飽くなき食べあわせへの探究心
ご飯の上に塩辛を乗せて、白湯をかけると美味しいです。
お好みで醤油と七味をかけると尚美味し。
二階に戻ると持ってきたオヤツを妹に渡し、自分の机の引き出しを開けて中を確認する。
さっき洗った後オヤツを取りに行くために一旦引き出しに仕舞ったのだが、
もしかしたらさっきまでのことは夢で、杯を拾ってはいなかったのかもしれない
と思っていたうちは杯がちゃんとそこにあることに安堵した。
杯を出して床に座り込み、台所から持ってきたオレンジジュースとクッキーをお盆から取り出して二人で床に並べる。
金の杯の方が何となく良いような気がしたから使いたかったけど、妹も同じ考えだったらしくどっちが金の杯を使うかで揉めた。
が、じゃんけんでうちが勝利したのでうちが使うことになった。
杯にジュースを注ぎ、乾杯をする。
チン
と音がした。
そして一気に飲み干そうてした所で杯の中のジュースが無くなっている事に気が付いた。
「「あれ?」」
二人の声がハモった。
「さっき、ちゃんとジュース入れたよな?」
妹に聞いてみる。
「うん、入れたと思うたで」
持っていた杯を床に起き、またジュースを注ぐ。
そしてまた乾杯をして口に運ぶがやはり杯の中は空っぽだ。
「…………」
「…………」
二人揃って無言で杯を床に置く。
今度は金の杯だけにジュースを注いだ。
持ち上げずに、杯を観察する。
杯の中のジュースはそのままだった。
「ん?無くならへんな?」
妹が訝しげな声で言う。
「どういうこと?さっきのは気のせいなん?」
「…………」
妹の質問を無視してうちは腕を組んで考えていた。
ジュースは入れた、後は無くなるだけだ。
だが無くならない。
さっきまでの行動を思い返す。
杯にジュースを入れ、乾杯して飲もうとしたらもう無くなっていた。
もしかしたら振動が必要なのかと思い付いて冗談混じりに指先で軽く杯を弾いてみる。
キーン
すると、杯の中のオレンジジュースはみるみるうちに無くなっていく。
「…………え?」
「…………はぁ?」
絶句しているうちらを余所にジュースはどんどん減っていき、そしてついには杯の中は空になった。
もう一度ジュースを入れてみる。
しばらく見ていたが動きが無いので杯を軽く弾いてみる。
キーン
すると、杯の中のオレンジジュースはみるみるうちに無くなっていった。
「…………ジュースが無くなったように見えたんやけど目の錯覚とか。幻覚とか見間違いとちゃうよな」
もしかして朝ごはんの時に試した食パンに塩辛を塗った食べあわせが悪かったのだろうか。
くそっ、味は意外とイケたのに、幻覚作用があるだなんて、こんな所に落とし穴が!?
一応確認のために塩辛トーストを食べていない妹に聞いてみる。
「二人とも幻覚を見てへん限りそれは無いと思うわ」
小さい声だがはっきりと否定した。
次いで、
「ねえ、杯にオヤツのクッキー入れてみいひん?」
と発せられた妹からの提案にうちはすぐに乗った。
今度は妹が自分の前にある銀の杯にクッキーを一枚入れる。
やっぱりただ入れただけでは反応はしないようだ。
キーン
妹が杯を軽く弾いた。
すると、まるでお湯に入れた氷が溶けるようにクッキーは小さくなり消えた。
「おもろいなこれ!」
思わず声が出た。
妹もうんうんと頷いている。
「もっかいやってみよ!」
妹の提案に大きく頷き、二人でクッキーに手を伸ばした。
それからうちらは自分たちで食べるのもそこそこにクッキーとオレンジジュースが無くなるまで杯に入れては弾くのを続けた。
その過程で分かった事は、杯にはいくら山盛りに食べ物を入れても少しずつだが全て無くなること。
一度杯に入れた物はまるで接着剤でくっ付けたように決して杯から離れず、クッキーを摘まんで持ち上げた所、杯も一緒に持ち上がること。
また液体も中に入っている間は斜めにしても、ひっくり返しても決してこぼれないということの三つだった。
塩辛トースト。
うまうま(o`∀´o)




