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029 会議シーンが長すぎて切れた視聴者がいたようです


「ところでエルジェ皇女も魔王崇拝者だよね? いつ殺るの?」


「ぶっ」


 クジョウさんがえらい物騒なことを聞いてきた。過激だ。

 バァン!とドアが開く。


「お、やっぱり魔王崇拝者か。いつ殺る? 全員で囲んでボコろうぜ。」


 マクバーンがドアから現れた。使者に誰を派遣するかという会議は終わったらしい。


「東の大帝国……光の大帝国も魔族の支配下にあるということはわかっている。マリ情報でね。僕たちはそれに対抗できる唯一の組織だ。」


「いつやるってそりゃぁ今だろ!」


 マクバーンが程度の低い自問自答で自己解決する。こいつら今すぐにでも武装をしてエルジェ皇女の部屋に乗り込んでいきそうだ。

 ちょ、ちょっとまって。いまエルジェ皇女に手を出したら、人間の国どうしの戦いになってしまうんじゃ?

 リナリーアさん止めて……あ、だめだこの人も弓矢を準備している。俺が止めるしか無い。


「ちょ、ちょっと待って下さい! 今、俺はマリと同盟……共犯者と魔王軍側に伝えられています。結果、魔王軍の協力者とみなされ、情報共有や相談を受ける立場になりました。魔王軍の懐に入った状態なんです。」


 俺は、エルジェ皇女との会談結果をクジョウさん、マクバーン、リナリーアさんに話した。エルジェ皇女と騎士団長のどちらかが上級魔族かわからないということも含めてだ。


「了解。これはスタールビーさんとリュミドラちゃんにも情報共有しておくべきだね。」


「そうですね。」


「俺の方からやっとくわ。ホウレンソウは重要だしな。」


 思えば会談の結果を皆と情報共有していないことのほうが異常だった。うろついていないで全員集めればよかったと思い返した。結構疲れているのか?


「ベルゼブブとベルゼビュートでまとめてムシスキーねえ。おっと。魔界の真名は禁句だったな。これも重要な情報だ。マリの野郎全然そういうこと教えねぇから。俺らでもポロッと言っちまいそうだったぜ。」


 そういえば魔界の真名は極秘事項ってのは念話で俺だけが聞いたことだっけ。マリも抜けてるなあ。


「と、いうわけでエルジェ皇女に手出しは不要です。」


「「「了解。」」」


「それじゃあ、エルジェ皇女がアンリを連れ戻しに転移門をくぐった後に破壊するのは?」


「そりゃぁいいなぁ! 上級魔族二人と戦わなくって済むぜ! ついでに騎士団長も追放すっか? ガハハ!」


「むしろセットで追放しないと意味がないね。」


 あー……それは、別にいいかぁ。王国が殺したことにはならないだろうし。かなり穏当に行方不明になる。世界最強の魔法使いと噂のエルジェ皇女なら自力で戻ってきそうな気もするけど、魔族のツールを取り上げてから転移門をくぐらせればいけるかな?


 なんか楽観的な気もするけど……そのほうが得てしてうまくいくものだよね。俺は前世の経験からそう思った。


「そろそろ眠くなってきたので……俺は部屋に戻ります。」


「オッスおつかれさん!」


「僕たちはもう遅いから、宿屋に戻らずにここで休むよ。部屋も用意してもらったし。」


 俺は皆から別れて部屋に戻った。そしてベッドに倒れ込む。


 意外と疲れているな。眠い。朝から会議して、エルジェ皇女が来て、謁見したり極秘会談をしたり、飛空艇の見学をしたり……今日は一日中エルジェ皇女に振り回されたからな……。


(ヒョーマヒョーマヒョーマ! いますぐきて!!!)


 マリからなんか念話がきたけど俺はシカトしてベッドに潜り込んだ。……あ、しまったクジョウさんに魔力集中について聞き忘れたな。 


(ヒョーマヒョーマヒョーマ! 無視するなんてひどいんだよ!)


 ぐう……。


(ヒョーマヒョーマヒョーマ! もう許さねーぞぉーなんだよ!?)


