魔女の山における5人対10,002人の戦い
冒険者ギルドのギルドマスター、マクバーン。
森の管理人にして、ゲームからアバター転移し百年以上過ごした男、クジョウ。
クジョウさんの嫁にしてダークエルフの姫君、リナリーア。
擬人化チートガチャ娘にして金等級冒険者、スタールビー。
そして俺。転生者、ヒョーマ。
この五人が隠者の家の外に出ると、一万人のオーク兵士たちに包囲されていた。
空にはグリフォンライダーが飛び交い、地上には兵士たちの二倍ほどの体高があるトリケラトプスの威容が見える。
魔女の山を埋め尽くす勢いの軍勢である。花畑を踏みにじり、毎日釣りをした渓流を踏み越え押しつぶし、小道にも、岩肌にも、オークがひしめいていた。
俺たち五人は、隠者の家を背後に陣形を作る。
「この兵士どもは囮だ。肉の盾だ。狙いを分散させるつもりだ。狙うは上級魔族ただ一点。」
マクバーンが指揮を執る。
「まずはスタールビーの魔法でおもいっきりやれ。広範囲をぶっ飛ばせ。したら俺が突っ込む。クジョウ、リナリーア、ヒョーの三人はスタールビーを守りつつ戦え。背後に家があるからって油断するなよ。あっさり屋根を登って上から襲ってきたり、壁を壊して家の中を兵士が突っ切ってくるぜ。」
「お願い、ルビー!」
「メテオストーム・トリプル!」
ルビーの叫びとともに、魔女の山の上空に三つの赤い巨大魔法陣が出現する。
そして、魔法陣から次々と流星が出現し、地上へ向けて落下してきた。
魔法陣一つにつき五個、合計十五の隕石が魔女の山に降り注ぐ。
着弾。爆発。爆発。閃光が、轟音が、衝撃波が突き抜けて土煙が巻き起こる。
オーク兵士たちは為す術もなく隕石に押しつぶされ、高熱を伴う衝撃波に灼かれて吹き飛ばされる。
今の一撃で隠者の館に迫っていた兵士は死ぬか、身体が焼きちぎれて戦闘不能となったが、敵は多い。衝撃波を防御した後続が仲間の死体を踏み越えて前進してくる。
「ブヒー!! ブヒー!!(かかれー!! かかれー!!)」(オーク語)
オーク達の叫びがこだまする。戦の叫びだ。武器を振りかざし、気炎を上げて一心不乱に殺しに来る。
「うおおお!! なぎ倒してやるぜ!!」
マクバーンの全身を蒼いオーラが包む。弾丸のように上級魔族に向け突っ込んだ。ダンプのような突進でオーク兵士をなぎ倒していく。
「オーラブーストタックル!」
オーラで強化された体当たりを受けてトリケラトプスがはね飛んだ。しばし空を飛び、下敷きになったオーク兵士が断末魔をあげる。
「こちらにも群がってくるよ。」
オーク兵士が次々とクジョウさんに射抜かれる。
その弓の貫通力は凄まじく、一射で三体から四体を一度に倒している。刺さっただけでは矢が止まらず、貫通して後ろの獲物を更に貫くのだ。
空を飛ぶグリフォンライダーも一射で一騎を確実に落とす。射線が重なれば二騎を一度に落とす。
まさに百発百中、一撃必殺の弓矢さばきだ。
「サモンイフリート・トリプル!」
ルビーの無詠唱三重魔法。かつて馬車の護衛で使った二十メートルの炎に包まれた巨人が出現する。
「左右と後方を守らせるわ。踏み潰せ!」
イフリートが俺たちの陣形の弱い部分を補強する。
オークアーチャーから矢が飛び、オークメイジの吹雪が浴びせられるが、イフリート達は炎のブレスや踏みつけで反撃する。
「ブヒー!(お命頂戴!)」
俺はイフリートやルビーの魔法をかいくぐって至近距離まで寄ってきたオーク兵士に応戦する。
王都の鍛冶屋で買った短剣を構える。
