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三人が数十分歩いていくと山上に建てられた高校へと続く坂道にたどり着いた。

「この坂道上るの?」

 その坂道は長く傾斜もそれなりなためそれを見たメグが気が進まなさそうに言った。毎日通う柚人たちにはもう慣れたものだが、それでも進んで歩きたいとは思わない。

「まあ見た目ほど辛くないから気にすんな」

 メグの姿に入学当初の自分の姿を思い出し苦笑した。

「この坂上がればすぐに学校あるから、頑張って」

 紫苑もそんなメグを応援する。

「ん、分かった」

 上りきるまで五分近くかかるその坂道を三人は仲良く手を繋いだまま登っていく。

「あ、そうだ。メグ、上り切って正門に着いたら後ろ振り返ってみ」

「?」

 道中柚人が良いことを思い出したとばかりに告げた。

「そういえば今、夜だもんね」

 その言葉に紫苑はピンと来てすぐにそう返すが、メグは分からずに不思議そうに首をかしげていた。

「まあすぐわかるよ」

 勿体ぶるように言う柚人に、メグは問い詰めることはせず上り切った時の楽しみとして取っておくことにした。

 それから数分かけて上り切ったところで、柚人は再度声をかけた。

「もういいか。メグ、振り返ってみ」

 柚人から言われ、二人から手を離して後ろを振り返る。

「あっ……」

 後ろを見たメグは喋ろうとして、思わず言葉に詰まった。

 メグの眼下には柚人たちが住む町並みの綺麗な夜景が広がっている。夜も営業している店や稼働している工場が多々あるため光がついている建物が多く、そんな光たちが暗い夜の世界を明るく照らし出しているのだ。

