夕暮れの草原の悲(喜)劇
夕焼けが赤く染まり、いつものように薬草とツノウサギを狩り続けていた。
「なんか薬草が、あんまないねぇ」
「まあこんな日もあるだろ」
ボッケの何気ない言葉に、ツッコも気にせず笑顔で答えた。
その日の成果は薬草23本、ツノウサギ12匹。儲けは銅貨381枚だった。
翌日、激しい雨が降っていた。
「今日は休みだな!やっぱ雨って言えば野球も中止だしな!」
「そうだね、狩りも余裕だし明日やればいいよ!」
久しぶりの雨を眺めながらツッコはそう言うと、ボッケも気軽に賛成した。
「雨なんて珍しいね!」「アメ アメ」
アマリは雨にはしゃぐドゥエンデ見ると楽しそうに家に戻った。
次の日も街の周りの草原へ出たが、やはり薬草もツノウサギも見つからない。
夕焼けが空を染める頃、ようやく収穫はあったが、その少なさに3人は戸惑っていた。
「もう夕方か?おかしいな薬草が見つかんねえ」
「なんか変だね?ツノウサギもいないんだけど?」
ツッコとボッケの顔から笑みが消えていた。
「明日はスライムにしてみる?」
二人の深刻な顔に不安げなアマリの提案が採用された。
この日の成果は薬草18本、ツノウサギ5匹。儲けは銅貨184枚だった。
その次の日にはスライムでも疑惑が形に現れ始めていた。
「スライムもなんか微妙にすくねえな。これは取り過ぎると、いなくなるってことか?」
「まあ、そうだね、明らかに減ってるね」
ツッコもボッケも不安から顔が暗くなる。
その夜は、3人とも不安で眠れなかった。
翌日のスライム狩りの成果は9匹で、魔石4個、体液9個。儲けは銅貨330枚だった。
そして異変を感じてから5日目。空が赤く染まり、草原では虫が鳴き始める。
その日も薬草もツノウサギも全く見つからず、3人は疲れ果てていた。
「なんでだ!全然ねえぞ。せっかくここまで、うまくいってたのに、また振り出しなのか」
ツッコは不安から昼も食欲がなく最後の言葉は呟きに近かった。
「ツッコ...街の周りじゃ、もう無理なんだよね。他は強いのばっかなのかな。じゃなくて、えぇと。」
ボッケは困った顔で何か盛り上げないといけないと思いつつ思いつかなかった。
ボッケとツッコは過去にいつも上手く行ってる時限って、なぜか上手くいかなくなる苦い経験が頭にちらついて険しい顔になってしまっていた。
「もう!お兄ちゃんたち、いつも心配性すぎるよ!やっぱ困った時は、マーサさんと、エーリカに聞いてみるしかないよ」
アマリの提案に、二人は驚きと嬉しさが混じって少し恥ずかしがると
「そっ..そうだよな!俺たちにはもう色々仲間いるんだもんな!」ツッコは頭を掻いた。
「うん。アマリの方が逃げ足も速いし!頭の回転も速いね!」ボッケが笑顔でいうとアマリに睨まれ、すぐ謝る事となった。そんなこんなで薬草を届けながらエーリカに話を聞いてみることにした。
いつも通り客間に通されると、雑多に置かれてるようで毎回大体同じ位置にある物達を座って眺めていた。少し待っているとエーリカは顎に手をかけ何か考え事をしながら現れた。
「…あのう、薬草こんだけなんだけど。街の周り以外で俺達でも薬草取れるとこあるかな?」
ツッコは疲れた顔で薬草を渡し、ため息をついた。
「今日も、さらに少ないわね。まあ頑張ったほうでしょうけど」
エーリカは薬草を受け取ると、少し考えて口を開いた。
「でも、これだけ取れないとなると、もう街の周りは当分ダメね。西の森に行きなさい。あの小山にかこまれた森よ。薬草も生えてるし、ツノウサギもいるって聞いたわ。ただ、グリーンスライムは毒があるから気をつけて。毒消しは持って行った方がいいわね。..そういえば、毒消しの材料も生えてるから、ついでに取ってくればいいわ。これサンプルの1本ね」
エーリカは毒消し草を1本渡し、ツッコ達の自信のない顔に気づくと少し呆れたように言った。
「…あなたたち、あれだけ薬草もツノウサギも取ってきたのに?もっと自信持ちなさいよ」エーリカ不思議そうな顔から一転ポンと手をうつと「それは別にして、とりあえずは毒消しは買っていきなさい。1本銅貨80枚だけど、いつも通り材料を届けてくれるお礼に、75枚にまけてあげるわ」そう言うとエーリカの目が光り、テーブルの上に毒消しが3本入った袋をドンッと置かれ3人は自信を取り戻した笑顔を引きつらせ、がっくり肩を落とした。
そして、完了の報告書をツッコに手渡した。そして、毒消3本と、この前使ったポーションの補充1本で銅貨320枚が財布から消えたが、不安も消えていた。