「やああ!」
赤ん坊の頃からルビーと一緒に行動していたので戦いの雰囲気そのものは慣れていた。思ったより落ち着いてる。今日はルビー関係でいろいろあったので、ちょっと感覚が麻痺しているのかもしれない。
武器を構えて突っ込んでくるオーク兵士の攻撃を回避し、踏み込んで短剣で喉元を掻っ切る。敵が倒れる前に腰に装備していたオーク兵士のナイフを抜き取り、死体を蹴飛ばして後続の牽制をする。
俺が転生する前に通っていた道場では、珍しく剣術のほかに短剣術を教えており、俺は剣術より短剣術のほうが筋が良いと褒められていた。
中でも実戦的な短剣術として、脇差を使った技を数多く習得した。
武家諸法度において武士は本差しと脇差の携帯を義務付けられていたが、大抵の侍は本差しのみを使って脇差を予備武器にしていたため、それを奪って活用する技法である。
得意技は脇差二刀流。そして脇差投擲術。――色物の自覚はある。
転生前の現実世界での実戦経験もある。出張先で誘拐事件に首を突っ込んだとき、退役軍人くずれの用心棒どもから軍用ナイフを奪って勝つ程度には。
俺は奪ったナイフを即座に投擲して次のオーク兵士の片目を貫き、それに気を取られた相手から更に武器を奪って喉を切り裂く。それを繰り返す。時には長剣や手投げ斧も奪って投げる。当たらなくても牽制にはなる。
メイン火力はルビーである。俺は牽制と防御だけでいい。
「ファイアボール・トリプル!」
ルビーの爆裂火球の三連投射。攻め寄ってきたオーク兵士達は火球の爆発で黒こげになって吹き飛ぶ。そこに、クジョウさんとリナリーアさんが弓矢を射掛けて足を止める。そして更にルビーの魔法で追撃するループ。
「こちらは今のところ大丈夫だ。ギルマスは?」
俺は奪った短剣で二刀流の防御に徹し、オークアーチャーが射掛けてくる矢を切り払い、オークアルケミストがスタッフスリングで投げつけてくる酸や毒液の素焼き瓶を風魔法エアバリアを張って弾き飛ばしながら、一人で上級魔人と戦うマクバーンの様子を見た。
「オーラウェイブ!」
蒼いオーラの波がオーク兵士の隊列をこじ開ける。
自分で出した波に乗って一気に上級魔族へ接近した。相手はスマホのような金属板を片手にスワイプをしている。
「もらったぜ! オーラバトルナックル・ダブル!」
交差した両手の拳にオーラが集中して蒼く輝いた。一気に決めるつもりだ。
「ドラァ!」
一撃。
いいパンチが顔面にクリーンヒット。そのまま両手でラッシュを開始する。
「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ!!」
数十発の拳を息継ぎなしで叩き込む!
すべて顔面だ。
ラッシュの途中で吹っ飛んでいかないように、オーラで形成したアンカーを相手の片足に打ち込んで地面と接合している。ニクイ小技である。
「ドラドラドラドラドラゴンラッシュ!」
フィニッシュブローが炸裂する。オーラアンカーが地面ごと抉れて吹っ飛んだ。
上級魔族を憑依させた少年は殴られた勢いで宙を飛び、クッション代わりのマントを大きく広げたオーク兵士たちによってキャッチされた。
「……あまり効いてねぇな。」
マクバーンが脇腹に刺さった矢や、肩に刺さった投槍を抜きながら言う。ラッシュしながらも兵士たちの攻撃を全身で受けていた。
クジョウやルビーの援護もあったが、だいぶ被弾している。
「きゃはっ。」
上級魔族がぴょこんと飛び上がる。スマホのようなもので自撮りの構え……いや鏡か?
