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異世界言ってみよう  作者: サラニネル


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続 暑さ解消スキル?の悲(喜)劇

その後お世話になった人達にマーサとカインからも開催を知らせてもらうことにした。翌日、俺達は準備の道具を買うためにハックの店に荷車を引いて向かった。

まだ午前中の早い時期だが市場は賑わっていた。そこから少し離れたハックの店では年配のお客さんが日用品などを買って出てくるところだった。


ツッコはドアを開けハックのいるカウンターに歩いて行くと声をかけた。

「ハックの爺さん!相談あるんだけど、タライってあるか?」

「おおツッコ君達、昨日ぶりじゃな...タライなら、いくつかサイズが揃ってるぞ洗濯用かね?」ハックは在庫でも見るのか、どこかチラ見すると余裕の表情だ。

「いや、違うんだよ氷作る時に必要でさ」ツッコは色々めんどくさそうな顔だ。

「氷?あの冬にできるやつか?...そういえば今度集まる時に何か冷たいものが飲める言ってたのはそれかあ!」ハックは何やら一人で納得した顔になっていた。


「そうだよ...説明すると長いんだけどよ。...まずタライがいるんだよ。そんで...」

そういうとツッコは自分達のスキルの簡単な説明を始めた。

「...なんともめんどくさいスキルじゃな、本当にできるのかのう」

ハックは顎に手を置くと半信半疑の表情になっている。

「できる、できないじゃないよ、もうみんなに言っちゃったもんね、お兄ちゃん!」アマリはボッケをニヤニヤした顔で見ながら言った。

「ああ、なんか嫌な予感がしてきたよ」

不安そうな顔でお腹を押さえるボッケを見てハックは笑いながら言った。

「まあ、頑張っておくれ。...それでどれ買ってくんだい?」


「まず直径1Mぐらいのやつだよな」

ツッコがボッケを見て確認すると、ボッケは頷いてから言った。

「木の板はあるからもう買わなくていいよ」

アマリは「板は無理でしょ」と言う目で睨みながらボッケに言った。

「けど、それで凍らなかったらどうするの」


「そ、そんときはスライムにするつもりだよ。...けど、それだと死骸が入るから小さいタライに入れてから、もう一個の小さいタライでフタしてから縄で縛ろうと思ってるんだ...というわけで小さいタライを2つと縄もください」

ボッケはアマリにタジタジになりながら追加注文をするとハックは露骨に嬉しそうに頷いた。

「でもよ...隙間から漏れるだろ?スライム死骸の液体だぞ?」

ツッコは想像して嫌そうな顔になった。


「う〜ん...スライムの液体も漏らさない道具ってありますか?」

ボッケも同じような想像になったのでハックに聞いた。

「あの液体をか?...なら毒ザル(略:毒液防ぎの皮ザル)に貼ってあった皮の袋があるから買ってけばどうじゃ?スライムも入る大きさじゃぞ?」

ハックは袋を持ってきてササッとホコリを払うと含んだ笑みをしている...アマリは売れ残りと気づいたがハイタッチしてる2人を見て諦めた。そんなアマリをドゥエンデは心配そうに見ていたが、プルは商品よりも鏡を見て何やら自画自賛していた。


「おお!それいいじゃねえか!...それもひとつくれ!そんで会計頼むぜ!」

ツッコがそう言うとハックはホクホク顔の満面の笑みで答えた。

「全部で銅貨800枚じゃな。毎度あり!...行くのが楽しみじゃなあ!」

そしてハックにお礼を言い荷物を荷車に乗っけると家に戻って行った。


家に戻って昼飯を終えると早速、庭で実験を始めることになった。

まず、庭に水を入れた大きいタライを置き、木の板を浮かべ凍らせようとした。

しかし結果はピクリとも動かない板がただ浮かんでるだけだった。

「おい!全く動かねえぞ!ダメじゃねえのかこれ?」

ツッコは呆れた顔でボッケを見ている。

「板だけに居た堪れない気持ちになったねえ」

ボッケは肩を落としため息をついた。

「お前がこんな痛いことしようって言ったんだろが!」

ツッコはボッケを睨んでいる。

「まあ、今度が本命のスライムだから大丈夫だよ...多分」

ボッケの最後の呟きは誰にも聞こえてなかった。


しばらく時間が経ち、次はスライムを皮袋に入れ縄で縛り、それを小さいタライに入れ、さらに、それを同じサイズのタライでフタをして縄で縛ったもの(略:スライムタライ)を、水を張った大タライの上に浮かべた。スライムタライはゴツゴツ言いながら浮かんで揺れていた。