「……綺麗」

 思わずその光景に呑まれてしまったメグだが気を取り直して感想を漏らす。

「この立地で得したことと言えばこれぐらいだからな。結構なもんだろ」

「何度見てもいいよね」

 帰りが遅くなった時に幾度となく見ている柚人と紫苑だが、それでも飽きない光景だ。

 思わず見惚れてしまい、その場に足をとどめて見続けてしまう。

「……さてと、そろそろ行くか」

 夜景を見に来たわけではなく、いつまでもこの場にいられないため柚人がそう切り出す。

「そういえばどこから中に入るの?」

 紫苑が言ったその疑問も当然だ。夜の校舎には誰もいなく正門も締まっており鍵が閉まっていて無理やり開けることもできない。

「ああっと紫苑は知らなかったけ? 学校の裏側にあるフェンスに人が一人だけ通れる隙間があんだよ」

「へえ」

 なんでそんなことを知っているのかと疑問に思うがそこには深く突っ込まないことにした。

 柚人が先を行き二人をその場所まで案内する。

「あ、ほんとだ。こんなところに通れる場所あったんだ……でも狭すぎない?」

「そうか? 俺は普通に通れるけどな」

 紫苑は心配そうにそう言うが柚人は平気だと言い、実際に通れることを示すために身体を横にするとまず初めに通る。

「……っ……っと。ほれ通れた」

 無事に通れたことをアピールして見せる。

 そしてその姿を見たメグが後を追う。

「…………ん、私も行けた。紫苑も早く」

 メグが無事に通れたと紫苑を急かす。

「……まあ試してみるけど」

 あまり乗り気ではない様子だったが、試す前に諦めるのは性に合わない。

「んっ……」

 そして柚人たちと同じように狭い隙間を通るために身体を横にして進もうとする。が、ある部分が引っかかってしまい先に進めなくなってしまう。

 それは柚人にはなくメグにも少ししかない女性特有の部位――つまり、胸だ。

 そのことを考慮していなかった柚人は、フェンスに押され柔らかそうに押される胸を思わず見てしまう。

「ちょ、ちょっと柚人どこ見てるの!」

 視線に気づいた紫苑は恥ずかしくなり思わず大きな声を出してしまう。その言葉に自分が食い入るように見てしまっていることに気付きすぐ視線を外す。

「わ、悪い。どうやっても通れなさそうか?」

「どうやっても駄目だと思う。その、胸が引っかかっちゃって……」

 恥ずかしそうに言う紫苑とそれを聞く柚人から隠れるようにして、メグは視線を下に向け自身の手で自分の小さな膨らみに触れながら、悔しそうな顔をする。

「しょうがねえ。正門に戻って正面から入るか。押し上げてやるよ」

 正門は締まっているとはいえ上から侵入することは可能だ。

「え……。でもその……そうすると見えちゃうじゃない」

 紫苑は今日もスカートをはいている。つまり、柚人が後ろから支えて紫苑が登ろうとするとどうしてもその中が見えてしまう。

「別に今更お前のパンツ見たとしても何とも思わねえよ」

「むっ。それはそれで怒りたくなるし傷つくんですけど」

 女性として意識されていないと取れる言葉を言われ紫苑は文句を言う。

 そんなことを言った柚人だが、実際は内心でドキドキしていた。

「じゃあどうすんだよ。そもそもここに来たのは紫苑が忘れてきたのが悪いんだろ」

 それ以外に中に入る方法がないため、紫苑には納得してもらうしかなかった。

「じゃあ…………わかった、けど上は見ないでよ」

「わざわざ見ねえよ」

 お互いに言いあうと柚人とメグは再度フェンスを通って外に出て、三人そろって正門へと向かう。

 正門にたどり着くと、柚人はその場にしゃがみ込む。

「ほ、ほんとに上みないでよ。見たら殴るからねっ」

「こんな光の少ないところで上見たところで、見えねえから心配すんな」

「見える見えないは関係ないの! とにかく恥ずかしいんだから」

「分かったから落ち着け。着地するときは気を付けろよ」

 柚人の言葉に顔を赤くして反論する紫苑をなだめる。

「うん」

 紫苑は恥ずかしがりながらも柚人の上に乗りそれを確認して立ち上がる。

「どうだ、届きそうか」

「うん、届くよ。……あ、あたし重くないよね? 大丈夫だよね」

 下着が見えることに気を取られて柚人に持ち上げられてから、重いと思われないか心配になる。

「もっと痩せたほうが痛っ。おい嘘だから蹴るな、あぶねえだろ」

 言われるまで気にしていなかったが、心配そうに聞かれたため悪戯心で答えると紫苑に抗議の軽い蹴りをいれられ慌てて訂正する。

「もう、嘘でも言っていいことと悪いことがあるんだからね」

「デリカシーが足りない」

 隣で見ていたメグにもそう言われてしまい柚人は黙々と紫苑を押し上げることに専念した。

「もう……ちょっと。……んっ……よし。中に入れたよ」

 さすがの運動神経というべきか、危なげなく綺麗に着地を決める。

「そんじゃ俺たちも、フェンスの方から入るぞ」

 目的を達成した柚人はメグを連れて外側から、紫苑は内側から裏側に回りフェンスの隙間から中に入り合流する。

「どこから中に入るの?」

「連絡通路は扉ついてないから中は入れるはず」

 北側の校舎が高校でと南側が中学校と二つに分かれており、その二つを繋ぐ連絡通路が一階と二階にあった。その連絡通路から中庭に入ることもできる。

 その場所に三人で向かい靴をその場に脱いで中へと入る。

「まだ工事が始まったばかりだからか、中も変わりないね」

「そうだな、もっとごちゃごちゃしてるかと思ったけどそうでもないな」

「ここが柚人たちの学校?」

「ああ、そうだよ。どうだ久しぶりに学校に来てみた感想は」

 メグは興味津々な様子で見まわしている。

「私が行ってた小学校と比べて大きいね。…………いいな」

 最初は驚いた様子で、そして最後にポツリと影のある表情で言った。

