表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

主婦のひとり旅


これは、ひとりの主婦が、年に数回、海外ひとり旅をするようになるきっかけの話

YouTube動画にしました。読むの面倒なら聞いてください。

https://youtu.be/VYGQqgiAVVI


 むしゃくしゃする。頭にきた。

 なんでこんなにお家の事を、何でもかんでも、わたしがやらないといけないのよ。その上、夫のなかでは家事をやるのが当たり前なんだ。

 そう、わたしは家事のことになんの手助けもしてくれない夫に腹を立てていた。

 ふと、ならわたしがいなければ、夫が自分でやるしかないわよね。

 それに、子供たちなら、自分でご飯も作れるし、問題ないんじゃない?

 上は、専門学校生、真ん中は高校生、下は中学生だしね。勝手に学校へ行くよ。

 そう思ったわたしに、更に悪魔が微笑み囁いた。

「ほら、なら、香港へ行こうよ。行きたかったんでしょ? 家のこと、大丈夫、大丈夫。みんな大きなくなったし」

 その声を否定するように言うのは、わたしの良心とモラルの天使。

「無理だよ。やめなよ。叱られるよ」

 と止めに入るが、それを打ち消すように、更にその悪魔は、言葉を尽くし快楽へわたしを誘う。

 その快楽へと誘う悪魔の提案は、とても魅了的で、わたしの心は簡単に陥落した。

 なので、良心の天使が、大丈夫になるよう確認している。

 まあ、この暴挙に出る前に、ここ数年、ハンドメイドのお稽古だと、京都まで、日帰りだったり、一泊だったりのお出掛けしていた。

 すると、その悪魔は、

「一日二日多いだけだよ。家族みんなにお母さんがいないと大変!って分からさせる為だよ」

 と、良心という天使に向かい、説得を試みている始末。


 そう、お外でお仕事するようになり、家のこと、仕事と、もう眩暈がするくらい忙しかった。

 それなのに、夫は何も手伝ってくれなかった。夜の10時に帰宅したら、一言、

「何かある?」

 だったこともある。

 わたしか、家事をするのも当たり前、その上、部屋が汚いなんて、文句をぶつくさ言う始末。なら、洗濯くらいしてくれればいいのにと思い、そう伝えれば、

「親父が、娘の下着触るのは、嫌だろうしなあ」

 と、年頃の娘を持つ父親としては、気遣いのある父親としての言い訳を用意し、何もしなかった。

 いや、携帯の画面を眺め、ゲームをしている(この頃は携帯電話だった)。

 そんな、感じに何もかもいっぱいで、疲れていた。

 あとから思えば、更年期障害だったのかと思う。

 そして、そんな現実から逃避したかったんだと思う。


 良心の天使もそんなわたしの現状を見て、わたしの心の安寧のために、出かけるべきだと、最後は悪魔に追従したのだった。

 そんな時だった。タイムリーに香港エクスプレスのセールのメールが届いたのは。

 やったー、安く香港へ行ける。

 これで、悪魔の囁きが実現できる。そうわたしはほくそ笑んだ


 ここ数日、2ch、Twitterでは、LCCが日本に就航と話題になっていた。香港エクスプレスと言うLCC 航空会社が、日本―香港間に就航されると。

 その話題は、日本ではいつになるかと持ちきりだった。

 そんな時に、届いたメールだった。

 しかも運賃はなんと1円。

 空港使用料とか他にも税金とかはあるけど、運賃が1円なら、あれほど、取りたかった、香港のe道を取るための修行に、出てみるのもいいかもしれない。そう言い訳ができたわたしは香港行きのチケットを手に入れようと画策する。

 しかし、チケット争奪戦は、過酷なデットヒートを繰り広げていた。

 深夜カートが開くと同時に大量の人がサイトに殺到し、サイトにも入れない状態。運良くサイトに入れても、決算までいけなかったりした。

 深夜は人が多いので、早朝にトライ。どうにか、希望日のチケットが取れた。しかし、帰りの便がない。仕方ない。関空にしよう。関空は明後日に発売開始だから。そして京都でレッスン。そう決めた。ラッキーなことに、その日程で羊毛のレッスンがあった。

 さあ、香港へ行っちゃえ!


