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なろうでイケメンがでると大抵よくない事が起きるよね

 釣りをしながらウトウトしているとき、転生前の現実世界の夢を見た。



     ◆ ◆ ◆


 都会の真ん中。

 巨大な日本式の庭園。平屋造りの豪華な屋敷。

 池には鯉が、女中や中居がせわしなく働き、女将が挨拶をする。

 赤坂の料亭――俺の仕事は接待だ。

 スーツにネクタイ。平身低頭して官僚を出迎える。


「へえ、草壁君は東大なんだ。学部どこ?ええ、経済学部!?」


「ははあ、それじゃあ営業が精一杯だね。」


「やはり法学部こそが王道にして至高だよキミィ。我々のように日本を動かす勝ち組さ。」


「でもエリートコース乗ってるんでしょ?支社長程度にはいけるんじゃない。」


「君の会社、このまま行けばだいぶ大きくなるだろうね。なにせ私が守ってあげているからね。定年後は役員になってあげてもいいよ。はは、そうしたら上司になってあげられるね。」



 ――うんざりする。だが仕事だ。愛想笑いでおべっかを返した。



     ◆ ◆ ◆



 灼熱の日差し。

 仏教の影響がそこかしこにある町並み。寺院。人々。行き交うクルマ。バイク。


 長期の海外出張。

 あちこちを視察して情報を集め、本社に報告する。

 スケジュールには余裕があり、余暇があったので観光をしているうちに地元の女子高生と仲良くなってしまった。


「観光?いいよ、案内するわ。ふふっ――実はね、学校がなくなりそうなの。それでやることがなくって働きぐちを探してるの。観光で身を立てるのも悪くないかなって――」


「草壁サマの国はどんな所なんですか?」


「な、納豆?? ――なんですかそれ?」


「助けてください!友達がさらわれて……皆は鉄道で外国に連れて行かれるって。奴隷として売られてしまうって――。」


「なぜ邪魔をする!なぜ同――を殺した!ここの猿どもは――が発展させてやったんだ。我々の役に立つならば本望だろう!」


「ファック、ファック――この疫病神め!貴様の思い通りにさせるものか!全部台無しにしてやる――全部貴様のせいだ!永遠に自分を呪って地獄に落ちて悔いるがいい!ザマァミロ!」


「バキュラ怪光線!」(ズビー)


「列車に火が――助けて!」


 

 ――俺は誰も救えなかった。彼女さえも。



     ◆ ◆ ◆




 ……別段嫌な夢でもなかったけど、いい思い出でもないな。

 

 中学時代にネトゲしすぎたものの、サービス終了後は勉強をし直していい大学に入って一流企業に就職した。


 出張先で理不尽を目撃し、何の見返りも求めず頑張って、その結果、助けようとした娘達も理不尽に殺されてしまった。


 俺は帰国して会社をやめてソシャゲにはまった。


 ゲームの美少女キャラに安らぎを求めた。


   


「――そんなところで寝ていると、危ないよ。川に落ちちゃうよ?」


「ん……。」

 

 声をかけられて目覚める。

 川辺で昼寝してしまっていた。釣り竿は流されていない。

 うららかな日差し。山の渓流の午後。

 夢で思い出した暑い日差しはどこにもない。


「この山にいるってことは、最近引っ越してきた魔女さんのウチの子?」


「あ、はい。」


 見上げると背の高い青年がいた。茶色の髪に青い瞳。とんでもないイケメンだ。

 狩人のような緑の服装。

 背中に弓と矢、腰に山刀を下げている。

 

「僕はクジョウ。この山の麓にある森の管理をやってるんだよ。」


「俺……僕はヒョーです。」


 ヒョーマは廃嫡された王子の名前なので、突っ込まれる事を嫌ってルビーとも相談した結果、初対面の相手や冒険者仲間に対してはヒョーで通すことにしていた。

 俺の名前がヒョーマと知っているのは王都の冒険者ギルドマスターくらいだ。


「ヒョー君か。よろしくね。釣れてる?今日の釣果はどうかな。」


「あー……全然ですね。つい寝てしまって。」


「川魚かー。」


 水が綺麗なので川面の底に泳ぐ魚が見える。

 釣り竿を発見した後ルビーに川を探してもらって、釣りが日課になった。

 いろいろ試したけど塩焼きが最高だと思う。


「塩焼きするの?醤油とみりんがあれば甘露煮できるんだけどね。」


「え……甘露煮?醤油?いきなり何いってるんですか。塩焼きこそ至高にして原点でしょ!むしろ塩焼き以外は邪道って感じです。」


「最も美味しかった塩焼きは?」


「赤坂の料亭。」


「野球はやっぱり?」


「ジャイア○ツ!」


「巨人、大鵬?」


「卵焼き。」


 俺はクジョウさんと初対面でいきなり意気投合してしまった。


 ルビーにはできないような話も彼とならしてしまうようになる――。

誤字等ご指摘願います。

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