 そんな様子を見た紫苑は少しだけ力を込めて柚人に肘打ちしつつ小声で話しかける。

「そういうところがデリカシーが足りないって言うんだよ」

「わりい」

「あたしに言うことじゃないでしょ」

 そう言われ柚人は寂しそうな背中のメグに近づき、軽く頭を撫でた。

「すまん、余計なこと聞いちゃったな」

「……ううん、大丈夫。それよりも、もっと学校のこと教えて」

 好奇心の方が勝ったらしいメグはそう言った。

「分った」

 あまり気にしていない様子に安心した柚人はメグと約束した。

「じゃあとりあえず紫苑の忘れ物取りに行くか」

「あ、いいよ、最後で。持って歩くのめんどくさいし。先にメグちゃんの案内してあげようよ」

 本末転倒な気がしたが紫苑本人にそう言われれば否定する理由もない。

「ここから一番近いところって言うと……職員室か。まあどっちみち最初に行く予定だったけど」

 今いる地点から一番近くにあるのは職員室だ。

「そういえばあたし職員室の中入ったことないなー」

「そうなのか? と言っても俺もあんまり行ったことないけど」

 多くの生徒は特に職員室に行く用事がないため中がどうなってるか意外と詳しい生徒は少ない。

「俺もそういう意味では楽しみだな」

「先生の机勝手にあさっちゃだめだよ」

「分ってるよ」

 そう言いあいながら二人はメグを連れて案内していく。

「夜の学校ってのも新鮮で面白いな。普段いるはずの人がいないから、不思議な感じがする」

 普段人が多く行き交う場所ではあるが流石に夜中のため人がいなく、閑散としていてその違和感がある種の魅力を出していた。

「分かる……けどやっぱりちょっと怖いかな」

 幽霊がいかにも出てきそうな雰囲気に紫苑は少し怖そうに警戒していた。

「大丈夫よ、お化けなんていないから」

 そんな紫苑とは反対にメグはケロッとしていた。

「メグは平気なのか?」

「うん、全然気にしない」

 強がっている様子もない。

「凄いなぁメグちゃん。あたしはどうしても駄目だよ……」

 紫苑はそんなメグを羨まし気な目でみる。

「昔から変んねえよな。そういう映画見てて」

「ちょっと柚人」

「はいはい」

 昔の恥ずかしい話を柚人が言いそうになったため紫苑は慌てて止める。

「何かあったの?」

 それが気になったメグは興味深そうに追求する

「紫苑が嫌がるから……まあ我慢してくれ」

 そんな話をしながら進んでいくと三人は職員室に着いた。

「当然と言えば当然だけど、ドア締まってるね」

 だが職員室と廊下を繋ぐ二つのドアは閉まっていた。

「ああ、問題ないよ。後ろのドア鍵閉まんないから」

 紫苑はそんなことをどうして知っているのかと疑問に思うが、少し前にあったことを思い出す。

「そういえば柚人こないだ職員室に呼ばれてたよね……まさか」

「俺じゃねえよ。友達がふざけてて滑ってドアにぶつかって壊したんだ」

 夏休みに入る少し前職員室近くで友達とふざけあっていたら壊してしまい、ドアの鍵が閉まらなくなってしまったのだ。

「まったく。この歳にまでなって何してるんだか」

「そう言うなって、そのことがあるから教室に入れんだろ」

 柚人がまず最初にここに来たのはそれが理由でもあった。鍵がかかっているのは当然職員室だけではない。だから最初にマスターキーを取りに来たのだ。

「いっぱい机があるのね。こんなに先生が多いの?」

 スマホのライトを頼りに探す柚人とは反対に周囲を見ていたメグは言う。

「うん。でもここにあるのは高校の先生のだけだから、中学校の先生はまた別の職員室があるよ」

「へえ」

 柚人たちの通う高校はこの近辺では一番の生徒数を誇る巨大な高校なのだ。

「おっ、あったあった。鍵見つけたぞ」

 鍵を探していた柚人が鍵を見つけ出した。

「メグちゃんはどこか見てみたい場所ある?」

 どこか見てみたい場所があるのかと問いかける。

「どこでもいい」

 行きたい場所が思いつかなかったのかそう答えた。

「じゃあすぐそこの理科室でも行ってみるか」

 答えを聞いた柚人が近い順に回ろうと場所を選ぶ。

 職員室から廊下にでた三人は行く先をライトで照らしながら進んでいく。

「よ、夜の理科室って不気味じゃない……?」

 気付けば幽霊が出そうな雰囲気を感じ取ったのか紫苑が怯えている。

「大丈夫よ」

 メグは反対に平常運転だ。

「そうだって、気にしすぎなだけだ」

 柚人が励ましながら進んでいくとすぐに理科室へと到着する。

「鍵は……やっぱり閉まってるな」

 一応と思いドアを引いてみるがやはりしっかりと鍵がかかっている。

「さて」

 スマホを持ち上げライトの位置を調整すると、職員室から拝借してきたマスターキーで鍵を開けた。

「よし開いたぞ」

 難なく鍵を開けた柚人はガラガラッと音を立てながらドアを開ける。

「……少し薬品の臭いがする」

 長年の授業で使われてきた薬品の臭いが染みついているため、誰もいない夏休み中といえど臭いは漂ってくる。

「あたしはこの臭い好きになれないな」

 全く気にしないメグと違い、敏感なのか紫苑はあまり得意ではなかった。

「結構大きいのね」

 中に入ったメグはその大きさを実感する。

「ああ、色々実験とかするために一つの机が大きいからな。その分教室も大きくなってるんだ」

 柚人の説明に納得したメグは周囲を観察する。

「あの扉は?」

「ん? ああ、向こうに薬品とかフラスコとか置いてあんだよ」

「見てみたい」

「はいはい」

 メグに急かされるまま柚人は鍵を開けると、メグは勝手に中に入っていく。その後ろを柚人と紫苑もついていく。

 あまりに当たり前のようにメグが中に入っていくため、警戒することなく足を踏み込み二人はあるものを見つけて仰天してしまう。

「おわっ」

「きゃ!!

