第2話 ゲーマー男の異世界転生【2】
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「うぅ、なんだ?やけに周りが騒がしいが、ここはどこだ?確か職業選択したところまで覚えているが...」
和樹がそうつぶやいた後、近くにあった鏡に映った自分の容姿に驚いた。なぜなら、現世の自分よりも一回り若返っていたからだ。この体だと高校生から大学生の間...だろうか。
しかし、そう言った和樹の周りにはたくさんの人だかりができていた。どうやら、彼が空から落ちてきたと騒ぎになったらしい。それを聞いた衛兵達たちが彼のもとへ駆けつけてきた。
「おい、そこの者。これは何事だ?」
どうやら、見ていたなかの誰かが衛兵に報告したらしい。衛兵たちは和樹を奇怪な目で見ている。
衛兵の数は全部で6人。そこまでして暇なのか、と和樹は心の中で思ったが、まあそれほどに緊急事態であることは間違いない。和樹自身もこの危機をどう乗り越えようか考えていた。
「っ...たまたまここを通りかかったら、滑っただけです。何でもないですよ」
と彼は小学生でもわかるような嘘でごまかそうとしたが...
「はっはっは!なんだそれだけだったのか。気を付けるようにな!ほら全員解散するように!」
と、衛兵たちは笑いながら民衆に指示を出し帰っていった。民衆たちも衛兵たちの話を聞きそれぞれ帰っていく。
「いや、信じちゃったよ。こんなんでホントにこの国大丈夫なのか?これだと簡単に滅ぼされそうな気がするのは俺だけか?」
と和樹はとても心配に思うのであった。
すると、彼の目の前に光の文字のようなものが現れた。彼は驚きながらもその文字を見ると...
”ミッション完了。(会話1) 合計50コルの報酬をGETしました!詳細を開きますか?”
「おぉ、ほんとに異世界って感じするなぁ!会話しただけでお金もらえちゃうのか。まあ、”はい”っと」
彼が”はい”の文字を押すと、また新たな画面へと切り替わる。どうやら、これは人のステータスを表す画面らしい。そこには、力や体力、知力、魔力などが書かれていた。
和樹は慣れた手つきでその空中に現れたボードを触っていく。こういったRPG系ゲームは極めているという自負がある彼だ。その操作だけみると、とても初心者とは思えない。
「ってことは当然職業も書いてあるよな?確か選択の時に勇者を選んだはずなんだが...どこだ?」
と画面をスクロールしていくと...
「あった!やっぱり勇者だ!よし、さっそくダンジョン攻略でもしてモンスター狩るかな。」
しかし、彼はRPGを極めているとはいえ、この世界に転生してきたばかりだ。どこに何があるか分からない。そもそも、ダンジョンがあるのかすら定かではない。きっとあるのだろうが。
「よっし!まずはこの街を探索するか!やはり、ここは町案内にでも聞くべきだろ!」
彼はこの世界に来たことと自分が勇者であったことに高揚していつもよりかなり元気になっていた。
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soramame