 しばし時間がたち、俺が眠りの淵におちていたとき。寝室のドアがどんどんどんと叩かれた。起きてしまった。

 ちなみに俺が寝ているのは掃除が終わった王様の私室だ。部屋もベッドも大きい。天蓋つきのベッドだ。


 隣室で控えていたお付きのメイドさんが対応して俺を呼びに来た。


「申し訳ありません、ヒョーマ王子様。大帝国のエルジェ皇女様と騎士団長がお呼びとのことですが……」


「だあああ!!」


 間違いない。マリがなんかやらかしたんだ。多分、向こうで騒いだとかそんな感じだろう。


 俺は飛び起きて身支度を整えると、エルジェ皇女の客室へと向かった。


 


 エルジェ皇女の客室へ入ると、エルジェ皇女と騎士団長メルリンドとマリがいた。他に人は居ない。異常な気配のマリがいるため、騎士団員もメイドさんたちも人払いされていた。


 エルジェ皇女は豪奢なドレスではなく薄い寝間着にガウンをまとい、騎士団長は鎧を脱いで室内着だった。


「てーい!」


 飛びかかってきたマリを回避したが、ガチャリと右手に違和感を覚える。手錠のようなピンクの機械で右手を拘束された。普通の手錠ようにシンプルではなく、大きめで余計な機能をいろいろ搭載しているかのごとくメカメカしくピンクのカバーで全体を覆い隠されている。


 ピンクの手錠からはピンクのワイヤーがつながっており、その先は……エルジェ皇女の左手にガッチリとつながったピンクの手錠が……ある。


「マ、マリてめぇなにをするんだぁー!!」


「クックク……ヒョーマ、ボクを売るなんてひどいなだよ!(誤字ではない) こうなったら一蓮托生なんだよ!」


 なんだ、これは。どういう状況だ? 一体何をすればいいんだ?


「俺たちに何をさせるつもりだマリィ!!」


「ヒョーマ、この手錠はボクが気合を入れて突貫で作ったエロアイテム! エロエロなハプニングをたくさんメモリに記録させないと外れないんだよ! さあ、まだ夜は始まったばかりだよヒョーマ? これから早速ボクお手製のツイスターゲームでサバ……ごほんごほん、パーティーゲームといこうじゃないか。さあ、早くボクを笑顔にさせてよ! サバトの夜を始めようよ! ちなみにエロエロ度が足りなかったら明日には電波祭りにご同行~なんだよ!」


「サバトっつったなてめぇマリてめぇついに……元からこんなんだったワ。」


「ヒョーマヒョーマそれはそれでひどいんだよ! 目がさめてから葬儀だー会議だーで全然遊んでくれてないんだよ! せめてガチャ娘とイチャイチャしているところをボクに見せつけて楽しませてほしいんだよ! それも無いならしょうが無いからこちらからエロハプニングを起こすしか無いんだよ! というわけでムシスキーたちには協力を……」


「す・る・かぁー!」


 騎士団長メルリンドがマリに殴りかかる。いいぞやっちゃえ! 悪を倒せ! ……あ、速度もパワーもぜんぜん違う。マリにあっという間に制圧されてコブラツイストを決められて泡吹いてる。だらしねぇなもっとがんばれよ騎士団長。


「ふはは。あのね。えっとね。チカラで勝てるとおもわないことなんだよ。影で現出しているボクにかなう戦力は……あんまり存在しないと思うんだよ。」


 あ、クジョウさんに殺られかけたことにちょっとビビってる。ビビリの影が見えた。


「くっ……ころせ! いや、皇女様だけは許してくれ! 私が代わりに犠牲になるから!」


 騎士団長メルリンドが泣きを入れる。……これ、本当にベルゼブブかベルゼビュートの憑依体なんだろうか。それともマリがチカラだけは凄いのか。


「ん~どうしよっかなぁ……とりあえずそこで見ているといいんだよ!」


 マリがすっかり悪の大魔王と化して騎士団長を床に組み伏せ、その上で勝ち誇る。


 俺は手錠の先に繋がれているエルジェ皇女を見た。色々と魔法で手錠の破壊を試していたため五色の光が室内を照らしていたが、ついに破壊を諦めた。マリ渾身のエロアイテムらしく、とてつもなく無駄に頑丈だ。


「無駄無駄なんだよ。エロアイテムが目的をまっとうせず壊れるなんてありえないんだよ。物語の法則すら組み込んだボクすら二度と作れない奇跡の産物なんだよ。」


「よかろう……ツイスターゲームとやらをはじめるのじゃ。」


 エルジェ皇女は観念したのか、ガウンを脱ぎ去った。マリがにんまり笑う。


 夜はまさに始まったばかりだった。

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