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  作者: 東稔 雨紗霧
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 杯を拾って一ヶ月が過ぎようとしていたある日、妹がこんな話を切り出してきた。


 「……ねぇ、私ちょっと気付いたんやけど」

 妹がその話をしたのは、いつもの様に杯にお菓子やらを入れてオヤツを食べている時の事だった。


 「なに?」

 「最初にこの杯にさ、お菓子とか入れた次の日…私らめっちゃツキ……良かったやん?」

 「うん」

 「その後も、ちょくちょく…ツキがええやろ?」

 妹は何やら考え込みながら喋っている。


 「そやね」

 ツキが良いとは具体的に言うと、突然先生が行なった小テストで適当に単語を書いたら全部答えが当たっていたとか、バスケで3Pシュートが決まったとか、先輩の家に遊びに行ったとか、念願の犬を飼う事になったとかそんな感じの事だ。


 「でな……考えたんやけど、そうゆう日ってな……前の日にこの杯に、なんや入れた時や気付いてん」

 妹の言葉に考え込む。


 確かにこの杯の不思議に気付いた時、うちらは沢山クッキーとオレンジジュースを杯に入れた。

 そして、次の日は大いにツイていた。

 それからしばらくは、一週間位だろうか、その不思議の面白さ故に何かに取り憑かれたかのように杯に色々入れていたが、段々と飽きてきて最近では入れたり入れなかったりするようになった。


 子供は熱中しやすいが、飽きも早いのだ。


 考えるとそれと平行するかの様に、最初の頃の様なツキは徐々に無くなっていった。

 確かに、妹の言う事と最近の事は考えてみれば辻褄が合う気がする。

 …まあ、ただの偶然という考えもあるが。


 だけど、

 「うーん、まぁ確かにその通りやと思う。……実はうちな、最近気になる情報を手に入れてん」


 学校用鞄の中からある物を取り出す。

 それは、学校の図書室で見つけた一冊の本。


 「これ、数学の本やねんけど、ちょお、ここのページ見てくれへん?」


 付箋を貼っておいた目的のページを開き、妹に見せる。

 そこには

 「悪魔の数0?」

 「そ、詳しい事は書いてへんさかい分からんけど、杯の裏に彫られてあんのがOやなくて0なんやったら、あの杯に物を入れるっちゅう行為は悪魔と契約、もしくは悪魔に供物を貢いでいたことになるっちゅう仮説が立つねん」

 これならあの杯の不思議な力の説明がつく。


 「悪魔の数って666とちゃうの?」

 妹はポピュラーな勘違いをしている。


 「あんたが言うてるのは悪魔の数字やろ?それと悪魔の数はまた、別物やで」

 「へ!?そうなん?」

 やっぱり、そうだと思った。


 「あんな、そもそも666が何で悪魔の数字って言うか知っとるか?」

 「知るか!」

 「即答か!……エジプトのオクシリンクスっちゅう所の遺跡から発見された『ヨハネの黙示録』てのに書かれた一節の言葉で

【ここに知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そしてその数字は666である】

 って所があんねん。『ヨハネの黙示録』は聞いたことあるやろ?」

 「うん、確か……『新約聖書』だっけ?」

 自信はないけど……と妹は答えた。


 「そ、『ヨハネの黙示録』は『新約聖書』の最後に配置された書で、『新約聖書』の中で唯一預言書的性格を持つ書なんや。

 んで、さっき言った一節から666は悪魔の数字ってゆうのか広がったらしい」

 これは全てインターネットからの受け売りだ。

 さすがwiki。

 博識だ。


 「え、でもそれって、ようは人間が悪魔って事なんじゃ……」

 「良く分からんけど、この世界で人間が一番醜いって事なんやろ。で、最近そこの遺跡からなんと、『ヨハネの黙示録』の最古の紙片が発見されてん」

 「へぇ、何て書いてあったん?」

 興味を持ったらしい妹が身を乗り出して聞いてくる。


 「それを最新の写真技術で解析した所、616って書かれてたらしくて、そのせいで最近では悪魔の数字は666とちゃうくて616何やないかって議論されているらしいわ」

 「ふぅーん」

 欠伸あくび混じりに返された。

 「…聞いといて興味無さそうな返しすんの止めてくれへん?」


 そんなこんなでうちらは杯の謎を解明すべく、0もしくは悪魔、供物に関する情報を集める事にした。



3Pシュート

この間バスケ部のキャプテンの友人に

「ちょっとやってみ」

と言われ、人生で初挑戦しました。


……入っちゃいました(笑)

ええ、何かこう、すぽんと(笑)

いやぁ、興奮しましたね。

興奮しすぎて友人に飛びついて押し倒したら、拳骨喰らいました(爆)


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