音色
カラダの中
日毎に
砂つぶ
さらさらと降り積もる
骨となり
肉となり
やがては
鳴り響く音色となった
夜の隙間から
張りぼての街が
ゆっくり
廃れていく
このまま
寝息のように
吐息のように
もし
もし
もし叶うのなら
耳を浸らせ
届かぬ指先
覚めぬ夢の
向こう側へ
このまま
ずっと
夜を染めた弦
星空は無数の針穴
吹き抜ける音色
心地がよく
微睡む
皮膚から
さらさら
音譜がこぼれ
星は弾け
月は綿毛
風は雅楽
雲は溶け
雨は眠る
ただ
今だけは
今だけは
昼を消し去り
届かぬ指も
許されぬ望みも
さらさら
さらさら
さらさら、と
廃れた街が起き上がる
その時までは
朝を忘れて
見えぬ弦
肋の砂で形造る
睡魔の悪戯
あるいは
既に夢なのか
音のない音色
まだ少し
あと少し
どうか
我が目よ
覚めないで
どうか
どうか
せめて夢の中で
このまま