「俺の顔見てみろよ!スライムのおかげでボコボコじゃねえかよ」

ツッコは顔を押さえ、息を切らし疲れた表情だった。

「本当に、入れるだけで大変だったのに、全く凍りつかないなんてね」

ボッケは足を押さえ、同様に疲れていた。

2人の顛末はこうだった。まず、スライムを捕まえようとして体当たりされる。なんとか捕まえ袋に入れようとしたしたが移動するのでツッコの顔にスライムを掴んだ手が当たりツッコがキレる。そして、やっとツッコが袋を縛り小さいタライに入れ、また縄で縛ろうとするが失敗して何回か体当たりを袋ごと攻撃を食うボッケ。そんなこんなでヘトヘトになりながら大タライに浮かべスキルで凍らせようとしたが何も変化がなかった。その光景を見たアマリとドゥエンデとプルに終始笑われていた。


「何でだろ、滑りもしない...ああああああ!そういえば聞こえる範囲って書いてあったね」ボッケは呆然と立ち尽くしている

「...じゃあ、聞こえてねえから、できねえってことか?...どうすんだよ!」

ツッコは眉間に皺を寄せ腕組みをすると考え始めた。

「もう諦めるしかないね」

ボッケはもう投げやりな感じで言うと両手を上げた。


ツッコは時折、音を立てて浮いているスライムタライを見ながら言った。

「...いや、まだ方法はあるぜえ!」

ツッコは悪巧みを思いついたようなニヤけた顔になっている。

「え!...他に何か凍らせるのあったっけ?」

ボッケは思いつかないので不思議そうな顔をしていた。

「あるだろ、ボッケ!お前だよ!...以前、俺を滑って凍らせたバチが今お前に降りかかってきたぜえ!」ツッコ本当に嬉しそうな顔でボッケを見ている。

「そ、そんなん嫌だよ!」ボッケは本当に嫌そうな顔をしている。


「何言ってんだ!お前が感謝を伝えたい会開いた張本人だからな...しっかり責任取れよ!」ツッコはボッケの肩を掴むと勝ち誇ったかのように笑い出した。

「ア、アマリ」ボッケはアマリの方を見て助けを求めた。

「お兄ちゃん頭につける枕、持ってくるね回復はプルがしてくれるよ!」

アマリもボッケの自業自得と思ったので冷たく見放した。

「え、え...あの、その」ボッケは助けを求めたが、みんなの目は冷たかった。

「じゃあ頑張れよ、ボッケ!」ツッコが肩を叩くとボッケは崩れ落ちた。


しばらくするとボッケは頭に枕を巻いて自分の後ろに、着れなくなった服を詰め込んだ布袋を用意した。

「じゃあやるか、ボッケ!いやあ心が痛むぜ!」ツッコはかなり嬉しそうだ。

「も〜さっさとやってよ!ああ!嫌だ嫌だ」ボッケは文句をいい続けてる。

「じゃあいくぜ!」ツッコはスキルを開始し、ボッケは頭を抑えしゃがみ込んだ。

「ボッケ!毎回同じ失敗だな!」ツッコは楽しそうだ。

その途端ボッケは「ンヴ」と声にならない声を出し後ろに滑ったが枕と布袋でダメージはなかった。そしてボッケは

さっきと同じ体制でツッコを無言で睨んでいた。

「ボッケ!いつも自業自得だな!」ツッコはかなり楽しんでいる。 

ボッケは、また同じ様に「ホヴッ」と滑ったがダメージはなかった。その後体のホコリを払って枕を外すと、水を張りなおした大タライの真ん中に置いた小さいタライの上に立った。そして嫌そうな顔でツッコを睨んでいる。


