忍び寄る不審者
サブタイトルを打ち込んでから気付いたのですが、
大体の不審者って忍び寄る物ですよね。
「つ、疲れた〜」
図書館のテーブルに突っ伏し、脱力する。
「うん、私も疲れた」
妹も同じくテーブルにもたれている。
そんなうちらにさっきの記念式典を見た人たちは遠慮なく視線を投げ掛けてくる上に、関西特有のノリで声を掛けてくる人もいる。
しかも、その声を掛けてくる人はうちや妹好みの外形をした男の子ばっかりだ。
これが属に言うナンパか!
と最初はウキウキで対処していたが、段々面倒になってきた。
今も絡んできた男の子をあしらった所だ。
「何て言ったらええんか、わからんけど……凄いな」
生き物を杯に入れるとこうまで違うのかと思わず呟く。
「本当やな、私はさっきの人の対応で気力使い果たしたわ……ちゅうことで耀、資料探してきて」
「何でやねん!うちかて同じ位疲れとるわ!」
「はぁ〜、私はカラスのショックとさっきの記念式典やらでもう動けないわぁ〜」
「グッ、そこを突いてくるか……」
と言うか、もう平気そうだな。
「ええからほれ、さっさと行ってきい」
「はいはい」
しぶしぶ一人で資料を探しに行った。
うちかて疲れてるのに。
うちかて疲れてるのに!
大事な所なので二回言ってみた。
いくつかの資料を台車に乗せて押しながら戻ってくると、妹の近くに白い服で身を包んだ男の人がいた。
靴も含めて全身真っ白だ。
死装束みたいな服装だな、と言うかまたナンパか、そう思いながら近づくが、妹の顔に浮かぶ表情が見えた所でとっさに止まった。
妹は相手の男に警戒するような表情を見せている。
外面の良いあいつがそんな表情をおそらく初対面であろう人間にするということは、あの男がよっぽど警戒するに値する危険性があるということだ。
もしかして、変質者なのだろうか?
それか援助交際?
こんな人目のある所で?
考えても埒が明かない。
近くの棚の陰に資料を乗せている台車を置き、妹に表情を変えるなと合図しながら足音と気配を殺して、男に見つからない様に二人の会話の聞こえる位置に移動する。
合気道とは言え武術をたしなんでいる身だ、足音や気配を消すなんてそれ位はできる。
「すいません、話がよく見えないのでもう一度言ってもらえませんか?」
妹はうちに聞かせるためにか男に先ほど話していたであろう何かを説明をさせようとしている。
グッジョブ。
我が妹ながら中々気が利く。
「ああ、構いませんよ。分かりました、もう一度お話ししましょう。ですがその前に」
男はそう言うとグルンと首を回し、うちに視線を向けた。
「貴女のお姉さんにも話を聞いてもらいましょう」
気配はおそらく完璧に消したはずなのに何故うちが後ろにいる事が分かったのか。
男に驚愕し、一抹の不安を感じたがそれ以上に。
ニッコリと。
男の浮かべた笑みに、何故かどうしようもない程強い嫌悪感を覚えた。