鏡を覗き込むようなポーズをとって自分の顔を確認する。傷はない。
「もう効きませんわ。きゃはっ。ざーんーねーんーでーしーたー! うぷぷ! きになる? きになる? 教えないよバーカ! ああ、かーわいそ! あわれ! 無駄! 脳筋! 残念! ごみ! よわい! ざこ! ざーこざこざこ!!」
オンゲをはじめたばかりのキッズのように煽る。
そのままひょいひょい近寄ってマクバーンの周りをぐるぐる回りだした。調子に乗っている。
「もう野蛮人の攻撃はきーきーまーせーん! きゃはっ! さあ力の差がわかったらならパンツ脱いでチ●ポだしなぁ! お前オチン●ンデカそうだけどホントにデカいかチ●長測定してやるよぉ! デカかったらチ●ポ奴隷にしてやる!」
シャクッ
マクバーンの右手がひっかくように一閃。上級魔族の動きが止まった。
頬に触る。
パクッと音をたてて、頬に一筋の傷が裂けた。深い。頬の傷が呼吸で開いて口内の歯茎が露出する。
マクバーンの右手から長い爪が伸びてる。爬虫類のような鉤爪だ。
「ぎぃやああ~~~アタシの顔がアアアアアAAAAaaaa!!!」
「やっぱりな。オーラ攻撃に対する耐性。打撃に対する耐性。防御力強化。新しいスキルで身を固めただけか。」
マクバーンの皮膚からトゲトゲしい突起物が出現してくる。
身体のシルエットが変わり、頭から角、口に牙、背中から皮膜の翼が生えてくる。
さらには巨大化。どんどん大きくなる。
「これやると服が破けるんだけどな……完全竜化!」
一瞬の変身。
そこには一匹のドラゴンが出現していた。
蒼い鱗に四本の手足。西洋のドラゴンそのままだ。
「竜格闘技、蹴爪踵落とし!」
俺は何を見ているのだろうか。
マクバーンが変身したドラゴンは、事もあろうに腰を落として低い体勢になると、足を振り上げて踵をッ、踵を上級魔族に叩きつけた。
全体重が乗ってる重い一撃。
間違いなく武術の動きだ。
踵の先には蹴爪――鋭い魔剣のような爪が生えている。
「ぐべっ!」
耐性――そんなもの関係ねえとばかりに爪が上級魔族の背中に突き刺さり、切っ先が腹まで貫き抜ける。
「オウラァ!」
再び足を振り上げ、ドラゴンの巨体が空中で一回転する。いや、翼の意味は!?
空中で両足を交差させて蹴爪に刺さった上級魔族を片足のつま先――の竜爪で突き刺し、足を左右に開いて引き裂く。
牛裂きの刑よりパワーのある空中ドラゴン交差だ。
「あっびゃぁあ! ぶあッ!ぶげッ! ぶごッッオオオオォォォooo!!」
上級魔族は土手っ腹を引き裂かれて声にならない叫びを上げる。すげえ、アレで即死してない。
「こんなバガナァァ! この世界で神になるはずのアタイがァァ! 転生チートのアタシがァァ!! 高貴な血筋で真の貴族で崇拝されまくって伝説になるはずのアタイがァァァアアア!!!! どうせなら! 男の! 姿で! なぶってよ! 気持ちよくないぃぃぃ!」
マクバーンはアンリの残骸を爪から外して投げ捨て、ドラゴンブレスを吹きつけた。
灼熱の蒼い炎が救出に駆けつけたオーク兵士達ごと上級魔族を燃やす。
「アッヂヂィィィィ!!! 燃える! 焼けるゥ! アツイ! 痛い! ギャアアアア!!! 助けて! 早く助けて! 痛い! はやく! 助けて! オーク! はやく! アァァア!!」
ああ、蒼い鱗のドラゴンだけどブレスは火なのか。
蒼い火ってかなり温度高いよなー。あはは。
