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5‐1 アレクはベッドの上で1人絶望する

ep5スタート。

日常回です。全3回。

アレクたちのドタバタをお楽しみください!

 朝の陽ざしを浴びながら、アレクはベッドの上で絶望に打ちひしがれていた。


 部屋の中では、新しい住人たちが今日も元気に動き回っている。キッチンからは朝食の準備をするおいしそうな匂いが漂ってきて、アレクの腹の虫を刺激させる。窓から入ってくる新鮮な冬の空気は彼の目をさわやかに覚ましてくれていた。

 

 誰かが思い描く理想通りの朝だといえるだろう。

 

「ふざけるな!」


 アレクは冬の風に身を震わせながら叫んだ。隣で眠っているキャロットは、そんなアレクにお構いなしにあくびをしている。

 

「どうしたんですか、急に。朝からそんなこと叫んでもいいことないですよ。朝なんだからさわやかに起きましょうよ」

 

 リリカは掃除をしながらアレクに向かって言う。

 ここのところ、リリカも風魔法の調整をこなせるようになり、部屋はどんどんと綺麗になっていた。。

 

「これが落ち着いていられるかよ。なんで俺はこんな朝っぱらから目を覚まさないといけないんだ」

「なんでって、朝だから起きるに決まっているじゃないですか」

「そもそもその考えがおかしいんだよ! 俺は心行くまで惰眠をむさぼるために、この山にやってきたんだ。なんでそこで朝っぱらから起きなきゃいけないんだよ」


「ええ……」

 

 リリカは朝っぱらから繰り広げられるアレクの演説にあきれてしまう。

 山の中に聞こえてくる鳥たちのさえずりや、心地のいい新鮮な空気はこの山の中でしか味わえないものだ。それを全否定しようとかかるアレクは、相変わらずの引きこもりぶりだった。

 

「そんなに嫌ならまだ寝ていてもいいですよ」

「それができたら苦労しないんだよ」

 

 事実、アレクの生活リズムはもうすっかり朝型といってもいいところまで修繕されていた。

 1か月前までは、カーテンを閉め切り、朝はなかったと言わんばかりに惰眠をむさぼっていたアレク。しかし、今や朝の陽ざしとそよ風で気持ちよく目を覚ます健康体。自分の意志だけでは、もう惰眠をむさぼるのは難しくなってきていた。

 

「どうしたんだ朝から機嫌の悪い顔して」


 キッチンからロゼが入って来た。

 彼女が持っている鍋からは、山菜をよく煮た、優しい匂いが漂って来る。アレクはそんなロゼの様子をジトっと見つめる。

 アレクの反抗的な目とは反対に、腹は元気に部屋中に空腹なことを伝える。

 

「朝から機嫌が悪いと、1日中調子が悪くなるぞ。鍛錬のためには朝の時間は特に重要だからな」

 

 ロゼは笑いながらアレクに言う。その姿は仲間というよりかは、保護者といった方が近いのかもしれない。

 もともと姉御肌な彼女の気質であるが、駄々をこねるアレクやリリカの前では、ロゼのその特徴はよく表れていた。

 

 アレクはリリカたちを見ないようにしながら布団にこもった。

 

「やだね! 俺は今日は布団にこもるって決めたんだ。こうなったら心行くまで眠りこけてやる」

「な、ダメだ! アレクが寝てしまったら、私の今日の鍛錬はいったいどうなるというのだ! 眠ってしまってはダメだ!」

 

 一度布団に丸まったアレクは、てこでも動かないと言わんばかりにロゼの声に応じない。しかし、彼のそんな硬い意思も、腹の虫が邪魔をする。

 部屋に響き渡るアレクの腹の音。アレクの腹は、今日も元気だとリリカたちに伝えてくれる。その声にリリカも噴き出してしまう。

 

「ほら、アレク様起きましょうよ。空腹は体に毒ですよ」

「そうだぞアレク、起きるぞ。朝ごはんだ」

 

 アレクは布団を奪われ、ベッドから引きはがされる。突然ベッドを引きはがされたアレクとキャロットはその温度差に震えてしまう。

 

「やめろ! そんなことしたって俺の意志は変らないぞ!」

「とりあえずご飯を食べてから考えればいいじゃないですか」


 引っ張り出すリリカとロゼ、抵抗するアレク。そして部屋の中に響くアレクの腹の音。もうアレクに勝ち目はなさそうだった。


「もうやめてくれーー!!」


 ベッドから引っ張り出される刹那、アレクは一人心の中で決意をした。

 ――これは改革を起こさなければ。


 こうしてアレクの昼まで惰眠改革が始まるのである……!


お読みくださりありがとうございます!


今回はコメディ回ということで敵は特に攻めてきません!


惰眠ってなんであんなに気持ちいんですかね。人間は本来は重力に逆らわないように体がプログラムされてるのかもしれません。骨って何か弱そうだし。足とか腰痛くなるし。

そう言う意味だと、ロボットがもっと私たちの身の回りに普及したら、ロボットは簡単に重力に打ち勝ち、人間は惰眠をむさぼるなんて言う展開もあるのかもしれないですね。


「重力は私たちに任せろ。人間たちはそこで横になってください」


……ますます人間いらなくなりそうですね笑


――


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