「ボッケ!次からは考えてから言えよ!」ツッコは口を押さえて笑っている。

その瞬間ボッケの半径50cmの範囲で足元から5cmの部分が凍りついた。

「さ、さ、寒いよこれえ」ボッケは自分自身を抱きしめて震えている。

「ザマアみろボッケ!天罰だ!」ツッコは大笑いしている。

「お兄ちゃん、だ、大丈夫!」あまりは心配しながらも笑ってしまっている。

「あ、あんた達、本当に何してんの!」プルも笑っている。

「サムイ! サムイ!」ドゥエンデもボッケの心をえぐりながら笑っていた。


結果的に直径1Mで厚さ5cmの氷から、中心の30cmのタライ分を引いたものが確保できた。中心の小さいタライを取り外し水をオケに移し入れると、タライにはかなりの量の氷が張り付いていた。それをハンマーで叩きコップに入れるサイズに割るとドゥエンデの収納に大タライごと収納した。確認すると、これだけあれば30人ぐらいは余裕がありそうだった。


その後ボッケをプルが回復すると台所にオケを持って集合した。

オケには冷たい水とハンマーで砕きすぎた細かい氷を入れたのでキンキンに冷えていた。そしてコップを人数分用意すると、みんなで乾杯をすることになった。

「それじゃあ、みんな乾杯だあ!」ツッコはコップを掲げた。

「「「「「かんぱーい!」」」」」

人間はコップを妖精達は手を上げると飲み始めた。


「はあ〜冷てええ、最っ高!もう一杯!」

ツッコは喉を鳴らして飲み干すと満足そうに息を吐いている。

「う〜ん、これはいいねえ!...もうやらないけどね!」

ボッケも喉を鳴らして飲み干した後、思い出したのか葛藤している。

「冷た〜い!これ毎日飲みたいよ」アマリはコップの氷を見て嬉しそうだ。

「マイニチ ツメタイ ノミタイ」ドゥエンデはアマリの服を引っ張っている。

「これ!いい!いい!い〜い!」プルはゴクゴク飲んで語彙力が枯渇した。

オケには結構な量があったが、瞬く間に無くなってしまった。


何日か過ぎ当日となった。その日も天気は良く打って付けの暑い日だった。

オレ達は食堂にタライと魔石と水とキノコを持ち込んで準備を始めた。

「カインさんありがとな場所貸してもらって、これ使ってくれ」

ツッコはそういうとキノコを沢山カインに渡した。

「いや、申し訳ない...ありがとう」カインは照れながら言った。

「そんでカインさん、あれ用意してくれた?」ボッケはカインに聞いた。

「ああ、エールとシードルとフルーツを絞った物は用意したぞあと、水もな、全部で銅貨400枚だな」カインは頭を掻いているが嬉しそうな顔だ。

「多分それも、沢山出るはずだから」

アマリがそういうと3人は感謝のためとは言え出費に顔が青くなるのだった。


それから、ギルド職員のマーサとギルド長のブラン、肉屋の家族(リタ、バーサ、バルク)、エーリカ、ハック、フラムル、ロルフ、フローラ、門番のグース(クレイグに頼み込んで来た)、野菜売りのハンナ、バル、あとこの店の常連達も何人か集まってきた。


