暑さ解消スキル?の悲(喜)劇
特に何もなく順調に一月経った。
まだ夕方になるには早い時間で日差しは強烈だった。そんな中ツッコ達は採集を終え森を出て街へ向かっていた。
ボッケはぬるい空気に包まれ、首の周りや脇に不快な汗を感じながらノロノロと歩いていた。運の付く鉄の兜も錆と熱が篭らないような不思議な塗料が塗られているが、熱くないわけではないので、顎紐を長くして首の後ろに吊るしていた。
「ねえ...ツッコ最近暑くない?森の中の方が涼しいね」
「木陰の中歩きてえな、クソ暑い」ツッコも同じような状態だった。
「じゃあ、ハックのとこで麦わら帽子でも買おうよ!」
アマリの言葉で、休日にハックの店で買うことになった。
「暑いい...疲れた」「アツイ...キュウケイ」
ドゥエンデとプルは、熱くなると少し飛んで疲れるとボッケのリュックに座るのを繰り返していたが疲れると座りっぱなしだった。
「帽子はいいけどさ、この暑さどうしようね」
ボッケは、服の首の部分をつまみパタパタと動かしていた。
「まあ、前にハックが言ってたウチワでも買うしかねえな」
ツッコも疲れた顔で、片方の手で日差しを遮っていた。
「クーラー欲しいねえ...そういえばツッコはスキルで凍った時あったけど、あれやれば涼しいのかな?」ボッケはツッコを見て笑いながら言った。
「そうか、そうか、俺が凍らせてやろうか?」ツッコは目が笑ってない。
「ごめんよおお、凍りたくないですう」ボッケはすぐ頭を下げている。
「バカやってないで、真剣に考えてよ」
アマリが不満顔で睨むと、即座に頷き返す2人だった。
「そもそもモンスター以外も凍るのかな?...てことは、木の板をタライに浮かべて、三回滑らしたら凍るのかな?」
ボッケは斜め上を見ながら、斜め上の意見を言った。
「木の板かあ!?...大体スキルで2回滑って頭打つはずだけど頭ねえぞ?」
ツッコはボッケをジト目で見ている。
「まあ、試してみればわかるし氷ができたら儲からない?」
ボッケは楽しそうに妄想している。
「それより、氷なんて魔法使いがいるなら作って売ってるんじゃねえのか?」
ツッコがそう言うと、帰りにギルドでマーサに聞いてみることにした。
そしてギルドに着くと、まだ夕方の混雑の時間では無いので待ち時間も無かった。
ツッコは報告が終わると早速質問することにした。
「あのおマーサさん、なんか暑くなってきたけどさ...魔法使いが水を凍らせて売ったりすることってあるんですか?」
「なんだい?氷かい?...この町では聞いたことないねえ」
マーサは売ってる店が思い浮かばなかった。
「何で?水とかに入れて飲むと冷たくて美味しいのに?」
ボッケは無い事が不思議だった。
「それは...魔法で凍らせても溶けて保存もできないからねえ...それに魔法使いも氷作るより魔物の素材とった方が儲かると思うからねえ」
マーサは考えてみたが儲かりそうに無かった。
「儲からないって...あのう、いくらぐらいなんですか」
ツッコは肩を落としていたが気になったので質問した。
「そうだねえ2倍の価格の飲み物、飲みたいかい?」マーサはそう言って笑った。
「うん!飲まないね...けど、飲み物なんて銅貨2枚ぐらいだから4枚ぐらいってことかなあ?」ボッケは質問しながら、この時点で儲からないと感じていた。
「まあ大体、それで飲むかどうかだよねえ...個人の食堂で1日お客さんなんて三十人ぐらいだよ、まあ何軒かあっても100杯売れるかどうかだよ...それなら、せいぜい銅貨100から200枚しか儲からないってことだよ」
マーサの回答はわかりやすかった。
「それはやる意味ないなあ...あ〜あ儲かると思ったのに」
ボッケはガックリと肩を落としていた。
「なんだいあなた達、本当に氷作って売ろうとしてたのかい?」
マーサはそう言うと笑い出した。
「けどよ、俺達のスキルで氷は作れそうだから儲かると思ったんだけどなあ」
ツッコも残念そうに言った。
「まあ私も氷入れて飲んだことがないから、飲めたら飲んでみたいけどねえ」
マーサは苦笑している。
「そうなんだ!じゃあマーサさんの為にも一回やってみようよ」
ボッケは笑顔になると言った。
「え!わ、私の為にそんな、無駄なことはさせられないよ」
マーサもびっくりして慌てて言った。
「いいって、いいって、お世話になってばっかだし!高く売れたら儲かるしさ」
ボッケは微笑んでいた。
そんな感じで、食堂のカインに次の7日1回の休みの日に場所を提供してくれないかと頼んだところ「みんな料理を頼むなら昼食後の暇な時間ならいい」となり「氷を使った飲料を飲みながら食堂の飯を食べてみようの会」があっという間に実現してしまった。
大体、この世界で7日に1回定期的に休んでる冒険者はいなかった。...大半は大金が入れば休んでるのが多かった、まあ実際は手入れとか準備は意外と時間がかかるのだけだった。
「また安請け合いしやがって、儲からねえって言ってたじゃねえか、多分赤字になるぞ?」ツッコはボッケを見て不思議そうに言った。
「いつも世話になってるのに何もしてなかったじゃん。感謝は大事だよ!」
ボッケは笑っていたが目は真面目だった。
「まあ...それはそうだけどよ、全く、こんな時だけは行動力が早いな」
ツッコは嬉しそうにボッケの肩を叩いた。
それを見たアマリは思った...お兄ちゃん真面目に冷たいものが欲しいだけでしょ...でも自分も飲みたいな...まあ、みんなに感謝してるし、いいことだよね...ただこれは言っとくかと。
「まあこれは、お兄ちゃんいいことしたと思うよ...成功すればだけどね」
アマリは笑いながらも疑いの目でボッケを見ていた。
「まあ...そこはこれから考えようよ」ボッケは目が泳いでいた。




