ピクシーと酒の真相の悲(喜)劇
そして7日に1日と決めた休日の前日となった。その日の採集もうまくいきカンフォラの所にプルを送ろうとすると、プルは待ったと手を出しながら言った。
「休日前になったし、ワタイも今日は街に行くよ」
そう言われ二日酔いした日以降、プルがいつも正常だったので大変助かっていた事に気づいた。
「そうか、明日休日だから飲みに行くんだな!...あんま羽目外さないでくれよ。本当に来週からも二日酔い無しで頼むぞプル!」
ツッコがプルに頼み込むと他の全員も同じように懇願した。
「わかってるって」プルは恥ずかしそうに頭を掻いていた。
「それじゃあ、まずエーリカさんのとこからだね」アマリが言うと、
「ワタイもそこ行きたかったんだ、そこまでは一緒だね」
プルの行き先も同じようだったので、みんなでエーリカの家に出発した。
いつものようにエーリカの客間に通され、近くの小川の心地よい流れる音を聞きながらまったりしてるとエーリカが、また考え事をしながら入ってきた。
「あれ、プルも一緒じゃない、アレとってきてくれたの?」
エーリカはプルを見るなり質問した。
「今日はとってきてないよ。ただ今はツッコ達を手伝ってるんだ」
プルは頭を振ってから答えた。
「そう、残念ね。また見つけたら持ってきてね、お願いよ」
エーリカはプルにお願いした。
「ねえ、ねえ、そのアレって何?気になるなあ、お金になるのものなの?」
ボッケは前のめりになって質問した。
「え..っと、木の上に珍しいキノコがあって。...それで以前に森に探しに行った時に偶然出会ったプルに頼んだら探して取ってきてくれたのよ。...そういえばドゥエンデに頼めばできそうね」エーリカがドゥエンデを見て言った。
「えぇと、その...ドゥエンデはまだ若いから森の事わからないよねアマリ」
ボッケはアマリのスキルによって生まれたばかりと聞いたドゥエンデだと森を探すのは無理と思ったのでアマリに目配せした。
「そ、そうなんです、この子は森の事ほぼ知らないんです。すいません」
アマリも少し考えて、できそうにないと気付きボッケに同意した。
「そうなの残念ね。...まあいいわ、プルがいるなら」
エーリカは残念そうな顔をしたが、すぐ切り替え説明を続けた。
「それで名前はキノウエトッコウヤクダケで、ある病気の特効薬の材料なのよ」
「そのまんまかよ!」ツッコが普通にツッコんだ。
「すごい手抜きだね、もしかして発見した人が名前つけてるの?」
ボッケも呆れたような顔をしながらも、また違う質問が浮かんだ。
「そうよ、でも植物以外も名前は大体そうじゃない?」
エーリカは、そんな所に驚いてるのが意外に思ったが続けた。
「さっきも言ったけど、木の上に生えてるから普通に取れないし中々見つからないのよ。だから見つけたら1本でも結構高額で買取になるのよ。...まあプルはお金よりお酒が欲しいようだけど、今日も飲んでく?」
「もしかして、いつもプルにお酒飲ましてるのってエーリカさんなの?」
ツッコは驚きながら言った。
「いつもかは知らないけど、来れば大体お酒飲んでくわね、まあ私はキノコ時々とってきてくれれば問題ないわ」
エーリカは素っ気ない反応で返した。
「大体がそうだけど、他にも飲む方法はあるもん。...ということでお酒ください」
悪びれなく要求するプルに全員がガクッとしたのだった。
その後はプルをおいてギルドに報告をしてから結界の家へ帰って行った。
3人が出て行って店を閉めるとエーリカは奥からシードル(リンゴ酒)の瓶を持って現れた。しかし残りが3分の1しかなく、すぐに空になってしまった。
「それじゃあ、行くわよプル」エーリカが立ち上がりプルも後に続いた。
そしてエーリカ達は少し歩き人気のない所に出ると、そこに建っている大きめの建物の横にある小さな小屋に入って行った。大きめの建物は酒を置いてある倉庫で、小さな建物が酒場の「夢の酒樽」だった。
頑丈そうな木の扉を開くと、少し暗い雰囲気の中で楽しそうな人の声と共に酒と何かを焼いた香ばしい美味しそうな匂いが漂ってきた。
「お前ら、また来たのか...」マスターのアルドは嬉しそうな悲しそうな顔をした。
「こんばんわ、マスター、シードルちょうだい」
エーリカは空いていた入口近くの椅子に座ると同時に頼んだ。
「こんばんわ、マスター、ワタイは甘い方の」
プルはプル用と大きく書かれたお手玉に座りながら頼んだ。(他にも小さい字でアホとか、バカとか、帰れとか、大好きとか色々書いてあった)
「はいよ」アルドは慣れた手で、人間用はドライのシードルをピクシー用の陶器のコップに濁りのあるシードルを注いでエーリカとプルの前に置いた。
「プル元気か!」常連のオースがエールをもう飲んでるようで明るい声で話しかけると、プルは飲みながら手を振った。
「エーリカさん、こんばんわ」別の常連のマタルがエールの入ったコップを上にあげ「こんばんわ」と言い返してる頃にはエーリカのコップの中身はほとんど残ってなかった。
さらに別の常連の落ち着いたお爺さんのハジャルが奥の席で無言でエールを呑んでいたが、2人と目が合うと軽く会釈してきたので2人も会釈で返した。
「おかわり」「ワタイも」コトンと陶器の置かれる音と共に二人の声が響く。
「はいよ」アルドはすぐに二人のコップにシードルを注ぐ。
「相変わらず早えぇ」「もっとゆっくり飲んだほうがいいんじゃないの」
オースもマタルもいつも通りだが驚いている。ハジャルは手を休め周りを見ていた。
「おかわり」「ワタイもじゃ」
コトンと陶器の置かれる音と共に二人の声が響く。
「はやいよ」アルドはすぐに二人のコップにシードルを注ぐ。
「息つくまもないのか」「なんかまた、怪しくなってきてるぞ」
オースは面白がり、マタルはプルを怪しい顔で見ていた。ハジャルはチビチビ飲みながら気にしている。
「おかわり」「ワタイもじゃあああ」
少しペースが落ちたが、また二人の声が響く。
「はええよ」アルドはすぐに二人のコップにシードルを注ぐ。
「相変わらず凄まじいな、俺もおかわり」他の常連のオルドも続く
「プルがまたやばくなってねえか!」笑いだすオースだった。
「声がでけえ!」マタルも笑い出し、ハジャルは依然としてチビチビ飲みながら少し笑っている。
「お前ら少しはペース考えて...」アルドはもう諦めの表情で話していると、
「おかわりぃ」「ワタイもじゃああああ、うめえええんじゃあああ」
大爆笑の中宴は続き...どんどん碌でもなくなるのがいつもの事だった。