 家族に対する言い訳


「いつもの羊毛のレッスンへ行くからね。夜から向かうから」

 そう言って、わたしは家を出る。

 今日は一応、お仕事。それから、羽田に向かう。明日の早朝便で香港に向かう。

 そして二泊して、京都に向かうんです。京都では、レッスン。なんて効率的。計画的犯行。

 仕事がおわり、銭湯で汗を流し、羽田に向かいます。

 久しぶりの海外。それもひとり旅。もうドキドキで、なんか興奮してくる。

 羽田も久しぶりだ。今まで海外へは成田からだったしねえと思ったら、いや、香港、台湾へ家族旅行へ行った時は、成田ー香港ー台湾ー羽田だったような記憶がある。

 その時以来だね。そんなことを思い出しながら、夕飯を食べた。その後、明日まで、どこで何をしてようか悩むが、まずデバイスの充電。これ大切。なので、ネット情報をもとに、1階のコンビニ、ローソンの脇で充電することに。ローソンで買ってきた、ビールを片手に、ちょっとネットサーフィンしながらデバイス、バッテリーに充電。

 少し眠くなってきたので、橋の下で寝ることにして、3階に向かう。ちょうど、赤毛氈のベンチが空いていたので、自転車用のチェーンロックをトランクにかけ寝ることに。2時間くらいは寝られたかな? カウンターが開く時間だった。なので、カウンターに向かう。

 カウンターでは、帰りのチケットがないということで、『香港にお住まいですか?』と尋ねられたが、帰りのチケットは別に買っていた。香港―関空だ。そのチケットの控えを見せて、やっと発券。


 これを書いていて、今の海外旅行はなんて便利になったと。スマホでピピっと飛行機のモバイルチェックインできるし、携帯電話も海外でも定額料金でデーター通信できる。本当に、10年前は何をするにも、手探り状態で、色んなことがわからず、トライ&エラーで、エラーばかりという感じ。人柱に立ってくれた人には、感謝しかない。

 話が横道に反れたね。話を戻そう。


 ボーディングパスを無事もらえたので、出国手続きに向かう。流石にこの時間そんなに混んではいなかった。サクッと出国。

 そこで、一応、海外旅行保険に入る。ここで、千円二千円、ケチると、怪我や病気になった時に大変だからね。丈夫だと思っても交通事故に遭ったりするかもしれないから。サクッと加入して、さあ、調べてあった、六厘舎のつけ麺を食べよう。

 六厘舎のつけ麺がどうしても食べたかった。当時、人気があり、どのお店もすごく人が並んでいたから、並ぶことが嫌いなわたしは、羽田の制限エリアにあると聞いて、今回絶対に食べるんだと決めていた。

 そして、この時から羽田からの便の恒例となる、朝シャン。髪の毛を洗う方でなく、朝からシャンパンの略です。まあ、スパークリングですけどね。もう食べてみたかった、つけ麺にスパークリングワイン、一人旅行、最高だね。

 さあ、食事を終えたので、ゲート近くに向う。そこで、スマホを充電しながら、少し寝ることに。

 時間です。飛行機に乗り込みます。この頃は香港エクスプレスの機体に料理名がついていたはずなのに、写真を撮ってない。それだけ、テンションが高かったんでしょう。

 機内に座り、LCCなので、何も、水さえ出ない。まあ3時間だしと、思っていたが、やはり、少し興奮気味なのか、眠れない。夫が、お小遣いと言って、渡してくれた、100香港ドル紙幣を握り、白ワインを買う。60香港ドル。