「あのね。ヒョー君。ギルマスはね。竜人族っていう種族なんだ。彼らは普段は人間とほぼ同じ姿だけど、戦う時に竜のような爪や牙を出したりできるんだよ。そして、ごく一部の高レベル竜人は、完全竜化というスキルで大きなドラゴンに変身できるんだよ……その分、お腹減るって言ってたけど。」
一万人いたオーク兵士も、ルビーの開幕メテオ三連打と暴れ続けるイフリート三体の踏み潰し、背後で範囲魔法を連打しまくってるルビー活躍もあって徐々に底が見えてきている。
敵のボスである上級魔族もマクバーンが倒し――ているが、俺は油断しない。
前世では勝ったと油断した所で理不尽に人質を殺された俺だ。
絶対に残心を欠かすことはないと誓った。
「ギルマス。油断しては駄目だ! 黒焦げバラバラの状態からでも復活するかも!」
「そだな。きっちり灰にして――」
『ああ、やっとみつけた。ボクのシュガール』
ゾクッ
空間に思念が響いた。とてつもない巨大な力だ。
上級魔族の持っていた魔族のツールが輝く。
デジタルによるコンピューターグラフィックスのように空中に女性のシルエットがつま先から出現していき、やがて全身が実体化する。
現れたのは、長く美しい金色の髪をなびかせた、赤いコートの少女だった。大きすぎず小さすぎない適度な大きさの美乳だ。
周囲に炎が揺らめく。
魔族のツールから現れたのだから、魔族側の増援であろうか。すごい迫力だ。まるで高レベルモンスターとデスエンカしてしまったような威圧感がある。
「えーと、ごめんね? 本来ならこの世界の人類に合意の上で憑依をしてアバターを取得しないといけないんだけど、とても急いでいたんだ。だけどこの周囲にアバターになれる対象がいなかったんだ。だからね。あのね。本体がこちらに来ることは流石に無理だったから、『影』を大急ぎでこしらえてきたんだよ。これは凄くコストがかかって、どうしても収支が損になっちゃうから普段は誰もやらないんだけど。憑依より本体に近い力を発揮できるんだ。」
金髪の少女がしゃべる。誰に向かってだろう。周囲全てに話しかけているのだろうか。
足元は浮いたままだ。
その圧倒的なレベル差に当てられて、俺たちも、生き残りのオーク兵士も全員動けない。
魔族のツールでは動画チャンネルの視聴者たちが大騒ぎになっていたが、生憎それがわかる仲間はいなかった。
金髪の少女は、指先を向けて魔族のツールを遠隔操作し、チャンネルを閉じた。
魔界へ向けての生放送は終了した。
「えっとね、それでね。自己紹介しないとね。ボクはマリ。この世界では以前、『リュウスキー』って名前で憑依してたアバターが呼ばれていたよ。それでね。えっとね。竜人族を創ったのはボクなんだ。」
赤いコートがひるがえる。
マリと名乗った少女は宙をすべり、マクバーンの前にやってきた。
「ああ、ボクのシュガール。ボクは君に再び会うために、竜人族を創造したんだよ。」
「人違いだぜおじょうちゃん。俺はマクバーンだ。」
マクバーンがドラゴンに変身したままマリを否定する。
ドラゴンの前に浮いているマリは、ひと噛みで食いちぎられてしまいそうだ。
だが逆だ。マクバーンがいつでもマリに殺される立場なのだ。
「うん。君はマクバーンだ。だからね。ごめんね。君を材料にして、シュガールを創るんだ。君という存在は消滅するけど、それは不可逆だけど。でも、君の肉体と魂はより上位の存在の材料として活用ぁわ――」
「ドラゴンファング!」
マクバーンがマリに噛み付いた!
