心機一転、新たなスタート
新学期。逢沢このは、川島ミア、十六夜楓の三人は、二年生に進級した。
先にこのはが教室に着くと、
「おはようございます、このは」
「おはよ。このは、ミア」と続けてミアと楓が入ってくる。三人は進級してもクラスが同じだったことに喜びを隠せなかった。
最初のホームルーム。担任と生徒達が順に挨拶をしていく。このは達の担任は如月という女性の先生だ。柔らかい雰囲気で優しく、とても親しみやすい先生だった。なお、如月はオカルト倶楽部の新しい顧問でもある。
小林が逮捕された際、ニュースで報道される前に全校集会で話があった。小林はその容姿と優しい性格から、とても人気のある先生だった。それ故全校生徒のショックは大きかった。
小林に進級を祝ってほしかった、また四人で学校の怪談を調べたかった、それがこのはの率直な思いだった。
放課後。
「とりあえず、カラオケでパアーッとはしゃぎませんか?」というミアの提案で、三人はいつものカラオケ店へと向かう。
店に着くと、三人は去年の出来事を振り返っていく。
最初は柏木友香の作品を布教し、友香やオカルトについて色々語らうだけのつもりだった。それが音楽室の幽霊だったり、トイレの幽霊だったり、花壇下の白骨死体だったり、なかなか本格的な事件を解決することになった。
「なんだかんだで退屈しない一年だったよね」
「そうですね。でもまさかこの学校に幽霊が住み着いているとは思いませんでした」
「今まで解決してきた怪談、全部に幽霊が絡んでたよね。もしかしたら他にもいるかも。また夜の学校に行って探してみる?」
「いえ、わたしは遠慮しときます。ゆづき君のような優しい幽霊なら大歓迎ですが」
果たして、今年はオカルト倶楽部にどんな依頼が舞い込むのだろうか。このはとミアはワクワクしていた。
「今年も学校に伝わる怪談をどんどん解決していくぞ!」
「オー!」と、このはとミアは高らかに拳を突き上げる。
「それはいいけど、あたしはもう殺人事件は御免だから」
テンションの高い二人を見て、楓はため息をつきながら呟いた。