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KILLDOLL  作者: 青空ショコラ
第2章 人形の世界
9/15

9人形宗教

「いらっしゃいませ~」


女性店員の声がエアコンの効いたコンビニに響く

蒸し暑い外とは全く別の世界だ

もしサハラ砂漠から北極へ瞬間移動するとこんな感じなんだろうか

俺はおにぎりコーナーへ行きシーチキンマヨネーズおにぎり2つと明太子マヨネーズおにぎり2つ計4つのおにぎりを買った

レジへそれを持っていくと最初は笑顔で対応した女性店員だが一瞬不思議そうな顔でチラっとこちらを見ていつも通りの客にふるまう笑顔に戻る

まぁ人形がおにぎりを買うのは変だろうな

コンビニへ出ると早歩きでおにぎりが入っている袋を揺らしながらで自宅に向かった

自宅に着くと玄関のドアを開けて自室へ向かった

部屋に入るとそこには回っている扇風機を自分の方向に向けて漫画を読んでいる居候の仙道瑠奈がいた


「早く頂戴よ、それ」


袋を見ながら手を伸ばしてせっかちな態度で言った

俺は黙って袋を前に出した

態度が気に食わないのかハエを振り払うような勢いで袋を取った

瑠奈が居候して一か月がたった

最初は丁寧な態度でしおらしかったのに今ではワガママ令嬢のような態度に変貌している


「サイダーは?」

「サイダー?おにぎりしか頼んでないだろう」

「はぁ?おにぎり買ったら普通サイダー買うでしょ」


瑠奈の常識がどういうものか分からないが少なくとも普通と断言するのはおかしいと思った

ただここで変に言い返すとまた泣き始めるので謝って終わらせた

三日前瑠奈のおつかいで普通のサイダーを頼まれたが売り切れていたのでゼロカロリーのサイダーを買ってきたら大声で怒鳴って罵倒され、それがきっかけで口論になり最終的の周りの物を投げて暴れたのでそれ以来機嫌を損ねないように気を付けている

ただ瑠奈が美味しそうにおにぎりを食べているのを見ると食べたくても食べられない人形の自分に嫌気がさし一種の自己嫌悪に陥った

俺は気持ちを紛らわすために外出することにした


「友達のところに行ってくる」

「じゃ帰りにサイダー買ってきて」

「・・・・・」

「返事!!!」

「分かったよ」


俺は逃げるように自宅を出て山のふもとにある人形公民館へ行った


暑い中道路の歩道を歩いてると草原で昔の西洋の軍服を着たガイコツの人形が日本刀を振っていた


「おうガイコツ!精が出てるな!」


こっちを見た

ガイコツというのはみんなが呼んでいるあだ名でシンプルにガイコツのなりをしているからそう呼ばれている

すごい身体能力をしている人形だ


「ディアか、どこへ行くだ」

「公民館」

「公民館か、行っても変な宗教の教徒しかいないぞ」

「これも人付き合いだ・・・いや人形付き合いか」

「どっちでもいいいだろ」

「そうだな・・・じゃ行くな、がんばれよ」

「おう」


公民館に着いた

玄関の入口の上に人形公民館と書かれた木の看板が平行ではなくバランス悪く上下にずれていた

中に入ると大きな居間に人形たちがワイワイと話していた

奥には2mくらいある大きな木彫りの両足を大の字になって広げ尻をついているフランス人形の像が置かれていた

すると時計が鳴った

人形たちは像の前に置かれた空いている座布団を三日月型で囲うように座った


そして入り口とは別のドアから最初にみんなから坊ちゃんと呼ばれている日本人形が入ってきた

そした言った


「大司教の登場です、お辞儀を」


俺を含めた人形たちは座りながら畳に額をつけるぐらいの深いお辞儀をした

そして坊ちゃんが面を上げよと言って前を見ると遊園地に出てくるピエロのような人形がすわっていた

大司教である


「ありがとう、坊ちゃん、では始めましょう」


大司教は人形の歴史や人形の持つべき規範を話し始めた

教徒は熱心に聞いている

俺は同じ話を何回も聞いている

ではなぜ来るかというとこの佐渡島の大司教の教徒は実に全人形の35パーセントに及ぶ

中には島のいい役職についている人形もいる

なにより大司教は看守や看守長に深いパイプがある

なぜなら教徒から仕事で得た点数や物品、金銭を巻き上げているからだ

なぜ金銭が島にあるかというと昔日本の人形国の政治的責任者が国連の費用のお金を1000億円くらい必要な経費と称してだまし取っていたらしい

それがばれた責任者は自殺した。

だが問題があった調査員が探してもお金は見つからなかった

佐渡島のどこかに隠したらしい

国連は総動員で島中を探したが見つからなかった

しかしなぜか人形たちの間である日突然お金が流通し始めて賭け事に使われ始めた

看守長や島の責任者がそれを密告するよりうまく利用してお金を人形たちから平和的に巻き上げることにした

おろらくゲームや映画などの娯楽はそのお金で・・・

そしてその流通している中で一番お金を持っている人形は大司教と噂されている

つまり教徒の中にはお金目当ての人形もいるかもしれない

当の自分も人形付き合いのためと言っているがその下心がないわけでない

まぁもしもの時に看守長とパイプの太い大司教とある程度の関係になることは悪いことではない


「ではこれで終わります」


大司教の教えが終わった、そして大司教は必ず最後に同じことを言う


「いいですかみなさん、罪とはどんな人間も犯します、それ自体は悪いことではない。問題は自分の罪を肯定すること、自分は悪くない、間違ってないと思う事です。人形になることは罰を一度受けてます。ですからあなたちは罪な存在ではないのです。罪の意識によって我々は人形になるのです。この世界で最大の罪な存在は人形というより人を殺しても人形にならない存在です。そのような存在は絶対に許してはなりません。では皆さんこれで」


集まりは終わると談笑しながらみんな解散した

俺は公民館を出て自宅に向かった

たまに大司教が言った罪の意識について考える

もしかして自分は三池真理を撃ったことを無意識に肯定しているにでないか

いやそんなことない

自分に言い聞かせるようして体に力が入りやや早歩きになった

コンビニによりサイダーを買った


自宅に戻るとき前方からベアが歩いてきた

きっと仲間と賭博でもしていたのだろう


「よぉディア帰りか?」

「ああそうだ」


ベアは俺が右手に持っているサイダーを見て


「サイダー?家に誰か人でもいるのか?」

「いや昨日看守に欲しかった漫画をもらってそのお礼に渡そうと思って」

「そうか、じゃ元気でな!おやすみ」

「おやすみ」


自宅に戻り玄関のドアを開けた


「おかえり!」


俺とわかるや否や瑠奈が二階から降りてきた

サイダーを渡すと喜んだ顔でその場で飲み始めた

そのとき顔がまた三池真理に見えた

俺が瑠奈に世話を焼くのは贖罪の気持ちを彼女に反映させているからかもしれない


罪の意識によって我々は人形になった


大司教の言葉が頭をよぎった


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