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得した話。ww

作者: ソウ マチ

昨日のエッセイが一位……。父の死という面白くもおかしくもないお話が一位……。みなさんのツボがわからない……。けして明るいとは言えない内容だったのに、まさか一位になるとは……。わからない……(苦笑)。けれども一位になれたということは皆さんの心に響いた結果だと思うので嬉しいです♪ ありがとうございます♪ どんなに辛いことでも「後でネタにして笑い飛ばしてやる!」そう決めて生きているわたしですけれど、このことだけは一生笑い飛ばせません。ですが少なくともネタにすることはできましたし、皆さまの心に少しでも響いたのなら作家冥利に尽きます。心からお礼を申し上げます。


そして今日は、どうということのない話です。ww 


処方されたお薬をもらうため、処方箋を持って調剤薬局へ行ったのです。お昼時で薬剤師さんたちは休憩中らしく、受付にいた薬剤師の先生はお一人だけでした。まだ若くて気の弱そうな背の高い男性です。たぶん大学を出てすぐだと思う。


お若い先生が相手をしているのは、やたらとガアガア声のおじいさんです。お耳が遠いせいか声がデカイ。そしてアヒルのようにガアガアしゃべる。別に怒っているわけではないし、むしろご機嫌さんなのですけれど、なぜかガアガア聞こえる。ww


おじいさんは若い先生に、病院からもらっている薬を減らしたいと相談中でした。たくさんんでいると自分が病人になった気がするし、薬代もバカにならない。何か減らせる薬があれば教えてほしいということでした。二人で処方箋を見ながら相談しています。


先生は後ろで待っているわたしが気になるようです。どうぞ気にしないでください。ぜんぜん急いでいませんし、耳をダンボにしておじいさんの言うことを取材しています(← 要は盗み聞き)から、ある意味お仕事です。ww

おじいさんは私に気づいていないし、たとえ気づいたとしても気にしないでしょう。確固たるマイペースで話しています。


おじ:どれか減らせる薬はあるかのぅ?

先生:このへんのビタミン剤はなくしてもいいかもしれません。

おじ:ほかにはないかのぅ?

先生:血液をサラサラにする薬は減らせませんね……。

おじ:血液をサラサラ? そんな薬が出とるんか?

先生:生活習慣のせいか、少し肥満なようですね。

おじ:肥満? たまに食べる菓子パンのせいやろうか?

先生:菓子パンはあまり良くないですね。

おじ:ちょっと小腹が減ったときに1個食べるんじゃが。

先生:菓子パンよりは総菜パンのほうがいいです。

おじ:菓子パンはダメか?

先生:肥満の観点から言うと、あまり……。


この会話を3回くらい繰り返して、やっとおじいは菓子パンはよろしくないと納得したみたいです。


おじ:そうかぁ。わかった。


会話が終わって明らかにほっとしたようすの先生。


先生:おわかりいただけましたか? それでは……。

おじ:他の病院の薬はどうや?

先生:え!?

おじ:他の病院の薬も減らしたい。どうや?

先生:……お薬手帳はお持ちですか?

おじ:持ってるで! 車にある! ちょっと取ってくるからのぅ。


のんびりと席を立つおじいと対照的に、急いで立ち上がって私の薬の処方を始める先生。そんなに急がなくていいですよぅ~♪


先生がダッシュで薬を準備してわたしに声をかけようとした瞬間、おじいがのんびりと帰ってきました。ww 先生は目で私に「すみません!」と謝ると、アタフタとおじいのお薬手帳を開いて内容を確認しはじめた。その横でおじいはガアガア声でのんびりとしゃべります。先生は手帳を見ながらお相手します。


おじ:ワシが太っておるのは、たまに食べる菓子パンのせいやろうか?

先生:菓子パンはあまり良くないですね。

おじ:ちょっと小腹が減ったときに1個食べるんじゃが。

先生:菓子パンよりは総菜パンのほうがいいです。

おじ:菓子パンはダメか?

先生:肥満の観点から言うと、あまり……。


ふたたびこの会話を延々と繰り返す。ww どうやらおじいはこよなく菓子パンを愛しているようです♡ たまに食べるって言ってるけど、たぶん毎日食べてる。ww

手帳に書かれているお薬は、これ以上減らせないという結論に達しました。菓子パンはよろしくないこと、お薬はこれ以上減らせないことを説明すること3回。ww やっとおじいは納得したようです。


おじ:そんならお支払いをしようかのぅ。

先生:〇〇〇円です。ポイントカードはお持ちですか?

おじ:おじ:持ってるで! 車にある! ちょっと取ってくるからのぅ。


のんびりと席を立つおじい。先生の顔には「どうしてさっき手帳と一緒に持ってこなかった!?」とデカデカと書いてある。ww そして急いで立ち上がって私の薬の処方を始める先生。そんなに急がなくていいですよぅ~♪ww


先生がダッシュで薬を準備してわたしに声をかけようとした瞬間、またまたおじいがのんびりと帰ってきました。ww そしてどっかり腰を下ろす。ww タイミングが面白すぎる。ww

先生は絶望的な目をしてふたたび私に目で「申し訳ありません!」と訴えます。いいですよぅ♪ww 急いでいませんから~♪ww


おじいは車へ行ってる間にさっきの会話を忘れたようで、また同じ会話が始まりました。


おじ:ワシが太っておるのは、たまに食べる菓子パンのせいやろうか?

先生:菓子パンはあまり良くないですね。

おじ:ちょっと小腹が減ったときに1個食べるんじゃが。

先生:菓子パンよりは総菜パンのほうがいいです。

おじ:菓子パンはダメか?


気の弱そうな先生もさすがに何度も同じことを言われるのはヘキエキしたようで、新しいお返事を考えたようです。


先生:チーズやヨーグルトのほうが菓子パンより良いです。

おじ:おