10新しい入居者
その日は急に来た
俺は漁船で漁をして港に戻り点呼を取って蜜柑にいつも通り点数票を貰おうとした
機械から票が出て、番号と名前を言って票を手渡され帰ろうした時
「看守長からあなたに言いたいことがあるから職員会館の看守長室に来てだって」
と蜜柑から言われた
看守長から呼ばれるのは初めてだった
なんかいやな予感がする
「何の用だ」
「私も分からない、来てから話すみたい」
「わかった」
まさか瑠奈のことがバレたのか
俺は票をポケットに入れて不安を抱き人間の職員会館へ行った
職員会館は10階建てのコンクリートビルで、大きな自動ドアの入口に銃を持った人間の軍人が二人両サイドにいる
入り口前にあるガラス張りで守られているカウンターの受付の女性の人間に名前を伝えた
女性は電話の受話器を耳に当てて俺の名前を言った後しばらくお待ちくださいと言う
そして5分後電話が鳴って女性が出るとはい分かりましたと言って
「確認が取れました、五階の看守長室です。どうぞ中へお入りください」
俺は中に入るとすぐ銃を持った一人の警官が横に来た
「これから看守長室へ行く。分かってると思うが緊急時には銃器使用の許可がある。くれぐれも変な真似をしないことだ」
俺は軽くうなずいた
そして警官に先導されて、エレベーターの乗った
中は静かでシンッとしている
ドアが開くと中に入ろうとした女性職員みたいな人がチラッと俺を見てうつむいて中に入る
さらに案内されてついに看守長室の前に着いた
警官がノックをして中から入れと声がし、ドアを開けた
そこには大きいオフィスチェアに座ったいつもの看守長がいた
「座れ」
俺はディスクの前にある椅子に腰を下ろした
警官はドアの横に立っている
重苦しい空気の中看守長は口を開いた
「ディアだな?」
「はい」
「これを見ろ」
ディアは写真のついた履歴書みたいな一枚の紙を渡された
写真は俺と似たような人間に近い金髪の男の人形だった
名前はキラーと書かれていた
紙を見たあと顔を上げると看守長は続けた
「俺は忙しいから手短に話す。その人形をお前の家に住まわせろ」
俺は驚いた顔をした後、無意識にいやな顔をした
「どうした、いやか?」
「・・いやではないのですがどうして急に」
「今は住むところが少なくてな。人形の住宅管理をしているところに聞いたら町はいっぱいいっぱいなんだと、それで他に空いている住居を調べたところお前が住んでいるそこそこ大きい家がいいのではないかという話になってな」
おれはさらに苦い顔をした
それを見た看守長が
「不満か?」
「それは・・正直一人で暮らしていて心地がよかったので」
「仕方がない。一軒家に何体も暮らしている人形がいる以上お前だけを特別扱いするわけにはいかない」
「・・・わかりました。いつ来るのですか」
「明日だ」
「明日ですか」
話を終えると俺は立ち上がり部屋を出ようとした時
「あと一つ聞きたいことがある」
俺は振り返りなんでしょうと聞き返した
「この島に17歳くらいのセーラ服を着ていた人間の少女が迷い込んでいる、探しても見つからない
何か知らないか?」
どうする、いまここで瑠奈のこと話そうか
口を開けたがその時瑠奈となぜか三池真理の顔が浮かんだ
俺は一度口を閉じてまた開いて言った
「いや知りません」
「そうか」
看守長が一瞬眉をひそめたがすぐに普段通りの顔になった
逃げるような気持ちで足を後ろに出して部屋を出た
職員会館を出て自宅に帰るついでにコンビニに寄りいつものおにぎりとサイダーを買った
玄関のドアを開けると瑠奈が二階から降りてきた
「瑠奈、俺が部屋に来るまでジッとしてろ、俺じゃなかったらどうする」
「音で分かるから大丈夫だよ」
俺はおにぎりとサイダーをやって瑠奈はテーブルの椅子に座って美味しそうに食べる
いつ話を切り出そうか迷っていたが迷っても仕方がないと思い話した
「瑠奈、実は言わないといけない事がある」
「なに?」
「実は明日別の人形が入居者としてこの家に住むんだ」
言った瞬間、瑠奈の目は瞳孔が開いた。そして立ち上がり
「・・・どうして、やだよ、断ってよ」
「看守長命令だ、逆らえないよ」
「いやだ!無理でも断って!!」
「そんなこと言われても・・・瑠奈、明日警察に行こう」
「・・・ディアも私のこと裏切るんだね」
「えっ」
「もう知らない!ディアなんて死んじゃえ!」
瑠奈はおにぎりを床に投げて二階の部屋へ行き閉じこもった
俺がドアを叩いて話しかけても返事はない
どうすればいいんだ
翌日俺は朝からコンビニへ行って瑠奈が好きそうなロールケーキを買った
ちょっと高かったが
自宅に帰り部屋に閉じこもっている瑠奈に話しかけた
「瑠奈!ロールケーキ買ってきたぞ、出てこい。俺が悪かったから」
するとドシンドシンと大きな足音が部屋から聞こえてドアが強く開いた
瑠奈はロールケーキの入ったコンビニの袋をすごい勢いで取りドアを閉めた
これからどうしたものか
ドン!ドン!
玄関のドアを誰かが叩いているのが聞こえた
下へ降りてドアを開けるとそこには今日入居する予定の人形がそこに立っていた
「初めまして、ディア・アルフォート?さんでしたっけ。キラーです。今日からよろしくお願いします」
「あっああ・・よろしく。早いですね」
「すみません、今日の明け方にこの島に着いたものですから」
「いいですよ、入って」
キラーは部屋の周りを見ながら入ってきた
「整理されている部屋ですね」
「ああ、よく掃除するんだ。あんまり物欲とかないから」
すると二階から瑠奈が部屋から出る音が聞こえた
「誰かいるのですか?」
「いやぁ・・その」
階段を降りる足音はゆっくりだが大きい
俺たちの前に現れた時涙を流して泣いていた
「この子は?」
とキラーが俺に尋ねたが瑠奈はそれを気にする様子がなくて
「ディア・・瑠奈のこと嫌い?」
「え・・・」
「私のこと捨てちゃうの・・・一人にしないで」
そういって胸に顔をうずめてきた
俺はとっさに
「瑠奈・・・大丈夫だよ、一人にしないよ、一緒にいるから」
そう言うとさらに泣いた
キラーはキョトンとした顔で
「その娘、行方不明になっている女の子ですか?」
「ああ・・・そうなんだ、黙っておいてくれないか。お願いだ」
するとキラーは何故かにやけた
その笑みは非常に不気味だった
俺は少し引いた
するとキラーは
「大丈夫です、この3人だけの秘密です、これからも三人で仲良くしていきましょう」
「・・・あっ、ああ、ありがとう」
キラーは瑠奈の手をつかんで
「これからよろしくね、瑠奈ちゃん」
瑠奈は泣いている顔をキラーに向けてコクンと頷いた
こうして3人で暮らすことになった