 それは暗闇の中で眠っていた人体模型だった。柚人の持つスマホのライトによって不気味に照らされ思わず二人は声を上げてしまった。

「…………あー、驚いた」

 少しすると柚人は落ち着きを取り戻し改めて人体模型を見る。

「前々から思ってたけど実際に夜中に見てみると怖いなこいつ」

 改めてみるとその不気味な顔や、内臓の見える身体など人を驚かすために作られた物だと言われても納得してしまいそうだ。

「あれ、紫苑?」

 落ち着いた柚人は紫苑の姿が見えないことに気付く。

「ユズ、下」

 言われるままに視線を下に向けるとそこには、ぺたんと女の子座りをしてうつむいている紫苑がいた。

「何してんだお前」

 その姿を不思議の思った柚人はそう話しかけた。

「こ、腰が抜けちゃった」

 恥ずかしそうに柚人を見上げながら自身の状況を告げる。

「まじかよ。大丈夫か?」

 そんな紫苑を心配し、声をかける。

「腰が抜けたのは平気だけど、ちょっとここにはいたくないな」

 薬品の臭いも苦手なうえ、人体模型がすぐそばにあるこの状況では体を休めることもままならない。

「はあ……しょうがねえ、おんぶしてやるから一回廊下に戻るぞ。メグもそれでいいだろ」

 この場にとどまりたくないと言う紫苑だが自身の力では動くことは不可能だ。そのため柚人はおんぶするという判断を下した。

「え、え、え。柚人流石にそれは恥ずかしいって」

 突然の柚人の予期していない言葉に紫苑は激しく動揺する。

「気にすんなよ、俺ら以外に誰がいるってわけでもねえし紫苑だってこのままここにはいたくねえだろ」

「それはそうだけど……」

 人の気持ちも知らないでと柚人を見るが当の本人がそれに気づくわけもなく、しばし無言の時間が過ぎる。

 その間に思わず鈍感と言いたくなる紫苑だが、当然言える訳もなく。

「分かった。けど、変なこと考えないでよね。しょうがなくなんだから」

「はいはい」

 紫苑もいつまでもここにいたくはないため、覚悟を決めて柚人におんぶしてもらうことにした。

「ほら」

 紫苑の目の前までくると柚人はしゃがんでおぶる準備をする。

「重いとか思っても言わないでよ! ……やっぱり思うのも駄目!」

 自分でも理不尽だと思いながらも紫苑は前置きすると柚人に身体を預け、首に自分の腕を回す。柚人に見られないことが幸いしているが、この時の紫苑の顔は暗い夜でも分かるほど赤くなっていた。

 柚人もそれに応えるように後ろに回した手に力を入れて紫苑の身体を固定する。

「よっと」

 柚人はふらつくこともなくしっかりと紫苑を背負う。

「メグ、悪いけど照らしてくれ」

「ん」 

 地面に置いたままにしていたスマホをメグに取ってもらい、行く先をライトで照らしてもらう。

 廊下へと向かうために柚人は歩きだすと振動で紫苑が揺れ、ふよんふよんと筆舌にしがたい柔らかい物体が柚人の背中に当たる。

「っ――」

 思わず声に出してしまいそうになる柚人だが、気付かれたら後で紫苑に殴られそうだと思い咄嗟に口を閉ざす。決して、心地よい感触を楽しむためではない。

 そして勿論胸が当たっていることに気付かない紫苑でもなかったが、顔をさらに真っ赤にしながらも静かにしていた。

 先頭を行くメグはそんな二人に気付かずに先導する。

 無事(?)に廊下へたどり着いた柚人は紫苑に話しかける。

「どうする、保健室行くか?」

 養護教諭は居ないとはいえ休憩するには最適なベッドが置いてある。そのためそこで休むのも一つの方法だと思ったのだ。

「ううん、もうちょっとしたら歩けるようになると思うからここで下ろして」

「そうか、分かった。でも無理はすんなよ」

 それを聞いた柚人は声をかけながら、紫苑をゆっくり廊下に下ろした。紫苑には幸いなことに暗いこともあってか赤面していることには気づかなかい。

 ――それから時間がたち、紫苑も無事に動けるようになると理科室の鍵を閉めてスマホを返してもらうと三人は再度校内を歩くことにした。

「次は……っと、音楽室行くか」

 学校にしかない特有の場所を案内しようと柚人は考え、音楽室のある三階階へと上がり柚人が鍵を開けて中に入る。

「あっ、ピアノ」

 音楽室の一番前に存在感を放つ立派なピアノを見たメグは嬉しそうに言うと近くに駆けていく。

 紫苑は中に入るときに壁に掛けてある肖像画を見て少しビクッとしていたが、すぐにただの絵だと気づきおっかなびっくりながらも中へと入る。

「ピアノ弾けるのか?」

 そばまで着て懐かしむように見つめているメグに柚人は尋ねる。

「私は弾けないけど、友達が上手でよく聞かせてくれた」

「そうか」

 寂しそうにするメグに紫苑が話しかける。

「その子と仲良かったんだね」

 優しく鍵盤に触れながらこくりとメグは頷いた。

「そういえば紫苑も弾けなかったか?」

「何年前の話してるの。もうとっくにやらなくなっちゃったよ」

 紫苑の母親の方針で幼いころ様々な習い事をしており、その中にピアノもあったのだ。

「紫苑もやってたの?」

 そんな話題にメグは食いつく。

「昔ね。もう弾き方忘れちゃったよ」

 懐かしそうにピアノを見つめる。紫苑がピアノをやめたのは当時からやっていたバスケで指を怪我をすることが多く、ピアノを弾けなくなることが多々あったことが主な原因だ。

「紫苑ってもしかして結構何でもできる人?」

「うーん、昔習い事で習字とかいろいろやってただけだよ。でも始めた後にすぐにバスケにはまっちゃったから長続きしたのはないかな」

「そうなの?」

「うん、別にピアノも習字とかも嫌いだったわけじゃなかったんだけどね」

「でもそのおかげでバスケ上手くなれただろ」

「まあね」

 結果としてバスケの腕がみるみるうちに上がったのは事実だ。

 メグは自分が知らない頃柚人と紫苑の話に疎外感を感じながらも興味深そうにしていた。

「ユズは何か昔からやってることとかないの?」

 紫苑の話を聞いていてふと気になったことを尋ねる。

「昔親の影響でちょっとだけ野球やってた、ぐらいかな。習い事するよりも友達と遊んでる方が楽しかったし」

「せっかく体格いいのにね。勿体ない」

「いろんなやつからそう言われるけどこればっかりは望んでこうなった訳じゃねえからな」

「まあそうなんだけどね。あたしもバスケやってるときは気にならないけど、それ以外の時はもうちょっと身長小さかったらよかったなって思うし」

「なんでだよ?」

 同年代の女性平均身長よりも多少高い紫園だが、そこまで不便があるようには見えない柚人は疑問に思う。

「メグちゃんみたいに小柄な女の子の方が可愛いじゃない。やっぱり同性としては憧れるんだよ、可愛い女の子って」

 羨まし気にメグを見つめながら呟く。

「そう? 私は反対に小さいからか紫苑みたいに身長高くなりたいよ」

「お互いに無いものねだりというか、持ってないからこそ憧れるってかんじだな」

 そんな二人のやり取りを見ていた柚人は言う。

「ユズはどっちのが好きなの?」

「背が高いのと低いのとどっちが、って意味か?」

「ん」

 純粋な好奇心からか柚人の好みが知りたいのかメグが問いかけ、紫苑は何気ない様子を装いながら興味津々に耳を澄ましていた。

「そうだな……」

 あまり考えたことのなかった柚人は、実際に背の高い紫園と背の低いメグを見比べる。

「どっちでもいいかな」

「何その優柔不断な答え」

 どちらとも言えない答えに思わず紫苑は思わずツッコミを入れてしまう。

「しょうがねえだろ、お前ら見てそう思ったんだから」

「つまり?」

「それ深く聞くのか」

 柚人がそう思った理由を口にするのは、つまるところ二人をどう思っているかという説明になるため出来るだけ黙っておきたかった。

「私気になる」

 だがそんな柚人を気遣うメグでもなかった。

「はあー。……じゃあ簡単にな」

 気心知れた二人のため気恥ずかしさはあるもののからかわれることは無いと考えた柚人は仕方なさそうに話始める。

「まずメグだけど、紫苑が言った通り小柄で可愛いのもあるし、メグのよく寝るところとか猫っぽくて俺はいいと思う。俺も背が大きいほうだし小柄な女性は可愛く見えるってのはあると思う」

 思ったことをそのまま口にする柚人を思考を読み取らせない不思議な目でメグは見ていた。

「なあ、これほんとに続けるのか?」

 最初はそれほど気にしていなかった柚人だが、言ってるうちに恥ずかしさがこみあげてきていた。

「なに、メグちゃんだけ褒めて終わるの? あたしは褒めることがないってこと?」

 紫苑は自分のことを褒めずに終えようとする柚人に珍しく強めに出た。こういった機会でもない限りどう思っているか聞ける機会はないのだ。

「んなわけないだろ。ただ紫苑の方が付き合い長いから余計に恥ずかしいってだけだよ」

 いつの間にか話題が好みの背丈の話からそれていることには気付かない。

「そうだな、まあさっきも言ったけどバスケ頑張ってるとこだな。あとは、なんだかんだ言っても面倒見がいいとことかカッコいいとこもあるけど、さっきみたいにお化けが苦手とか女っぽい可愛いとこもあったりとか……なあ、これやめよう」

