女らしさ。おまけ
とんでもないからみ酒をしたまことですが、一夜明け…。
途中性的な表現が入ります。
これって…
この状態ってまさか…
やっちゃった?
瞼をさす光で目が覚めると、どあっぷで斉藤さんの寝顔に思わず声が出てしまう。
どうやらあたしの部屋ではないみたいで、斉藤さんのたくましい腕はあたしの腰に回っている。
いつの間に外したのか胸のさらしもないし…。
これでもかってくらい着乱れている。
ばかばか飲んで「女らしくなる」宣言した後の昨日の記憶が全くない…。
あたしは全身から冷や汗が流れるのを止められなかった。
マジで?
初めては血が出るっていうけど、そういう気配は無いけど…
いやでもこの状態は…状況証拠がそろいすぎてるっているか…
ヤバい。
女らしくなるってあたし何やってんの!!
女になっちゃったよ!!
飛び越えすぎじゃん!
「大丈夫か?」
あたしが蒼くなっているのを見て、いつ目を覚ましたのか斉藤さんがこちらを見ていた。
「さ、斉藤さ…。」
「体は辛くないか?」
ってやっぱりあたしやっちゃったんですか?
あたしは一瞬にして顔に血が上るのを感じた。
「っあの…。」
「昨日はずいぶん激しかったからな。
身体が辛かろう?」
激しいって、あたしそんなだったんですか?!
「あたし…ホントに…」
「水瀬があれほど積極的だとは知らなかったが、良かったぞ。」
斎藤さんの切れ長の瞳が妖しくきらめき、薄い唇が弧を描く。いつになく艶っぽい色気に全身の血が引く思いだった。
「っ!!」
ああ!
あたし、やっぱりやっちゃったんだー。
初めてなのに全然覚えてねー。
とその時艶っぽく笑っていた斉藤さんがたまらないといった表情で噴出した。
「ぶっ!!」
「え?」
「いや、すまぬ。
昨日お前が酔っぱらって脱ぎだしたものだから俺の部屋で保護しただけだ。
したくなるのはやまやまだが、何もしていない。」
斉藤さんがいつになく笑いながら言った。
したくなるのはやまやまって…
てかあたし脱いで斉藤さんに迫ったんだろうか?
最悪…。
欲求不満で、襲いかかるって、サノさんじゃないんだから。
「ほんっとにすみません!!!もう絶対襲いません!」
あたしは着物の前を合わせて頭を下げた。
「まあ、かなり煽情的だったが、よいものも見られたし気にするな。
ただし、もう記憶をなくすほど酒を飲むのではない。あれをされては襲われても文句言えんぞ。」
「はい!!
もう絶対しません!」
それからあたしが、酔っ払って斎藤さんに襲いかかったという、不名誉な武勇伝が、屯所じゅうに広まり冷やかされたのは言うまでもない。