 ワインの蓋をぶきって開ける。あれ、出てこない。よく見ると、なんと入り口が凍っている。少しそれを指で押し込んで、美味しくいただく。

 アルコールが入ると、昨日からの疲れで瞼が重くなる。

 気がつくと、もう香港だった。近いな〜。そうか、京都に通うようになり、2時間くらいの移動の旅は日常になっていた。

 そう、専業主婦の時は、池袋までがとても遠かったことを思い出した。だから、パートに出た時も近所にしたんだ。都内は遠いしと。でも拘束時間が長がかった。なら、拘束時間が短い所で働けば、仕事に使う時間は同じだと、都内にでた。そして、毎日、池袋に向かうようになって、1時間くらいの通勤は、苦じゃなくなった。それに、自宅付近と違うおしゃれなモノを見れる、食べれる、買える、定期券があるので、休みの日には、気軽に都内に行けるってね。

 更に、京都も年に4〜5回通うようになると、東京―京都間は新幹線を使うせいで、その2時間は短く感じていた。それよりは、東京から自宅までの方が長く感じられた。

 そんな感じに2~3時間の旅行は苦にならなくなっていた。

 そうなんだよね。

これは定年退職したら旅行三昧って思っている人に伝えたい。慣れは大切ってこと。

 定年後、旅行三昧したかったら、50代のうちにちょこちょこ出かけた方がいい。体力もそうだけと、旅行の第六感みたいなものが磨かれるから。

 退職後にゆっくりと思っていたら、腰も気力も重たくなってしまいますからね。長期は退職後でも、日帰りで、1泊、2泊の旅行は小まめに行っておいた方が良い。

 そして、退職後にばば~んとロングバケーション。そんな感じがオススメ。


 おっと話が大きくなったね。


 そんなことを思いながら、タラップを降りて、バスに乗る。

 今回は香港に入国しないで、直接、深圳に向かう。フェリーでだよ。ふふふ、楽ちん。

 そうその時は、当時は思っていたけど、当初の目的、e道の修行の事を忘れていたんだ。

 フェリーで、直接、深圳に向かうと、e道のカウントには入らなくなる。知らなかった。気がついたのは、帰りの時だった。愕然としたね。どんだけ舞い上がっていただと思う。

 だって、香港もそうだけど、当時、めちゃくちゃ気になっていた、深圳に行けるってだけで、もうワクワクして、舞い上がっていたからね、仕方ない。

 そう地下鉄が蛇口港まで開通したと聞いたからね。やっと行けると思ったんだ。今までは、蛇口からは、バスで、繁華街へ出る感じだったので、言葉がわからないと、閾値が高いからね、バスは。

 今は、ハイテクが普及したせいで、バスも簡単に乗れるようになった。これは、知らない場所で、景色を見ながら移動できる、画期的なことだと思う。

 そう、地下鉄開通ときいて、深圳に行けるって思ったんだ。前回行った時は、羅湖(ローウ)から老街(ラオジー)だけだったから。それでも楽しかったし、布もたくさん見れて、買えて、飲茶も楽しんだ。だから、もう少し、知りたかった、深圳のことを。

 当時は、今みたいな情報がなくて、仕事で向かうときもビクビクしていると、聞いていたから、深圳がこんなに発展するとは思えなかった。全然、そんな気配もなかったんだよ。その後だね、そんな気配を感じたのは。

 そして、年に2回、深圳に通うようになるなんて、本当に不思議だね。

 本当に話が逸れるね。


 トランジット扱いで、フェリーのチケットを、無事、買うことができた。それで、ほっとしたのか、お腹がすいた。なので、フェリー乗り場近くの地味なお店でワンタンメンを食べた。それがあまりにも美味しかった。ただ、値段が表示と違うって聞けば、これは、空港職員用の値段とか言っていたので、そこは社員食堂と兼業していたところだと知った。それで価格が違うんだ。でも倍くらい値段が違っていた。まあサイドミールがついたけどね。

 そうして、出発時間まで、のんびりと過ごす。

 フェリーに乗り込み出発。1時間ほどで、蛇口に着く。中国入国を終え、外に出る。

『うわー、中国だ~、深圳だ~、』

 って心の中で叫んだ。

 外に出るとまだまだ開発中って感じで、ピカピカの地下鉄の駅に向かう。その時、香港の空港で買ったSIMカードが、中国の電波掴まない事に気がついた。悲しい。高かったのに。そう思っても、ここは中国なので諦めて、先に向かうしかない。