 自分で先を急かしておいて段々と顔が火照ってきた紫苑を見た柚人は、もうこれ以上は恥ずかしすぎて無理だと話を断ち切る。

「……しょうがないな。許してあげる」

 もっと聞きたい気持ちもあったが「このまま聞き続けると色々と我慢できなさそう」と思い話題を終わりにした。

「……」

 よくわからない雰囲気になっていた二人を静かに見つめていたメグも異論はなく、二人についていく。

「紫苑のバスケ見たい」

 廊下にでると音楽室で話していた時に気になったのか紫苑を見つめながらそう言った。

「んー、どうしよっか」

 紫苑は忍び込んでいるためあまり目立つことは避けた方がいいとの考えだ。

「大丈夫じゃないか。人のいる気配もしないし、近くに家とかがあるわけでもないし」

「分かった。それじゃあちょっとだけだよ」

 メグの期待する視線と柚人からの後押しもあり紫苑は決心した。

 三人は一階へと下りると体育館へと通じる通路を通って向かう。

「それにしても本当に大きいね」

 最初に見た時にも思ったことだが、メグは実際に中を見て歩いて再認識していた。

「これでまだ中学校があるからね。でもここよりももっと大きい高校がこの辺にあるんだよね」

「そうなの?」

「ああ。こないだ何気なしに調べたら全国二位らしいからなそこの学校」

「え? そんなに大きいの」

 大きいと言うことはその高校に行っている友達に聞いて知っていた紫苑だったが、そこまでの大きさだとは知らなかったのだ。

「ああ、俺も初めて知った時驚いた」

 そんな話をしていると体育館へたどり着く。

「電気つけてもいいよね? というかつけないと暗くてできないんだけど」

「ああ別に問題ないだろ」

 そう言うと柚人は照明の電気を付けに向かう。

「メグちゃんはバスケ見たことある?」

「ん、昔テレビで見た」

 少し柚人が照明をつけるのに手間取っている間に話しかける。

「そっか、それじゃあ説明しなくても大丈夫だね」

 そう紫苑が言い終わるとほぼ同時に体育館が明るく照らされだす。柚人が照明をつけることに成功したのだ。

 やがて柚人が戻ってくると入れ替わるようにしてバスケットボールを取りに向かった。

「予想してたけど大きいね体育館も」

 照明がついたことによって全体が見えどれだけの大きさか確認することができたのだ。バスケットコート二つと半分ぐらいの大きさがある。

「何かあった時に生徒全員が集まるからな。これでも正直狭いぐらいなんだけどな」

「そうだね、集会の時とか息苦しい時あるよね」

 いつの間にかボールを持ってきていた紫苑もそれに同意する。

「準備いいか?」

「うん。……あ、ちょっと待って準備するから」

 靴下のままだと滑るということで、紫苑は脱いでいく。柚人は普段見ることのない紫苑の素足に思わずドキッとしてしまう。

 そしてスカートのポケットから出したヘアゴムを口に咥えると、両手で後ろ髪をまとめてポニーテールの形にしてヘアゴムで縛った。そんな何気ない仕草がどこか艶めかしい。

「よーしそれじゃあ、簡単なシュートからね」

 そう言って準備のできた紫苑は流れるような動きでドリブルを始め、ポニーテールを揺らしながらゴールへと向かう。その間安定して弾むボールの音が聞こえる。

 そしてそのままゴールの元へとたどり着くと右足と左足で思いっきり踏み切ると、ボールを手で持ち上げシュートする。レイアップと言われるシュートだ。

 ボールだけがゴールに置き去りにされ、すとんっとネットを揺らした。

「うーん、やっぱり裸足だと違和感あるな」

 柚人たちには綺麗に決まったように見えたが紫苑は納得していない様子だった。

「そうか? 綺麗だったよ」

「上手だった」

 柚人とメグは素直に思ったことを告げる。

「ありがと。他にもやってみるね」

 納得いかないシュートだったと言えどそう褒められれば悪い気はせず、そのままボールを回収して再度位置に着く。

 そして今度はその場から動かずに、大きくジャンプするとその体勢からシュートを放つ。山なりに飛んでいくボールはゴールのリングに当たって跳ねるがほぼ真上に浮いたため外れることはなく、なんとかゴールの中に入った。

