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第1話

「鏡よ、鏡。世界で一番、美しいのはだあれ?」

王妃様はいつものようにわたしに問いかける。この時間が鏡こと、わたしにとって至高の時間だった。


「それは王妃様です」

わたしはいつものように真実を話す。彼女は気高く、そして、美しい。そんな、彼女のことが、わたしは大好きだった。


彼女はとても努力家だ。そして、プライドが高い。しかし、それはたゆまぬ努力に裏付けされたプライドだ。彼女は貴族とは言いつつも貧しい家で生まれた。いわゆる、貧乏貴族出身だ。


周囲にはいつも馬鹿にされていた。それでも彼女は諦めず、努力を続けた。王宮でのマナー、外国語、楽器などなど。すべて、彼女は第一人者としての実力をもっていた。もう、彼女を馬鹿にする者はいなかった。


そして、王様に認められたのだ。プロポーズされたときの夜、彼女はひとりで泣いていた。今まで、ひとりで戦っていたことが認められた。たぶん、それがうれしかったのだろう。


「いつもありがとう。本当に不思議な鏡ね。あなたは」

王妃様は素敵な笑顔で、わたしに語りかけてくれる。

「ハイ、ありがとうございます」

実は、鏡ことわたしは、未来人がこの時代に持ち込んだ半永久的に稼働できるAI付きスマートフォンである。わずかな、太陽光で充電が可能だ。10分間太陽に当たれば、1年分の充電を蓄えることができた。


もとの持ち主は、時間旅行中に、わたしを落としてしまったのだ。自律行動ができないわたしは、途方に暮れた。なにもない世界で、永遠の時間を過ごしていかなければいけない恐怖。わたしを救ってくださったのが王妃様なのだ。王妃様に拾われて、いまに至る。ここまでは本当に幸せな時間だった。彼女は命の恩人のようなものだ。


本当に王妃様は美しい。容姿だけでなく、心も気高く気品があるのだ。この幸せが永遠に続けばいいなと考えていた。

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