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異世界言ってみよう  作者: サラニネル


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始まりの悲(喜)劇

見慣れた一番星が見え始め今日の終わりに何となく寂しさを覚えた頃だった。


売れない漫才コンビ「謎だらけ」のツッコミ担当の月野正人(芸名ツッコ)とボケ担当の坊野悠(芸名ボッケ)は幼馴染でコンビ前から、あだ名と同じ芸名で呼び合う仲だった。

その日、2人はボッケの家で漫才の相談をしていた。隣の部屋ではボッケの歳の離れた妹の坊野真里が、いつものようにコップを壁につけて聞き耳を立てていた。


ボッケはTVで流れていたアニメを見ると閃いた。

「ねーツッコ今流行りの異世界転生だってさ、これで作ってみる?」

「まー確かに流行ってるからな...また、なんか思いついたのか?」

「異世界言ってみよう」ボッケは笑顔で答えた。

ツッコは少し考え眉間に皺を寄せた。

「どこがボケになってるんだ?」

「場所に行ってみようじゃなくて、言葉を言ってみようって感じ」

ボッケは適当に言った。

「書かねえとわからねえだろ阿呆」

ツッコはやる気のない声でツッコみを入れた。

そのやりとりを聞いて妹は口角を少し上げた瞬間だった。

トラックが家に突っ込んできた。


気がつくと真っ白な空間で、目の前には神様らしき人物が立っていた。

ツッコは周りを確認すると、ボッケとボッケの妹もなぜかそこにいた。よく見ると妹の方は手にコップを持っていたが目が合うと引きつった笑みをしながらコップを自分の後ろの見えない所にそっと置いた。


神様らしき人物は自分に注目が集まるのがわかると話し始めた。

「そろそろいいか、お前達は家にトラックが突っ込んで死んでしまった。」


しかし、ボッケはそんな状況でも空気を読まなかった。

「神様っぽい人がいるよ...この世界はVRなの?すごいリアルだね!」

ツッコは周りの異質な雰囲気と、ほっぺをつねって確認して言った。

「バカ!ボッケ!それにVRじゃねえ!ここはあの世か、天国だろ!」

ツッコは状況を考え、目の前の神様らしき人物に質問を始めた。

「...って漫才してる場合じゃねえな、すまないけど、あんた神様なのか」

その時、真里はボッケの横でオロオロしていた。


そんな3人を見た神様は驚き若干呆れていた。

しょうがなくと言った感じで「まぁ、それに近い」と曖昧に答えた。


「俺は疑い深いんだ。です。証明をして欲しいです。大変申し訳ありません」

ツッコは神様かもしれないと思うと、だんだん弱気な口調になっていった。

「ツッコなんか敬語になったね?」ボッケは真里の方に行くと耳打ちした。


神様はツッコの反応に納得して頷いた。

「わかった、今からお前達に死んだ後の世界を見せるから判断してほしい」

そう言った瞬間だった、3人は呆然と座り込んだ。

その後、全員の頭に彼らが死んだ後の風景が浮かんできた。そこには知り合い達が別れを惜しみ、涙を流す姿が様々に映し出された。


「...わかった、わかった。もういい」ツッコは泣を流しながら謝った。

「...死んでから、言うのは卑怯だよ」ボッケは食いしばり泣きながら呟いた。

「...家、に、帰りたい」真里は嗚咽を漏らしながらつぶやいた。


神様は落ち着くまで、しばらく待った。

「それでは本題に入ろう。さっき見たように、お前達はもう元の世界には戻れない。そしてこの世界で転生すると人間になるかわからない。なので、お前達には異世界に転生してもらおうと思う。詳しく言うとお前達の魂を新しい世界へ送り、元の肉体の情報を元に、異世界のルールに合わせた形で肉体を再生し、転生することになる。行きたいと言っていたしな」