マリは微動だにせず、周囲に赤いバリアが展開して竜の牙を止める。
「ハイ・バインド」
マリが右手を突き出し魔法を放つ。
黒いオーラがマクバーンを縛りつけ、両腕と竜翼を拘束した。捕縛魔法自体はよくあるが、これはかなり上位の魔法であり拘束力が高い。
「怖がることはないよ。それにボクは君さえ材料になってくれれば、君の友達を見逃すよ。うん。やくそく。そのほうがいいでしょ?」
つまり俺たちを人質に取ったということだ。
オーク一万人より、上位魔族が憑依したアンリより、リュウスキーの影は遥かに恐ろしかった。この場にいるすべての生命の皆殺しでさえ簡単にやってのける凄みがあった。
下手に動けば みんな しぬ。
「ヒョー君。これで、何とかならない?」
「これは……短剣?」
クジョウさんが短剣を手渡してきた。よく手入れがされて年季が入ってる。
ただの短剣に見えるが――かつてない力を感じる。
「これは僕がヘブンズワールドオンラインから持ち込んだ武器だ。つまり百年以上使ってる。これを消費して、この状況を打開できないかな?」
それはつまりガチャを引けということだ。
お互いに打ち明けた、秘密のチート能力。
クジョウさんの最強装備であろう弓の方を渡してこないことから察するに、この短剣は本当に使い潰してもいい装備なのだろう。
百年以上使われた、異世界からもたらされた武器。これはレアだ。とってもレアだ。
だけど……問題が一つあった。
「お金が、ありません。」
「ありゃ。うーん、僕も持ち合わせがないなー。今はねー。嫁の実家にだいぶ預けちゃったし。」
「ヒョーちゃん。」
「ルビー?」
「私の財産、全部ヒョーちゃんのものよ。こう伝えれば、条件は満たされるわ。」
「いいの?」
「いいのよ。そりゃ、ヒョーちゃんも大人になった事だし若さの勢いで間違いを犯さないよう性欲の管理をはじめようかって時に新しい娘が増えると予定狂っちゃうけど。ギルマスが死にそうだから仕方ないわね。」
……おい。管理ってなんだ管理って。
ルビーお前まさか、あんなネグリジェで出てきた分際で俺をコントロール……調教するつもりだったのか! 最初は手だけで済ませてマウント取るつもりだったのかルビィイイイ!
顔色だけで察してテヘヘペロッとかしてるんじゃねえよルビイイイ!!!
「ま、まあいい。それなら……見てろよ。」
クジョウさんの短剣を天高くかかげて息を吸い込む。人生二回目のガチャだ。
落ち着いて念じろ。
冷静に。
そして一気に!!
その瞬間、マクバーンのドラゴンファングが再びマリを食いちぎらんと襲いかかった。
しかも、今度は蒼いオーラを牙に込めた。
「オーラブーストドラゴンファング!!」
どっから声を出してるんだろう。
しかし、オーラを宿した牙も赤いバリアに阻まれマリに届かない。
ピシッ
バリアの圧力に拮抗していた牙が折れた。
バキッ!
折れた牙のうち一本が、偶然俺の方へと飛んでくる。
そして偶然、掲げていたクジョウさんの短剣を弾き飛ばす。
手が滑った俺は偶然、折れた牙のほうを握ってしまった。
「ガァァァチャァァあれっ!!!???」
閃光。
柔らかな光が周囲を包み込んだ。
手の中にあるおっさんの牙が消滅する。
あーあのおっさん百歳越えてたーのーかーーあははー。
金色の光が収束する。
美少女が現れる。
金色の髪の毛。
白い肌。
大きな胸。
くびれた腰。
安産型の大きなおしり。
むっちりとした太もも。
小さい小さい、金色の鱗の竜翼。
頭から伸びた左右一本づつ、合計二本の竜角。
尾骨から伸びる、金色の鱗の竜尻尾。
紫色のドレスがよく似合う。
てか、人間族タイプじゃない?
もしかして竜人族タイプのガチャ娘?
「ふああ……。おっす、ういっす、お父様。」
ああ、その挨拶がすでにマクバーンを彷彿とさせる。
純真な瞳で俺を見るな。
「お前の名前は……リュミドラだ。」
「ありがとうございます。お父様。リュミドラ、誠心誠意お尽くしいたしますわ。」
ドラはドラゴンのドラ。ドラ娘。
ドミラではないので、ロシアの狙撃手と同じ名前ではない。
今ここに、二人目の擬人化チートガチャ娘が誕生した。
オークの骸が無数に転がり、壊れた武具が散乱し、流れた血が地面を染め、土埃が舞う。
地面は流星雨でクレーターだらけになり。崖は崩れ、道は砕け、庭は破壊され、思い出の花園は無残に滅び去った魔女の山で。
二人目の上級魔族、恐らく歴史上はじめて、影という形で世界に現れた規格外の強敵リュウスキー。
狙われたおっさんを助けるために、おっさんの牙から生まれたリュミドラが戦いを挑む。
(……短剣拾って次のガチャ娘を回すべきかな。)
誤字等ご指摘願います。




