第3話 王都・ヨルム
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和樹は宿に泊まっていた。豪華なホテルというよりは、簡易的な寝床のようだが、宿の一階では大勢の男たちが酒を飲みながら大声で話していた。どうやら酒場みたいだ。
「はぁ、クエストのクリア報酬でもらった50コル宿代と食事代で全部消えてしまった...。明日からどう過ごそう。困ったなぁ..」
と和樹は悩んでいた。
あの後、街を探索していたら街案内所を見つけ、そこでいろいろなことを教えてもらった。
この街のことや、冒険の軸となるダンジョンはあるのかなどである。
どうやらこの街はこの世界の中でも1、2を争うほどの大きさらしく、王都ヨルムと名付けられているらしい。
なんでも、100万年前に大災厄と呼ばれる魔物の襲来があり、この街にもヨルムンガンドと呼ばれる魔物が来て街に甚大な被害を及ぼしたが、ある一人の勇者のおかげで街は壊滅までは至らなかった。その魔物の名がこの街の由来であると教えてくれた。
「さて、もう夜も遅いし寝るかな。明日はとりあえず勇者がどんなことできるのか試さないとな...」
と時間も経たないうちに彼はすやすやと眠りについたのだった。
翌朝、彼は早朝に宿を出た。勇者がどれほどの力なのか試すためダンジョンに潜りたかったからだ。
この世界でダンジョンは5つある。整理してみるとこうだ。
D級~C級の魔物のみが出現するC級ダンジョン。
C~B級の魔物が出るB級ダンジョン。
A級と稀にS級が現れるというA級ダンジョン。
S級のみ出現するS級ダンジョン。
???級が出現する?級ダンジョン(?)
初心者はひたすらC級ダンジョンに潜って職業レベルが上がるまで経験値稼ぎをする。
それぞれのダンジョンには対象レベルがあり、それを下回る場合は魔物との戦闘が厳しくなるから無理に入るなと街案内で強く言われた。
どうやら、少し前に対象レベルより上のダンジョンに入った若者が魔物にやられて帰らぬ者となったらしい。
それを踏まえて自分も一番下で経験値稼ぎをすると決めた和樹であったが、ふと気になった”?級”ダンジョンについても同じように質問してみたが、何も答えてくれなかった。
どうやら、聞くことはタブーみたいだ。だが街案内の男曰く、誰一人戻ることが無いことから最近では行くものもいないとか。どちらにせよ、初心者の俺が行くとこではないが...。
そうこうしているうちにC級ダンジョンに到着した。早朝に出発したこともあってかまだ人は少ない。
「あ、そうだ。ダンジョンに入る前にステータスを確認しないとな。クエストとかもあったし、これ見ないと相手とどう戦えばいいのか分からんしな」
昨夜は疲れてすぐ寝てしまい、ステータス確認ができなかった。そのうえ今日は早朝に出発したので、ステータスを確認する暇がなかったのだ。
そういって彼が目の前に現れたステータスウィンドをタッチすると、それが広がり彼のステータスが現れた。
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話が長すぎて全然話が進んでいませんが、これからもよろしくお願いいたします。
soramame