少し旅に出ます。
魔王でございます。
人間からなぜか目の敵にされています。
私は彼らに何をしたというのでしょう。
彼らが曰く私は
「人間を人とも思っていない、虫けら以下だと思っている。」
「笑いながら人を殺す。」
「魔王はまるでオークの何倍も醜くしたような顔を持つ。」
など、他にもたくさんありますが多くのの悪印象を持たれている事は確かなようです。
私は確かに魔王でありますし、私以外に魔王と呼ばれる存在がいたとも記憶していません。つまり、彼らが言う魔王は間違えなく私のことを指しているのでしょう。しかしながら、私はそのような悪印象を持たれるようなことをした記憶は持っていないのです。加えて、私は人種的には人間ですし、同じ人間を殺すようなことはしませんよ。まして、わらいながらなんて・・・・・。
このことは大変ショックです。
「ちょっと、なんでそこまで悪印象を持っているの?」
泣きたくなります。心が辛くなって悲しくなります。私はメンタル弱々な人なんです。しかも、彼らはそういって私を迫害しました。もう、魔王なんてやってられません。いっそのこと、出ていこうと思います。
その後、私はこっそりと魔王城を抜け出したのでございます。
そして、広い広い世界に旅に出ました。
旅は楽しいもので人生に価値を見いだしていくことが出来ます。魔王城にいたころのように、毎日が同じように勇者の相手をしたりするなどという、単一的なものではなく、日々新しい出会い、新しい発見が私に生きることの楽しさを教えてくれるのです。私は旅に出てよかったと、心のそこから思うのです。
☆
一方、そのころ、魔王城では勇者たちが魔王のもとを訪れます。しかし、そこに魔王はいませんでした。
それからと言うもの、人間は魔王退治から、人間同士の争いへと転換していきました。その間で、魔王という存在は人々から忘れ去られていきました。
魔王は旅に出てから10年後、人々から恐れられることがなくなったと知り、更に旅に出てよかったと思うようになりましたとさ。
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