グリーンスライムと戦闘の悲(喜)劇
木が生い茂り湿った土の匂いと少し沈み込む腐葉土の感触、静けさの中に響く鳥の声や生物の動く音にビクつきながら西の森の中を歩いて行く。暫くすると以前ナイフで傷をつけた倒木の位置まで来ることができた。
「あったな、こっから探索範囲を、さらに広げるとするか」ツッコは傷を確認しながら言った。
「まあ、毒ザル(略:毒液防ぎの皮ザル)も買ったことだし大丈夫と思いたいがな。..けど、まだグリーンスライム見てねえし...スライムと同じで水の近くとなると泉とかで出るのかもしれねえな」ツッコは嫌そうな顔をしている。
「ザルといえばツッコの運のなさもザルみたいに底抜けだしね!それにすごい毒舌だし..ピッタリの装備だね!」ボッケは、ぽんと手を打つと、後ろから迫るツッコの無言の威圧を感じ振り向くことなく逃げ出した。
「...お兄ちゃんも底抜けだよ」アマリは呟き、ため息をつくと追いかけていった。
徐々に探索を進め、薬草10本、毒消3本、オオトカゲ1匹を確保したところで、地面が若干湿ってきて植物も湿地に生えるような草が見られるようになった。どうやら泉に近づいてきたらしい。
「こりゃ、泉が近くにあるみてえだな、周りを警戒しろよ!多分スライムかグリーンスライムもいるはずだ!」ツッコは真剣な表情で毒ザルを構え、長い棒で足元を気にし始めた。若干内股なのは以前の経験があるからだろう。
「そういえば泉とか、川で魚でも釣ったらお金手に入るんじゃないの?」ボッケは、また別の事を考えていた。
「..まあ、それは有りかもしれねえが、今回は捕まえる道具もねえし、また今度だ警戒しろ」ツッコは少し考えるとまた警戒を始めた。
そして湿地の生える草に沿っていくと、森の中で少し開けた場所にでた。若干眩しさを感じながら見渡すと、長い方が30Mで短い方が10Mの楕円の泉があった。恐る恐る水面を覗くと泉の水の透明度が高くかなり深そうだった。しかも急に深くなっていたし落ちたら上がるのが大変そうだ。中の様子は水草がかなり生い茂っていて、その辺りは何もわからなかった。
さらに湖の周りを探っていくと、スライムより先にグリーンスライムを見つけてしまった。というか蛍光色のグリーンで、ものすごく目立っていた。
「もしかして地球の毒のある生物と同じように毒のあるのをアピールしてるから目立つ色してるのかもしれないね」ボッケは観察しなながら呟いた。
「お前の毒吐きと同じで、すげえバカっぽく目立ってるな」ツッコはニヤリと笑うと。ボッケは憮然とした表情で文句を言いそうになった時だった。
「お兄ちゃんたち、真面目にね」アマリの底冷えする冷たい目で見られながら言われると2人とも、素直に首を縦に振るのだった。
一旦、泉から離れまずツッコにアマリのDJスキルの「守りの詩」のメロディをかけツッコの毒ザルが大丈夫か試すことになった。
「お前ら、そんじゃあ、ちょっと行ってくるけど、合図したら攻撃頼んだぞ。合図したらだぞ!」ツッコはボッケとアマリの目を見ながら念押しをすると、「守りの詩」をかけてもらい、嫌々という足取りで向かっていった。
ツッコは「守りの詩」の効果で普段よりも冷静になり相手の動きも若干スローに見えていた。
グリーンスライムはツッコが5Mまで近づくと気付いたようで、少し震え出した。
そして1Mまで迫ると少し膨らんだと思った途端ツッコに向かって毒液の塊を1回飛ばしてきた。
ツッコが毒ザルで防ぐと、さらに2回飛ばしてきたが、それも防ぐことができた。
そしてツッコが防御していると、今度は体当たりをしてきたので反対の手に持った木の盾で弾き返した。
そして、その後は10回ぐらい、もう体当たりしかしてこなかった。
「ツッコ、多分そいつ毒使い切っちゃったんじゃないの」ボッケは冷静に観察するとそう言った。
「じゃあ、もういいな全員始めるぞ」ツッコの言葉に
「「「言葉の力をはじめます」」」全員の言葉が意図せず同時になった。
「グリーンスライムって、野菜切ったもんじゃないの」「そりゃ野菜のスライスだろ」ボッケとツッコは淀みなく。
「YO! グリーンスライム ム ム ムニョチョンパ 毒撃 攻撃 まじ惨劇 アイッ(Aight)!」仮面アマリ(略:仮面をつけたアマリ)とドゥエンでは楽しそうだ。
その瞬間グリーンスライムは後方に滑り上部を打ち、さらに滑り上部を打ちつけた。上下逆さまになったか、どっちが上とかないらしい。そして約20cmの石が結構な勢いで落ちたが、やはり物理攻撃は聞いてないようで、石を退けるとツッコに体当たりをしようとしている。
しかし、それよりも3人の行動は早かった。
「グリーンスライムて緑色入れただけなんじゃないの」「お前は緑入れなくても毒吐くよな」嫌な顔をするボッケにニヤけるツッコだった。
「グリ グリ グリーンスライム! 吐き出す 毒出す もう嫌だす チェケッ(Check it)!」仮面アマリはサマになるポーズをドゥエンデと一緒にとっていた。
次の瞬間のグリーンスライムの約半径50cmの範囲が体の下の方ごと5cmの厚さで凍りついた。そして、氷ごと後ろに滑って上部を打つと、その衝撃で氷ごと体の一部も割れた。そして、もう動かなくなっていた、その上に約20cmの石が結構な勢いで落ち潰れてしまった。
「どうやら、みた感じスライムと同じみたいだな、物理系以外のスキル一発だな」ツッコはそういうと、落ちた石を除け魔石があるか、その辺の木の棒で探した。すると魔石を発見した。
「よし、こいつは魔石持ってて助かったな。あんだけ毒撃ってきて何も無しなら本当に無駄だしな」ツッコは安心した顔で言った。
「結局、スライムの方が体液分お金になるし、グリーンの方は見つけても無視だね。けど毒液が防げたのは収穫だね」ボッケは毒液のついた毒ザルを見ながら言った。
「なんか汚ねえなこれ、拭いとかねえとな」ツッコもつられて毒ザルを見るなり言った。
ツッコはいろんな所に生えているスポンジ草をいくつか収納に入れていたので、取り出すと毒を拭いてその辺に捨てようとした。
「待ってツッコそのまま捨てると毒だし、やばそうかもしれないから、オオヤスデに食べさせてみていいかな」ボッケの提案にツッコは不思議そうな顔をしながらも頷いた。
結果としてオオヤスデは、それを食べても何も問題ないというか普通に食べていた。
「ボッケなんでこいつに食わしたんだ?」ツッコはまだ不思議そうな顔をボッケに向けた。
「そのまま捨てると、毒が長いこと残るからね。いい処分方法ないかと思ったら、思いついたんだ。以前オオヤスデがスライムみたいなのの死骸も食べてたの見たし、もしかしたらと思ったらバッチリだったね、まあ、放っておいても食べてくれるだろうけど、確認してみたくてね」ボッケは安心した顔をしている。ツッコはそんなことよりキモそうだ。
「こうして食べてるの見ると、なんかほんの少しだけ可愛く見えてくるね」アマリはやや腰が引けていたが最初のイメージから格段にアップしたようだ。
「結局こいつが一番強いんじゃねえか?全部死骸食ってんだろ?」ツッコの言葉に全員、死骸を自分に置き換え想像し微妙な顔をした。




