7ある少女
朝になった
昨日の幻のせいで眠れなかった
眠りは人形に与えれた唯一の本能的欲求なのに
今になって眠たくなってくる
仕事に行かないと・・・
カレンダーを確認して今日がまた漁業だと確認して若干気持ちが落ち込み支度をしてすぐ家を出た
港へ向かって歩いていると看守や人間の地元住民用の食堂を通った
・・・今日はカレーだな
海岸沿いの向かいにあり道路を挟んでポツンと一軒建っているその食堂は朝早く港へ向かう俺の眠気をいつも覚ましてくれる料理の匂いを煙突から流れる煙と共に提供してくれる、食えないがね・・
そしてカレーの匂いで生気を取り戻し、早歩きになってズンズンと進んでいるうちにあっという間に港へ着いた
「ディア!今日もいい天気だな」
「曇りだろ今日」
「そうだな!ガハハハハ」
ベアが俺の背中を強めにたたいて相変わらず大きい下品な笑い声を上げていた
「今日は負けないぞ!ディア!」
「おう頑張れ」
そして俺とベアを含めた人形たちがゾロゾロと整列し始めた
全員並んだら看守長が現れ大きな声で点呼を開始した
朝だからみんなダルそうな返事だった。まあいつものことだ
点呼が終わりそれぞれの持ち場につこうした時
看守長から話があるらしい
「昨夜、この付近に飛行機事故があったらしい。聞くところによると海面へ真っすぐ落ちていったらしい、生存者はおそらくいない。機体も今のところ確認していないただ飛行機の破片やいないと思うが生存者が海面を漂っているかもしれないもし何か見つけたらに看守に知らせろ、いいか!」
俺は聞き流す感じでいた
不運だがたとえ生存者を助けたところで人間に戻れるわけではない
おそろくほとんどの人形たちも同じことを思っていただろう
せめて点数とか加点してくれたらいいんだけどな
俺たちは漁船へ乗って出発した。いつも通り進んでいくと、
進行方向に霧がかかっていた、漁船はだんだん霧に近づき、ついに中へ入った
視界から10mくらいしか先が見えない
漁船は止まりそこでいつも通り漁を始めた
「なんか不気味だなディア」
「ああ、なんかな」
ベアが怖がるなんて珍しいなと思いつつ、針に船に乗る前に渡される餌用のミミズをつけて海へ投げた
大きな網を使えばいいのになんで釣り竿を使うのか
おっ、引っかかった
ギアを急いで回した
「おいおいまたお前が一番か」
「かもな」
ベアが最初に自分が釣れなくてガッカリしている様子が横目で見て取れる
しかしなんか重い、どんな魚だ
俺はギアをいつもより力強く回していくと海面から黒い物体が現れた
魚ではない、布?引き揚げてみるとそれは紫色のドレスだった
「なんだぁこれ、なんで海にそんな上等のドレスがあるんだよ」
「さぁ俺も知らん」
ベアが人形や看守たちに見せるように水浸しになったドレスを両手で持ち上げた
みんながそれに注目してるいると漁船の底からドンと音がした
何事だと思いすぐ下の海面をみると強大なガラスの破片のような鉄の塊のぶつかっていることが分かった
すると看守が指をさしてあれはなんだと叫んだ
俺を含めた人形たちは指の方角を見るとなんと海面に漂っている大破した飛行機が霧からヌウッと現れた
みんなが啞然としているとハァハァと小さな声がした
海面をよく見ると一人の少女が上半身を海面に出してキャリーバックを浮きものとして必死に両手で抱きかかえていた
しかし力尽きたのか両手を離して沈んだ
急いで飛び込んだ
看守がおいっ!と叫んだのが聞こえたが気にせず海中へ入った
沈んでいく少女の手を捕まえて引き寄せ上半身を抱きかかえて足を漕いで海面へ出た
「ディア捕まれ」
ベアが白い紐のついた浮き輪を投げた
俺は少女を抱きかかえながら急いで泳いで浮き輪を抱えた
人形たちは紐を引っ張って俺と少女を引き上げた
少女をうつぶせにした。みんな集まってきた
看守が何か言おうとしたが少女の苦しそうな顔を見て唇を動かすだけで何かを言いあぐねている感じだ
「大丈夫か、意識はあるか?」
俺は少女の頬をやさしく叩いて話しかけた
よく見るとすごい美少女だ、セーラー服を着ている
少女は目を薄く開け口を開いたが唇だけ震えて言葉を発せないでいた
すると力強く少し首を上げてかすれた声で言った
「だ、大丈夫です・・・」
少女はバッタリと全身の力が抜けたように頭を甲板にコツンと打って意識を失った
「これとんでもねぇ、急いで本部へ連絡しろ」
「はい!」
看守同士が話している
俺は少女を見ていると姉に似ていると思った、いやどちらかというと三池真理に・・
ふと見ると少女胸もとに首飾り、ペンダントをしてることに気が付いた
それをそっとチェーンを手元に引き寄せると飾りは鉄の塊で何かの形をしていた
十字架?いやアルファベットのT?
俺は良く見るためにペンダントを少女から外した
すると看守が
「おい!人形!何してる!」
俺は慌ててポケットにペンダントを入れ立ち上がった
看守が近づき
「この少女はお前の手柄だが今度許可なしで海に飛び込んだら銃殺だ。分かったな」
「分かりました、すみませんでした」
看守はすっきりした顔で振り返り人形たちに持ち場を離れないように怒鳴った
俺はその少女をもう一度見た
最初は姉に見えたが三池真理と似ていると意識したらすっかりそう見えてしまった
すると海の遠くから大きな音がした
俺はすごい勢いで振り向いた、心臓の音が大きくなってる
雷だ、嵐が来る
これから何かが起こる、そう告げているように感じた