 地下鉄で、景田に向かう。景田にはお茶の問屋さんが(景田茶宮)あると、深圳在住の方のブログで知った。なので、そこに向かうつもりだ。

 景田駅に着き、ネット情報を基に、どうにか、『景田茶宮』にはこれた。

 しかし、お店に入る勇気が湧かない。

 お店の前には、女の子たちが、楽しそうに茶葉の選別をしている。そんな風景を遠くから眺めながら、ぐるりと一周してみた。

 すると、その時、

歓迎光臨ファンイングアンリン

 と聞こえた。中国語の『いらっしゃいませ』だ。

 ふと店内を覗けば、わたしの求めていた、水仙茶がある。なので大紅袍も、岩茶もある。(同じ産地の銘柄違い。水仙は普及品、大紅袍(ダーホンパオ)と岩茶は高級品。なかには50gで万円するものもある)

 外人たと足元をみられ、高いのを勧められたら、その時はその時だ。よし入ってみよう。

 これが、この後も続く深圳お茶屋さんとのお付き合いの最初となる。このお店は、この後も何回も通い、色々とお茶のことを教えてもらったんだよね。コロナ禍のせいで、全然、深圳に行けなくなったけど、どうしているだろう。

 ようやくお店に入ったけど、お店の人は食事中だったみたい。

 大丈夫かなと顔に出ていたのか、

没関係(めいぐわんしー)」と言ってくれて、椅子に座るように言ってくれた。

 そこで、小一時間くらい、お茶を飲みながら、お茶談義を筆談でして、気にったお茶、平漳水仙というお茶を買い、満足してお店を後にする。

 次の予定は、布市場へ。晒布(しゃいぷー)という駅名なので、布市場にピッタリな場所。前回、探せなかった場所だ。

 そこは、昔のCMではないが、下から上まで、多分7階まで、布と手芸用品売場。その規模にも驚き、見るもの全てが欲しくなる。

 でも、深圳は亜熱帯なので、飾ってある布は薄手のものが多かった。あまりの多さにヘキヘキしてしまい、たいしたモノを買わず帰る。だって見るもの全てが欲しくなるし、なに選んで良いか分からなくなったから。

 なので気を取り直し、次の目的地、羅湖の茶葉世界へ向かう。そこで、やり手の女の子に、財布の中のお金を全て、香港ドルまで、お茶に換えさせられた。そんな深圳での手厚い洗練を受けて、香港に戻り、ほっと息をした。

 そうだった、当時は香港に戻るとほっとしたことを思い出した。今はどちらかと言えば、深圳の方がほっとできる。それだけ、深圳に通ってきたんだ。そう思うと深圳の街はわたしにとって海外よりもホームに近いと思えた。本当に不思議な街だ。

 以前のわたしなら色んな場所に行きたかった。異国を他国を見て、色々と日本との違いを見たかったからだ。 

 しかし、深圳を見て、この場所の発展していく姿を見たくなった。実験的に新しい事をやって失敗しても、また、次に新しい事を始める。そんなエネルギッシュな所に引かれた。もう日本には望めない、経済成長を見たいとも思ったんだ。

 そんな事を思うのは、自分が歳をとったせいかもしれない。カッコいい言い方なら、次世代に夢や希望を託すみたいな感じ。まあ、そんな事より、成長する姿って眩しくって見てみたいと思うんだよね。そんな感じで、足繁く通ったんだと思う。


 話をもどし、

 今日の宿は中環の宿だ。地図では、ヴィトンの裏あたり。そんなホテルあったかな? 恐る恐る向かってみても、全然、それらしき影も形も見えない。

 深圳では全然電波をつかまなかったsimは、香港ではちゃんと仕事をしてくれて、スマホの地図を表示してくれた。目指す先は高い階段の向こう。この階段を荷物持って上がるのか、そう思うと、泣きたくなる。