しばらくして用意が整うとツッコとボッケが立ち上がり挨拶が始まった。

「みんな、集まってくれてありがとな!まずは氷の飲み物の味見だあ!」

「氷に味なんてないよ、ツッコ!」

「ばかやろ、まあ氷に味はないけど飲んだら味見じゃねえか!」

「そう言えばそうだね!」

二人が長々話しているとプルが割って入ってくる。

「早くしないと、とけちゃうよ!」

「さっさと飲もうぜえ!」ロルフが待ちきれない様子だ。

「いつまでやってるのさ!」バルは笑いながらヤジを飛ばしている。

「そんじゃあみんな、これからまず氷と水入れるからよ、スプーンでかき混ぜて冷えたと思ったら飲んでみてくれ」

ツッコがそう言うとボッケがさらに追加して言った。

「大体、混ぜて氷が半分ぐらいになったら冷えてると思うよ」

そう言うとツッコとボッケとアマリは、みんなのコップに氷を砕いたものと水を入れていった。


マーサはかき混ぜ終わると、コップを持ち冷えた水を飲んでみた。

「はぁ...冷たくて美味しいねえ」

マーサは夏場のぬるい飲み物に無い初めて感じる爽快感に目を見開いた。

「こんなに、変わるものなの?」

フローラは冬場と違い暑い時に飲むと、こうも印象が変わるものかと驚いた。

「暑い時は最高じゃ!」「これはうまいなあ!」

フラムルとハックは笑顔で話し合っている

「これ、すごいねえ」「ほんとだよ!」

バーサもハンナも嬉しそうな顔をしている。

カインも無言で驚きの表情をしている。


みんなの嬉しそうな顔を見て3人と妖精2人は嬉しさと達成感が湧き上がった。

「ただ、これだけじゃないぜ?これも冷やすともっと上手くなると思うぜえ!」

ツッコはそう言ってフルーツ絞ったもの、エール、シードルを出した。

「それじゃあ、みんな飲みたいもの言ってね!それコップに入れて氷追加するから」アマリがそう言うと、すぐに全員水を飲み干すと我先にと注文が入り好きな飲み物と氷が追加された。


「じゃあ、みんな用意はいいか!乾杯!」ツッコはコップ掲げた。

全員が「乾杯」と言いながらコップを上にあげ、その後かき混ぜ始めた。


「すっごい!美味しい!」

リタはフルーツジュースを飲んで目を輝かせた。

「少し薄くなるが、冷たいと旨いなあ」

バルクはエールを飲み、うっとりした顔をしている。

フラムルもエールを飲み目を見開くと、一気飲み干して言った。

「ああ、もう毎日これが飲みてええ!」

「なんじゃあ、こりゃあああ!」

ロルフもエールを口にした途端、喉を鳴らし一気に飲み干した。


何か、異様な雰囲気を感じツッコは先に言っておくことにした。

「もう作る気もねえが、もし売る場合は飲み物の値段の4倍以上になると思うぞ」

その瞬間酒飲みの断末魔が聞こえ始めた。

「マジでかああああ」

「そんなああああああ」

「もっと安くしてくれええ」

「そうだよねえ」


ツッコとボッケとアマリが呑気に好きなものを飲んでる内に話題がある一点に向かっていった。

「このお酒のおいしさは犯罪級よ、絶対いるわ!」

エーリカはシードルを一気に飲み干すと目が座っている。

「おかわり!」プルもその横でシードルのおかわりをたのんでいる。

「もうギルド長なんとかしてよお!こんなお酒飲めなくなるの嫌だよ!」

バルがそういうと、酒飲み達含めた全員が賛成の声をあげた!

「ワシは、氷を作る依頼だす!あと受けるように冒険者に声掛けしなければあああ」ブランはエール片手に立ち上がった。

「ワシも賛成だあああフローラも氷作れるのか?」

ロルフはもう2杯目だ、フローラもシードルを飲んで驚愕の顔で言った。

「ロルフ...私お酒がこんな美味しくなるなんて知らなかった...氷の系統も覚えなくちゃ」なんか全員が団結し始めてしまった。


せっかく冷たい酒を飲んでいい気分になってたツッコ達も周りが気になりだした。

「すごい高くなるのに?どうしよ!勝手に火がついちゃったよ!ツッコ!」

ボッケは嫌な予感がしてきた。

「酒飲みの本能は、抑えられねえんだな!」

ツッコも言いながら、嫌な予感がしている。

「なんか、これで良かったのかなあ?」

アマリは2人を見ると笑いながら呟いた。

ツッコはボッケに向かってニヤリと笑って言った。

「あ〜あ、みんなすげえ楽しそうだなあ!...頑張れよ!ボッケ!」


後日談

それ以降、3人に新しい二つ名がついた。何しろ酒飲みの団結は思う以上にすごかった。4倍にしても飲ませろいうことで6日連続でツッコとボッケが交代で氷を作らされたのだ。そして高い冷たい酒を売ることでついた名前が「冷たいバカ」だった。ほぼ、ボランティアみたいな儲けなのにひどい言われようだ。

その後ツッコ達も疲れて休むと言い出すと、ギルド長が民意に押され新しい依頼が貼り出されたのだ...それは頑丈な人(ドワーフ等)に新しい盾を持たせて...その下にタライを置き...そこに魔法使いが氷の攻撃魔法の氷の弾丸を打ち込む荒技だった。その結果氷が量産され、すぐに解放されたのだった。

それから夏になると酒場で最初に飲む時に言う言葉ができた。それはツッコ達を褒めていると言われたが、どう考えても褒められた気がしないと笑うのだった。

「冷たいバカに乾杯!」


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