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KILLDOLL  作者: 青空ショコラ
第2章 人形の世界
5/15

5小さな娯楽

「おーい、魚釣れたぞ!これはなんだ?サンマか」

「いやたぶんサバだろ」

「まじかよ、じゃたいした点数にならねえな、ガハハハハ」


2mある巨大なクマのぬいぐるみの男が釣ったサバをかかげて笑っている

名前は小島健太、みんなからベアと呼ばれている人形で人間時代はジャガイモ農家をやっていたらしい


「しかしディア、お前もサバしか釣れないな」

「アジだよこれ」

「マジかよ、えっとアジだと一匹3点だから7匹釣ってると、ええと」

「21点な」

「マジか、21点もありゃプレステージ2と交換できるじゃねぇか

 俺やりたいゲームがあるんだよなぁ」

「いやためるよ」

「ためる?なんでぇ、プレステージ2買ってみんなでゲームしようぜ

 ・・・おめぇもしかして外」


「おいうるせぇぞ人形ども!口の前に手動かせ!」


そう看守に言われてベアは急いで持ち場に戻った

今は白い漁船の上にいる

看守が銃を持っていて俺たちを見張っている

船から海へ飛び込んで逃げるなんてことをしないように

俺が来たばかりのころ同じ船に乗っていたウサギのぬいぐるみの人形が逃げようと海へ飛び込んだのを見た

速攻で銃殺された

そこで初めて人形は撃たれると血が出ることが分かった

おそらくナイフを刺しても同じだろうな

ここへ来て2ヵ月がたった、島の生活もある程度慣れた、この島では漁業、酪農、農家や土方、建設などの仕事をさせられている

そこで仕事の出来に応じて点数がつけられてその点数を使って遊び場にある娯楽物つまりゲームや映画・アニメ・ドラマDVD、パソコン、そして外出許可券などと交換できる

俺はその外出許可券を狙っている、理由は家族と僅かな時間でもいいから会いたいためである


「よし終了、港へ戻るぞ、全員定位置に集合!」


俺たちは看守に監視されながら船の中心に集まり座った

船は動き出した

少し揺れて隣の人形に寄りかかりそしてまた姿勢を戻した

海の水平線に沈みかかった太陽の光が海水に反射して綺麗だった

この光景みるのは嫌いじゃない

田んぼに住んでいた時には絶対見られなかった景色だ

しばらくすると強大な吊橋が見えた

それは新潟市と佐渡島を繋ぐ巨大な橋だ

人形を集めるために国連が費用を負担して作った吊橋だ、ほんとに巨大だ


そして港に着きぞろぞろと漁船を下りてダラダラと歩きながら

他の船から来た人形たちと合流して整列をした


「点呼開始!」

「一番山田浩二!」

「はい!」

「二番木村栄一」

「ふぁい」


と次々と看守が番号と名前を読み上げ人形たちが返事をする

しばらく俺の名前は呼ばれないだろうと思って少し肩の力を落としていた時

俺のすぐ後ろにいるベアが小声で話しかけてきた


「なぁディア、おまえこのあと遊び場行くよな」

「考え中かな」

「なお行こうぜ、久しぶりにボウリングしようぜ」

「1ゲームだけだったらいいよ」

「よし決まりだ」


「五十番ディア・アルフォート!」

「はい」

「五十一番小島健太!」

「はい!」


点呼が終わり次は人形たちが列をなして点数票を貰いに行く

船の中で看守がそれぞれの人形の成果に応じて点数をつけたデータから

点数票を作るのである

点数票係は人間がやる

俺たちの担当は20歳の女性で名前は亜月蜜柑という

そして前の人形がもらい終わり俺の番が来た


「番号と名前は?」

「十六番エイブラハム・リンカーン」

「真面目に」

「悪かった、五十番ディア・アルフォート」

「今日も一位だね」

「ありがとう、また一位とったら飯行く?」

「あんた飯食えないでしょ」

「冗談だ、いつもありがとう」

「どうも」


蜜柑は少し笑って次の人形に目を向けた

俺はすぐどいた

人間の頃はこんな下らないジョークは言わなかった

あまりにも娯楽がないとこんなことで退屈しのぎをするのだろう

飯は食べれない飲み物も飲めない

最後に食べた母のチャーハンの味や暑い夏に飲むサイダーの味が覚えられなくなっていった

苦しい空腹と喉の渇きだけがずっと残る

他の人形も同じだ、だからそれを紛らわすためにみんな遊び場に行くのだろう

人間の頃は何気なくしていた友達との会話も今考えると貴重な娯楽だと思う

楽しみを感じる心は娯楽が多いとむしろ鈍くなる

俺は沈んでいく太陽をみながら遊び場へ歩いて向かった


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