 でもひとり旅、誰にも頼れない。なので、えっちらおっちらとその階段を登る。すると、そこに、可愛いおしゃれなホテルが現れた。やっと休める。そう思うほど、疲れていた。

 さあ、ホテルにチェックインして部屋に入る。狭く、本当にベッドひとつだけという感じ。でもこのロケーションなら文句もでない。

 早々、今日一日頑張った、スマホを充電しようと、ふと、コンセントを見ると、形が合わない。アダプターを忘れてきたのだ。どうしよう。

 そうだ、近くに電気街が、あったはず。

 確認のためスマホで、検索する。

 湾仔にそれはあった。そこに向かおう。ここからだと、すぐ隣だよ。そう思い、ハンドバックだけ持ち、出かける。

 どうにか、変換アダプターを見つけ買った。湾仔駅にに戻ると、そこに大きなピザが目に入る。お店でなくピザ。もう、この大きさのピザを見て、

「いやだ、一切れしか食べきれないじゃない」

 と言う呟きがもれた。どの味にするか悩み、オーソドックスにマルガリータを選び、地下鉄に乗る。

 中環駅に着くと、そうだ、レーンクリフォードが近くにあったはずと思いだし、ワインとサラダを買いホテルに戻る。

 このレーンクリフォードは好きな百貨店。規模は小さいけど、品の良いブリカジなシックな服とか雑貨が売っている。そして、その奥に誰にも気がつかれないように食品がちょっこと置いてある。

 めぼしいモノを買いホテルに戻る。もう今日は体力も気力なくなった。本当は蘭桂坊に飲みに行こうと思っていたのに~。

 ホテルの部屋は狭いけど、ロビーは広く、テーブルもある。フロントの人に聞けば食事してもOK とのこと。なので、そこで、買ってきたピザとサラダを食べることにする。ロビーにある大きなグランドピアノは、誰がいつも弾いてる。その音を聴きながら、スパークリングとピザを食べ、ひとりの時間を満喫する。あー楽だ。何もかも楽だ。

 ほろ酔いになったので、部屋に戻り、早いけど寝てしまおう。歯を磨き、ベッドに潜り込む。シャワーは、食事の前に済ませておいた。

 さあ、隣のイビキに悩まされることもなく、ぐっすりと寝よう。

 そんなわたしの望みはむなしく壊れる。深夜といっても11時過ぎだけど、隣の部屋をバタバタする音で目が覚める。何かガヤガヤしている。怒鳴っているようだ。ちょっと怖い。まあ何かあったら、どうすると、不安になるが、10分もしないうちに静かになる。さもう大丈夫だ、さあゆっくり寝よう。


 翌日

 朝、目を覚まし、ベッドでゴロゴロしていると、携帯電話に息子1から、

「今日集金だー」

 とショートメールがきた。

 早々、息子の口座にお金を振り込む。あー、ネットバンキングって便利。

「出かけるならカネ置いておけよ」

 とか息子が送ってきた。プンプン。

 まあ、夫がいるからと思ったわたしが悪いんだね。

 そう反省するが、わたしの頭の中は、今日の朝の飲茶のことにでいっぱいになる。。

 前から行きたかった、蓮香居で飲茶だ。そこは、ここから地下鉄で一駅、上環駅からすぐにある、昔ながらのワゴンがテーブルを回るタイプの飲茶屋さん。今はほとんどテーブルで注文して出来立てを持ってくるお店が多い中、昔ながらを貫いてるお店。注文だと好きな物しか、知っているモノしか食べれない。見て頼めるのは外国人にはラクだし、色んなモノを食べたいわたしにとってはもってこいなんだ。

 さあお店に入って、席をと見回すと、優しいオジサンが、席をずれて、ひとつ空けてくれた。そこに座る。が、お茶汲みのオジサンは気がついてくれない。

「むこい(唔該)」

 と声をかけ、お茶を注文し、伝票をもらう。

 この伝票に飲茶の皿をとった時に、判子を押してもらう。その皿の種類で値段が違う。

 そして洗坏の儀式。ちゃんとできた。

 さあ、飲茶だ。前から食べたかった、腸粉を見つけそれをゲット。しかし、人気の皿はワゴンが出た瞬間に人だかりができ、なくなってしまう。なので、目的のモノを見つけたらすぐに駆けつける。