「あっぶなかったー」

 ボールの行く先を心配そうに見つめていた紫苑は、何とか入ったことに安堵した。

「リングに嫌われなくてよかったな」

「一瞬外したと思っちゃった。よーし、二人ともしっかり見ててよ」

 そう言い残す紫苑の横顔は自信に満ちていて、楽しそうに笑いながらバスケットコートの真ん中に移動する。

「いくよー!」

 そう言ってから紫苑はドリブルを始めゴールに向かって進み始める。今回はそのまま素直にシュートしに行くのではなく、ドリブルをする手を右手から左手、左手から右手に変えたり、右に行くように見せて左に行く、身体をドリブルしたまま一回転させたりと様々な動作を加えていた。そんな行動をしてもボールは離れていくことはなく紫苑と共に、ゴールに近づいていく。今度はそのまま少しリングを通り過ぎると後ろ向きにレイアップを放ち、シュートを成功させた。

 自身がスカートをはいているのを忘れて元気に動き回る紫苑は、終始きわどい部分まで見えてしまっていて、柚人は気が気ではなかった。

「どうだった?」

 三種類のシュートを見せ終えた紫苑は柚人とメグのもとに返ってきた。

「「かっこよかった」」

 二人して同じことを言う柚人とメグに思わず紫苑は思わず微笑む。

「そっか。それは良かったよ」

 途中不満そうにしていた紫苑も最後のシュートには納得したのか満足気だ。

「紫苑運動好きなの?」

「うーん、運動自体はあんまり好きじゃないかな。バスケだけ特別」

 意外にも紫苑は走り回ったり打ったり蹴ったりといったバスケ以外のスポーツは好きではなく、運動という括りで言えば嫌いだった。唯一バスケだけが好きなのだ。

「珍しいよな、こんだけ動けるやつが運動嫌いだなんて」

「動けるって言うけどあたし運動神経よくないからね。バスケだけは好きでずっとやってたらいつの間にか上手くなってたってだけなんだし」

 その言葉にメグはチラッと柚人に視線を向ける。

「紫苑はなんにでも一途なのね」

「そういうことになるのかな」

 過去を思い出し、そういえばと思い当たる節があったのか納得する。

「よし、それじゃあ目的の物取って帰ろっ」

 紫苑が見せたバスケの技にメグも満足していたので、脱いだ靴下を再度はいてバスケットボールを元あった場所に戻すといよいよ本来の目的であった忘れ物の回収へと移る。

「電気消すぞ」

 幽霊の苦手な紫苑のために一声かけてから照明を落として体育館を後にすると、来た道を戻り柚人たちの教室がある二階へと向かう。

「そういえば二人は同じクラスなの?」

「ああ、そうだよ。何の因果か中学の時から四年連続で同じクラス」

「あたしと柚人はたまに違うクラスになることあるけど、ほとんど同じだよね」

「不思議だよな一、二回ぐらいしかないだろ確か」

 運命のいたずらか、ただの偶然か。小学校に入学した時から今の今まで同じクラスのことが多かった。柚人と紫苑は小学校に入る以前からの付き合いのため、二人の生活の中には必ずと言っていいほどお互いがいた。

