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第1話 高校生 -あの日-

暑い日だった。


セミの鳴き声がうるさくて頭から離れない。


「もう!本当に鬱陶しい!」


とセミの鳴き声に負けないくらい大きな声で叫んだ


のは俺の彼女であるすみれ。


「ねぇ〜!琉夏(るか)!もう暑いしセミもうるさい


し、イライラしてきたからアイス買ってくれな


い〜?」


そう俺に向かって言ってきやがった。


「すみれ。その言葉さっき15分前にも言われてアイ


ス買ってあげたけどな」


「え〜!そうだっけ〜?忘れちゃった。ってことで


もう一つお願いしま〜す!」


ったく…。こいつは本当に自分勝手だよ。


付き合い始めた頃は、人の気持ちを思いやることが


できるいいヤツだったんだけどな。


俺は、もともとコイツの性格に惚れ込んで告白をし


て付き合ってもらうことができたんだ。


でも、今では付き合い始めた頃の面影が全くない。


それもそうか、付き合ったのは高1の初め、今は高3


の夏だもんな。


もう2年とちょっと経ってるのか。


時間過ぎるの早いな。


高校生になる前、つまり中学生の頃はこれから始ま


る高校生活に胸が躍っていた。


しかし、現実はひどく辛い高校生活だった。


楽しいことも勿論あった。


なによりすみれと付き合えたことが嬉しかった。


だけど、俺の高校生活を一言で表すなら「絶望」だ


ろう。


学校が楽しくなかったわけではない。


母親が高2の春に亡くなったんだ。


それ以来、なんでかわからないけど外に出ると悲し


くなって涙が止まらなくなってしまう日が何日か続


いた。


なにより高2の春はすみれと一番うまくいっていた


時期だった。


春休みにはお花見に行って、公園に行って、映画に


行って、カラオケに行って…。


毎日のようにメールして、電話して…。


こんなに幸せなことあって良いのかなって思った。


その不安や俺の考えを「ダメだ」と一蹴するかのよ


うに母は亡くなった。


今でも覚えてる。


あの日、母は家に帰ってこなかったんだ。


俺の誕生日だった。


毎年、俺の誕生日には早く帰ってきてくれるはずだ


から嫌な予感はしてた。


胸がザワザワした。


ガチャ。


玄関の扉が開く音がした。


良かった。気のせいだ。母さん帰ってきた。


「るか!」


違う。この声は父さんだ。


俺が生きてきて聞いた父さんの声の中で一番でかい


声だった。


俺は全てを察した。


母さんの身に何か起こってしまったのではないかと


いうことを。


このときはまさか亡くなるなんて思わなかった。


「病院に行こう。」


父さんがそう言った。


もしかして母さんそんなにやばい状態なのか!?


急に手足が震えだした。

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