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KILLDOLL  作者: 青空ショコラ
第2章 人形の世界
11/15

11帰り道

三人の同居生活は意外とうまくいった。

キラーはとても気遣いで、会話の時は常に聞く側で自分から率先して話したりはせず、ましてや相手の言葉を遮ったりはしない

聞き上手とはこういう事なんだろう

ある時は野菜や豚肉などを調達してカレーを作ったりしてくれる

瑠奈は美味しそうに食べる

最初は警戒していた瑠奈だがだんだん打ち解けて来て最初はキラーさんと呼んでいたのに今では元気にキラー!と呼び捨てしている

キラーもそれを笑顔で答える

俺は瑠奈の世話係りの存在としてキラーを頼りにしていた

家の中だけではない

仕事でもすごい活躍をしていた

漁では毎回ノルマ以上の成果を出し俺の倍以上の魚を釣り上げる

ベアと比較すると5倍以上である

さらに非常にフレンドリーですぐに他の人形と仲良くなった

大司教の集まりにもよく顔を出し教徒たちとも親しい関係になっている


キラーが来て一か月が経ち稲刈りの時期に入る頃だ

俺たちはいつも通り漁を終え家に帰る

帰り道は二人でいつもたわいのない話をする

キラーは瑠奈の食べるシチューの材料が入ってる袋を揺らしながら笑顔でこちらを見て話していた

俺はずっと気になっている事があった

こんな誰にでも好かれるような性格の持ち主がなぜ人形になったのか

おそらくは故意のない事故のようなものだろう

俺は勇気を出して声を若干震わせ、聞いた


「なぁ、キラー」

「なんですか」

「前から気になっていたんだが・・・その・・・」

「なぜ私がなぜ人形になったか、ということですか」

「えっ」


俺は呆気にとられ、誤魔化すようにキラーから目を背け、口を震わせ何を言おうか焦った

しかしキラーは全てを見透かすような目で続け


「いいですよ別に、他の人形からよく聞かれますし」

「そ、そうか」

「簡単に話すと心中です」

「心中?」

「そうです。私は家族を殺したのです。何があったか話すと家族は父と母、姉と私の四人家族の貧しい家庭でした。父は家族を仕事で支えていましたが貧困からコンビニ強盗をやらかして、そのとき店員を銃で撃ってしまったのです。父は人形となり北海道へ。稼ぎ頭を失ったので貧困で食べるものもなく母から心中を提案されました。姉も貧困で進学を諦め人生に絶望していたのでその提案にのり、私ももうどうでもよくなったので心中を決意しました。そしてガス自殺をしようとし密閉された部屋で私がガスをつけて実行しました。結果はどうなったか。実は最初に母が死に次に姉が死にました。私はまだ生きていました。その結果殺したのは私ということになり人形になりました。そのときなぜか死にたくないと思い部屋から抜け出しました。そこでたまたま近所の人に会い通報され捕まり佐渡島に送られ今に至るという事です」

「・・・・・」

「気にしないでください。気にしてませんしトラウマなんて感じじゃないですから、むしろ人形になってもう一度チャンス与えられたと考えるとなんか幸福な気持ちになるのです」

「強いな、キラー」

「いえいえ」

「俺もなぜ人形になったか話していいか」

「どうぞ」


俺は姉をいじめていた女の子を銃で撃ってしまったことを話した

話しているとき恐怖心と必死になって戦っていた

どんな反応をされるのだろう。話し終わるとキラーは足を止めた

そしてこう言った


「あなたは悪くありません」

「えっ・・・」

「あなたはとてもやさしい方なんですね」

「その娘を撃ったことが?」

「いえ違います。あなたの話しぶりを見るにそれを非常に後悔していることが分かります。そして完全に償いたいと思っている。あなたは今もその女の子を思い続けている。」

「どうしてそう思うんだ?」

「わたしとあなたは似てます。一緒に暮らしていて気遣い症の部分が見えるときがあります。さらに強い犠牲精神を感じたりすることもあります。なぜか。私とあなたは人形になっても本当の意味で償ってない、むしろ償うことなんてできないと思っています。だから背負った罪を贖罪する形で周りにやさしさをふるまっているのです」

「・・・そうか。ありがとうキラー、そんなこと言ってもらえてうれしいよ」

「いいですよ、私もあなたに会えて嬉しいです」


しかし俺はとてもじゃないが本当は自分がその罪から逃げたい、消したいと思っていることは言えなかった。

そんなことを言って本気で失望されるのが怖かった。

ましてやさしさの塊のキラーに

キラーはもしかして失望しないかもしれないが彼の中の俺のイメージが少しでも悪くなるのが怖かった

その卑しい精神が余計に自己嫌悪や罪悪感を加速させた

それを感じ取っとか知らないがキラーは気を遣った感じで


「大丈夫ですか。なにか気に障りましたか」

「いやそんなことはない。うれしいよ。ありがとう」


俺は下手な作り笑いで誤魔化した。

それを察したキラーは話題を変えた。


「今日のシチュー、瑠奈ちゃんきっと喜びますね」

「あっ、ああ・・・そうだな。シチューが食べたいなんて言ってたしな」

「さぁ、帰りましょう。瑠奈ちゃんが待ってますよ。」

「そうだな」


夕日に照らされた俺たちはまるで学校が終わり夕食を楽しみにして早く家に帰る子供のように早歩きで自宅に帰った。


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