「「「はぁ?!」」」

3人の声は、意図せずともはもっていた。


「待て!俺達漫才で天下を取るんだよ!わかんねぇ世界なんて行きたくねえ!」

ツッコは死後の世界を見たことで、さらに未練が大きくなっていた。

「神様もわかってないな!僕達の価値をまだわかってない人が多いんだよ!」

ボッケも同様だった。

「ばか、神様に文句言うな!」「先に行ったのはツッコだろ!」

ボッケとツッコは言い争いは神様の冷たい視線ですぐに終了させられた。


その後、神様は少し寂しそうな顔になると言った。

「君達の漫才ほぼつまらなかったが私は好きだったよ。だから、新しい世界で、新しい人生を歩んでほしい。君達の言葉の力は、役に立つはずだ」


「つまらないは余計だ!...と思います」

ツッコの反射的に出たツッコミで神様は不満顔になった。

「僕達のこと見ててくれたんだね!」

ボッケの言葉で神様の機嫌がスッと戻ったが、続きがあった。

「でも、神様って厳しいな!」「バカ!そっちに食いつくな!」

ツッコの制止も虚しく神様は不機嫌な顔に戻っていた。


その時だった。後ろで顔を隠していた真里が震える声で言った。

「すすすすすいません。ちょっと待ってください!」

「私、元の世界に戻って、友達作りたいんです!曲とかラップもできれば、ちゃんと人前で披露してみたいんです!」

ツッコもボッケも驚き真里を見つめた。

実は真里は人見知りだったが、顔を隠し動画サイトに作った曲やラップを投稿していた。その時は顔を隠していたおかげで人見知り無く自由に話せていた。しかし、本人は気づいてないが、まるで別人のようになっていた。だが、この時のツッコとボッケにわかることはなかった。


神様は真里の方を向き寂しそうな顔で話し出した。

「すまない、それは叶えてやれない。君のラップと曲もほぼつまらなかったが好きだったよ」神様の「つまらない」の言葉で真里は泣きそうになってたが我慢して聞いていた。


神様は3人を順番に見ていくと優しい顔で言った。

「だが、異世界で使えるようにお前達の言葉の力をスキルとして与えたよ。その力と自分を信じてみてはどうかな?」

その時だった。3人の体が光で包み込まれていった。


気づくと3人は知らない場所で寝ていた。

ツッコは目を擦りながら起き、すぐ隣でボッケと真里も同じよう起き出した。

「みんな、ここどこ?僕達神様に…」

ボッケは今までいた場所から別の場所に変わったことに混乱していた。

「俺も、わかんねえ!って、おい!あれ!」ツッコが指差した。


3人が起き上がり、目の前を見るとボロい家がポツンとたっていた。

何か見覚えのある家だった。窓枠が少し歪んでいて、ポストも壊れていた。全く同じではないがボッケ達の住んでいた借家に似ていた。


玄関には異質な雰囲気の手紙が置いてあり、読める字で書いてあった。

内容は神様からだった。この世界でも以前の同じような家を用意してくれて、中にあるものは自由に使っていいこと。家を中心に約100Mほどは結界が張ってあり自分達以外は入れないので安全を保障されていること。外から見ると森に見えていること。使い方は家の中の各場所の張り紙に書いてあること。家の細かいことを書いた本が本棚に置いてあることが書いてあった。


「マジかよ!神様も粋なことするんだな!」

ツッコは驚きながら家を眺めていた。

「神様すごいね!もしかして、こっちでは楽に生活できるのかな!」

ボッケは呑気に休んでる想像をしていた。真里は少し落ち着いたのか家に興味がでてきた。


ツッコは家の中に何か潜んでないかと勘ぐり、いつのも心配性が顔を出した。

「ちょっと待てみんな!まず中の確認をして安全確認だ!」

「神様が書いたんだから大丈夫だよ、ツッコ」ボッケは呆れていた。


とりあえず入り口近くに真里を残すと、恐る恐る2人で家に入り各部屋が安全かどうか確認していった。確認後に真里を家に入れると慎重に家の周り100Mも同様に確認し特に問題なかったので戻ってきた。

確認から戻ると真里が家で見た事を報告しにきた。

「お兄ちゃん達、この家……なんか魔法の力が使われてるみたい」


真里が手招きするので見に行くと壁などに見慣れない装置が取り付けられていた。そして、どの装置も何かをはめる部分が空っぽだった。

「これ、どうやって使うの?」

ボッケがそう呟くと、真里が壁に貼られた紙を指差した。

「この家は魔力供給システムによって稼働します。そのシステムを使い以前の世界で水道や電気ガスで動いていた装置をできるだけ、この世界にある物で用意しました。魔力を補給するには街で手に入る魔石が必要です。1月分の魔石と食料はありますが、それ以外は自分で購入してください。快適な生活は君達の手にかかっています。魔石を買うにはお金が必要です。お金は君達の世界と同じように街に行って仕事をするなり、何か農産物を作るなり、狩りをするなり、好きにしてください。」


「……結局、金かよ!」

ツッコの絶叫が、響き渡った。



挿絵(By みてみん)

若干読みにくかったので、内容をほぼ変えないようにして修正しました。すいません。

神様らしき人物が立っていた。の下2行少し読みにくいので修正しました


pixivで投稿した時に、かなり昔にロゴコンペで落ちたロゴ(下手ですがインパクトあるかもと思ったので)で表紙で貼ったので付けときました。


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