 あっ、次はエビ餃子だ。ワゴンに向かう。あっ、負けた。

 仕方なく、席に戻る。そこに、揚げワンタン、海鮮蒸し餃子(多分潮州粉果)のワゴンが来た。それを取る。あれこれ4種類位食べた。お腹いっぱいになる。お茶もたくさん飲んで満足。お会計は80香港ドル。

 なんか現地の人みたいになった気分。ふふふ。

 次は、以前行けなかったお店。食器屋さんへ向かう。

 飲茶屋さんの上の方(キャットストリートの端)なので歩いて向かう。

 その店は、景徳鎮のレトロなの品を大量にストックしていると噂のお店。普通のビルのなかの2階。

 ベルを押しても反応がない。なのでドアをガタガタする。すると中から声がする。

 スミマセン、食器を買いに来たと告げ、なかに入れてもらう。

 いや~、中を見回せば、出る言葉は、相変わらず『全部欲しい』。でも、もって帰れないから、普段選ばないような色の皿と、れんげを買い店を出る。

 お皿を五枚買ったので重い。一度ホテルに戻ろう。ここからだと、タクシーしか選択がない。もう重くって歩けない。

 当時、香港はアプリが流行りだし、タクシー呼ぶのもアプリからで、流しがほとんどいなかった。それなのにラッキーに、たまたま、流しのタクシーを見つけ、乗ってもいいと言われたので、ホテルまで乗せてもらう。やっぱりタクシーはラクだね。無事、ホテルまで着き料金を払う。香港はオクトパスカードても払える。便利と思いタクシーから降りる。

 荷物も軽くなり、次に向かったのは、中環のど真ん中にある醤油屋さんだ。Google mapでは、そこをその場所を指しているのに、見つからない。

 ぐるっと見回し。よくみれば、その店はあまりにも小さかった。(失礼)

 ても、噂のお店に来れて感動していると、お兄さんが、

「日本人?」

 と聞くから、そうだと告げる。

 すると、

「甘いのこれ、こっちはしょっぱい。豆板醤はこれ。トウチーもあると便利」

 と、日本語のセールストークに、進められるまま買ってしまった。

 異国の地で日本語でのせられるなんて~と思うけど、そうなんだよね、なんか大丈夫って思うんだ。

 でも乗せられたと思った調味料は、帰国後、麻婆豆腐作ったら全然味が違っていたから、これはこれでアリだったと思う。

 その後、その近所で魚の皮の揚げたモノを買ったり、トラムで上環の少し手前まで行き、竹だけで作られたの蒸し籠を買ったりと再び荷物が多くなる。

 時間を見ればもうすぐ2時。

 ああ、ヘリテージの飲茶、終わっちゃったよね。ダメ元で、フェリーに飛び乗り、ヘリテージのランチに向かう。ランチの食べ放題は、終わってしまったが、食事は取れるとのこと。

 今なら先にヘリテージに向かう選択をするけど、あの時はひとつひとつが楽しかったからね。仕方ない。

 ヘリテージでは、目当てのピンク色のエビ餃子とパイ生地に入った大根餅を頼む。サックっとした食感が俊逸だった大根餅。きれいなピンク色のエビ餃子。これはピンクシャンパンを使って皮を作っていると。あと蓮のちまきを頼んだ。それは、もう蓮の香りが口に広がるくらいだった。量が多いかな? と思ったが、ぺろりと完食した。

 エネルギーも摂れ、コロニア風の室内も堪能した。まあ言い換えれば、HPもMPも満タンになった状態。次は、香港で有名なホテル、ペニンシュラの食器を作ってる陶器の問屋さん、粤東磁廠へ向かう。