「そう考えるとあたしたちずっと一緒にいるね」

「幸か不幸か、な」

「なに? あたしと一緒だと不幸なの?」

 その言葉は聞き捨てならないと紫苑は拾う。

「そうじゃねえけど、もう俺らのこと付き合ってるとか言い出すようなやつはいないけど、心のどこかでは思ってるやつばっかだろ。だから、俺たち未だに浮いた話ないし」

 この歳になって一度として彼女が出来たことがないことを何気に気にしていた。

「あたしは別に絶対彼氏欲しいって訳じゃないけどなー」

 柚人の恋愛方面の話が気になる紫苑は何気ない様子を装う。

「俺だって別にそんながっついてはいねーって。でもやっぱ一回ぐらい誰かと付き合ってみたいだろ」

「ユズと紫苑が付き合えば?」

 二人の話を黙って聞いていたメグは感じたことをそのまま言った。話を聞いている限り相性がよさそうで似合うと思ったのだ。他意はない。

「ふぇっ!?」

 その思いもよらなかった言葉に紫苑は素っ頓狂な声を上げてしまう。

「……どうしてそうなった」

 一方の柚人は一見して落ち着いている様子だったが、内心ではうろたえていた。

「だって、二人とも仲いいじゃない。それに紫苑は――」

「ちょっとメグちゃん、何言おうとしてるのかな」

 何を言わんとしているかすぐに察した紫苑はすぐに口を出す。

「……なんでもない」

 視線を紫苑に向けたメグは睨みつけられていることに気付き、すぐに言った言葉を訂正した。

「けど、柚人はどう思ってる?」

 だが話題を変える気はないらしく静かにしていた柚人に話しかける。

「ノーコメントで」

「なにそれ。嫌だって言いたいの?」

 そのそっけない返答に思わず紫苑は突っかかる。

「ノーコメントだって言っただろ。肯定しても否定してもろくなことにならないのは目に見えてるからな」

「……」

 本心を隠す柚人に問いただしたかったが、あまりにしつこくしても不審がられると思い断念する。

「そっか。お似合いだと思ったのに」

 そんなこんな話をしていると、柚人たちの教室である二年二組の前へとたどり着く。

「あ、ここだよメグちゃん」

「ん」

 そう紫苑が言うと感慨深そうに見つめた。

「さっさと忘れ物取って帰るぞ。また紫苑に腰抜かされても困るからな」

 わざとらしく言い鍵を開ける。

「開いたぞ」

 そんな視線を無視してドアを開けると三人は中へと進む。

 紫苑の席は一番後ろの窓際だ。そのため一番奥まで進む必要がある。

「ここ、景色いいね」

 紫苑の席に着いたメグは窓から外を覗く。

「景色は良くても直接日が当たるから暑いのがネックなんだよね」

 特に今は暑い夏の季節だ。授業中はクーラーが効いているとはいえ暑くなってしまう。

「窓際って結構憧れる場所だけど夏は暑いし、冬は寒いしで実際は居心地悪いんだよな」

 自身も経験のある柚人の言葉には説得力があった。

「……っと、あったあった」

 紫苑は自身の机の中から目的の物を見つけ出す。

「そんじゃ一応周囲警戒して帰ろうぜ」

 ここまで順調に事を進めることに成功しているので、最後の最後で見つかる失態を晒すことのないように気を引き締める。

 名残惜しそうに教室を見つめるメグを連れ、マスターキーを返すと連絡通路へと戻りその場に置いたままにしていた靴を履く。

「もう学校に忘れ物ないよな」

 念を押すように柚人は紫苑に問いかける。二度手間はごめんだ。

「……うん大丈夫だよ。あたしはそこまで抜けてないからなね」

 紫苑は記憶を探り他に忘れ物がないことを確認する。

「じゃあ帰るぞ」

「ん、帰って寝る」

 慣れない場所の探索に疲れたのか、単純に眠くなっただけなのかメグは眠そうに目をこすっている。

「頼むから歩きながら寝るなよ」

「努力する」

 そう言うメグだったが実際は少し頼りなさそうな足取りだった。

「メグちゃん」

 そんな姿を危なく思った紫苑は手を差し伸べる。

「危ないから手繋いで帰ろ」

「分かった」

 メグが小さな手を伸ばすと紫苑は包み込むように握った。

「もし眠くてどうしようもなかったら言ってね、おんぶしてあげるから。柚人が」

「おい」

 途中まで何気なしに話を聞いていた柚人だったが、唐突に自身の名前が出てきて思わず口を出す。

「いいじゃない。それともなに? か弱いあたしにメグちゃんおんぶさせるつもり?」

「か弱いって自分で言うか……別にいいけど。紫苑より軽そうだし」

「……あたしが重いって言いたいのかな」

 そんな気持ちは柚人の中にはなかったが紫苑の持つ乙女心は反応した。

「単純に身長差の話だって」

 身長が高ければ体重も増える、当たり前の話だ。

「ならいいんだけど……」

「紫苑いい体付きしてると思う」

 メグは紫苑に同性ならではの遠慮ない視線を向けている。手を繋いでいるため逃げることもできない。

「メグちゃん」

 そのため声をかけて制止させようとする。

「さっきバスケ見てたときも思ったけど引き締まった腕とか脚してるし、スパイとして鍛えてきた私が見ても羨ましいくらい」

「えーと、とりあえずありがとう……でも、恥ずかしいからその話は禁止ね」

 褒めてらえたことは嬉しいが、柚人の前でそんなことを言われると穴があったら入りたくなってしまう程恥ずかしくなってしまう。

「ん」

 そう言われたメグは眠いこともあり静かに口を閉ざす。

「…………」

 その後は特に会話もなく自宅へと向かって虫の鳴き声を聞きながら歩いていく。

「……っ」

 ちょうど道のりの半分にたどり着いたころだろうか。紫苑はメグとつないでいる手に抵抗を感じた。振り返って確認すると、メグがうつらうつらしているのが見えた。

「大丈夫?」

「んぅ……らいじょ、う…………ぶ」

 そんな姿を見た紫苑は声をかけるが返ってきた言葉はろくに呂律が回っていなかった。

「柚人」

 このまま歩かせるわけにもいかないと名前を呼ぶと柚人もすぐに行動に起こす。

「ほれ」

 しゃがみ込むとメグに背中を貸す。

「よっと」

 柚人はしっかりと落とさないようにメグを背負うと立ち上がる。

「それじゃあ行くか」

 メグをおんぶした柚人と紫苑は二人仲良く並んで自宅へと歩を進める。

 その姿は何も知らない人から見ればまるで年若い親子のようだった。

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