プルのおねだりの悲(喜)劇
プルは大樹に帰ってくるなりカンフォラにしがみついた。
「カンフォラ、ワタイ、すっごい能力がほしいいいいい」
「はいはい、また何かあったんですか」
カンフォラはいつものことなので落ち着いてため息をついた。
「ドゥエンデの収納能力で、なんかみんな喜んでた!」
プルは羽をブンブン振り回して興奮している。
「プルは今日は何をしたんですか?」
カンフォラはいつも通り微笑んでいる。
「応援と採集したよ。でも今日は運ぶの多かったからほぼ寝てたよ!」
プルは思い出したが、途中はボッケの鞄や荷車で昼寝していた記憶しかなかった。
「それなら、まず探す以外でも役に立つことを探すといいですね」
カンフォラは苦笑いをしている。
「何で?」プルはバカ、正直に何も考えてなかった。
「よ、喜ばれたいんじゃないんですか?役に立てば喜ばれますよ」
カンフォラはため息をついた。
「なんかすごい能力ほしいいいい」
プルはさらに食い下がりカンフォラの腕を引っ張っている
「まあ、人間が作った魔道具みたいなものがあれば使えるかもしれませんが」
カンフォラが次の言葉...頑張ってレベルを上げるしかないですねと言う前だった。
「じゃあ、もらってくる」
プルはそう言うなり飛び出して行った。
「れえ?...プル?まあ、すぐ帰ってくるでしょう。はは」
カンフォラは気にしてもしょうがないとぼーっと眺めつつ、また碌でもないことしてるんだろうなと思った。
コツコツと音がした。
ハジャルは窓に近づき外を見るとプルが張り付いていたので開けた。
「な、何だ?7日に1回の日じゃないのに珍しいな?今日は飲んでくのか?」
ハジャルは久しぶりの来訪に笑みが溢れた。
何しろプルは前は頻繁に飲み友達の家に入り浸っていたからだ。
プルは部屋を物色しながら言った。
「今日は違うよ、ハジャルって確か魔道具詳しいんだよね」
「そりゃあ昔は魔道具作ってたからな」
ハジャルは何を探してるか不思議に思ったが嬉しそうに言った。彼は昔、首都で魔道具の研究をしていた。腕は良かったが無駄なこだわりが多く上司と全く剃りが合わなかった。その為、パトロンが付くと早々に故郷に戻り趣味や一部マニアの依頼品を作ったりしながら怠惰な生活を送っていた。基本めんどくさいのであまり喋らないが、必要なら普通に喋れた。酒はチビチビ飲み、かなり酔いが回ると話すようになる感じだった。
「だから来たんだ。ワタイ凄い能力ほしいの。だから魔道具ください」
プルは腰に手を置き格好いいと思っていたがハジャルは頼んでるようには見えないので笑っていた。
「すごい能力?」ハジャルは面食らった顔をしたが、何かあったかなあと、机の引き出しをゴソゴソ探すと「気おつけろ、いつものあれ」と書かれた箱を取り出し中から、棒にでもつけるような大きさのリングを机の上に取り出した。
「あれって何だったかなあ」ハジャルは箱から説明を書いた紙を取り出し老眼鏡を付け読み始めた。
プルはリングを持ち上げると、色々見回し体にはめてみたりしていた所、そのうち頭にピッタリハマり取れなくなってもがいていた。
「何々、つけると1年は取れない。無理に外すと壊れる。何でこんなの作ったっけ?...そんで能力は」
「と、取れないの?...って何の能力ついてんの?」
プルは嫌そうな顔から一転、期待した顔になった。
「ええと、魔石部分を押さえて『いいや』と言うと」
「言うと?」プルはワクワクして腕も羽もブンブン上下させていた。
「酔いが覚めるってさ...ああ、確か作ったか。1日1回だけだけど、すごいだろ!」
ハジャルは顎に手をかけ自画自賛している。
「スッゴイイイイ!けど、違ううううううう」
プルは机に突っ伏した後、机を叩きながら悔しがっていた。
「何が違うんだ?」ハジャルは何が違うのか困惑していた。
「もっとなんか、仲間の役に立つやつが良かったの」
プルはトントン足を踏み鳴らしている。
「そっちかあ...お!まだ能力あった。なになに?1日レベルの3倍の回数だけレベルに応じた自分の属性の魔法弾が打てるって書いてあるな。使い方は魔石部分抑えて『邪魔』と言えと書いてあるな」
ハジャルは言いながら回想した...若い頃に確か仕事で「飲んでるのか?」って聞かれた時に正常にする為と、飲んでる時に絡まれた時の為に作ったなあと思い出した。他の作ったから忘れてた。
「すっげええ!ワタイも攻撃できるの!」プルは感動で体も震えていた。
「多分いけるんじゃないかな、買ったら本当はものすごい高いんだぞ?」
ハジャルはどう反応するか気になってプルの方を見た。
「ワタイバーンってできんの!やったあああああ!」
プルはその事で頭がいっぱいで羽をブンブン、両腕を上げ下げ喜んでいた。
「って聞いちゃいないな。ここではダメだぞ!」
ハジャルが言うとおとなしく頷いたので安心した。
「じゃあ、お酒ください」
プルはすっきりした顔で言うとハジャルは頭を机に打ちつけた。
「7日に1回の日じゃないのに飲んでいいのか?」
ハジャルは持ち直し一応聞いてみた。
「これがあるから大丈夫!」プルは頭の魔導具を指差してニヤけた。