 途中、九龍塘と九龍湾を勘違いし戻ることになるが、それも楽しいひとり旅だ。

 ペニンシュラとお揃いの蓋椀を買い、四角いポットも買う。

 ホテルに戻り、気がつくと もう持って帰れないぐらい荷物がある。

 郵便局で段ボールを買い、日本に要らないものを送ろう。そう決めて、送るものを選別する。

 早速、郵便局に段ボールを買いにいく。

 日本はもう秋口なので、半袖も短パンも必要ないから、大きめの段ポールに不要なモノ、お茶に食器、醤油など詰め込み、クッションとして日本に送る。

 この時、重いからと船便にした事を、日本に帰り後悔する。そう日本に届いたのは、55日後だった。

 差額がたいしたことないから、航空便にすればよかったんだよね。航空便は早ければ3日後に、日本に着いたこともあるくらい早い。まあ勉強代だ。

 

 でも、香港から荷物送るのは、当時、とても安かった。なのでよく送っていた。日本に帰りに空港から宅急便使うのと、LCC の荷物代を足した位なので、別送品の申請さえ忘れなかったら便利。

 香港は、現地で、手に入りにくい段ボールまで郵便局で売っているからね。オススメ。


 翌朝

 重たい思いをして郵便局まで荷物を運ぶ。

 大きい段ボールにしたことを後悔する。

 でも無事に配送手続きを終える。帰りに池記により麺を食べるミルクティーと一緒。わーい、香港のOLさんみたいだね。

 本当は、今日は深水ぽに行きたかった。ウォーキングツアーがいっぱいだつたので、あきらめたんだ。

 なので、予定変更して、荷物をまとめホテルをチェックアウト。荷物を、一旦、ホテルに預かってもらい、香港公園へ。そこに茶器博物館があるのと聞いたので、向かう。。

 なんとその日は茶器博物館はお休み。残念と思い金鐘駅に向かいます。

 忘れていたわけではありませんが、そう当時は雨傘革命の全盛期。金鐘ではテントを張り、学生達が立てこもっていました。

 その風景を見て、加油!と心の中でエールを送る。部外者が長く留まるのはよくないと思い、地下鉄で九龍へ。JCB プラザで、エアーポートエクスプレスの格安チケットが買えると聞いたから。これから大仏さんを見に行くので、タウンチェックインをしたかったので、エアーポートエクスプレスのチケットを買うことに。大仏さんからは空港は近いので、もったいないけど、このチケット買わないと出来ないから。なら、安いチケットを買おう。

 まあ、ホテルに預けるならタダだけど、またホテルまで戻らないといけない。それなら先に飛行機まで荷物を送ってしまおう。荷物は日本まで預けられるから、便利だしね。

 しかし、エアーポートエクスプレスのチケットは、ノーストラベルまで、行かないと手に入れられない。じゃあさっさとノーストラベルまで行こう。トイレと喉の渇きを解消して、JCB プラザをあとにする。

 無事チケットを買い、ホテルに戻り、荷物を持ってタウンチェックインをする。

 空港までそのチケットで行き、バスで東涌駅まで戻ります。そこからケーブルカーで大仏まで。360°のパノラマを30分くらい堪能して、頂上に着いた。大仏を堪能したあと、心経簡林に行きたがったが、寳蓮寺から分かれる道が分からず、豆花を食べて帰ることに。東涌駅には大きなアウトレットモールがあるんで少し見て、バスで空港へ。

 空港で夕飯を食べ、飛行機に乗る。

 この飛行機の行き先は関空。明日は、京都で羊毛のレッスンよ。

 本当は、関空で空港泊しようと思ったら、あまりの寒さで断念。

 最終の梅田行きのバスに乗り、空港で速攻予約したホテルに向かう。

 やはり帰りに空港泊は無理。そんなことも分かった旅行だった。




よく言われるのは、ひとりだと淋しくない?

あまり淋しくないんですよ。好きなときに起きて、好きなモノを食べてと、やっているからなのかもしれません。

この頃は、現地集合解散の形で友人と旅行するようになってますが、全部一緒でないぶん、ひとり旅の気楽さと、みんなでガヤガヤするグループ旅行の楽しさの良いとこ取り見たいで楽しい。


深水埗

香港政府観光局のリンク

https://www.discoverhongkong.com/jp/explore/neighbourhoods/sham-shui-po.html

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