を上げながら和樹の目の前に魔物が現れた。
その魔物を鑑定すると、B級のゴブリンキングだということが分かった。しかも、6体の群れを成して和樹の前に現れた。今にも殺さんばかりの目で和樹を見ている。
「「「ッッギャウ!!!」」」
ゴブリン6体の攻撃により和樹はその場に倒れこんでしまった。やはりB級。オークキングもそうだったがまだ和樹の力では勝てそうにない。
(痛ってぇぇ!!..が、俺の能力でこのまま死んで宿に戻るはずだ。どれくらいレベルが上がるのか楽しみだな..)
死んで喜ぶ男などこの世界には俺だけだろうな、と思いながら死ぬのを待っているとダンジョンの後ろから声が聞こえた。
赤い鎧に腰にささげた剣、ダンジョンに入る前に和樹が会った男だった。彼は素早く倒れこんでいる和樹の近くに駆け寄ってきた。
「大丈夫か!?だからやめとけって言ったじゃないか...」
と言いながら素早く回復薬を手にするが、既に和樹に意識はなかった。
読んでいただき誠にありがとうございます。
この作品はまだ作家歴が浅すぎる作者が作ったものになりますので、変な表現やもっとここ直したほうがいい、とい面がありましたら指摘していただけると嬉しいです。
また、投稿されている話についても、近いうちに読みやすいよう修正をしますのでお待ちいただければ幸いです。
今後とも、宜しくお願いいたします。
soramame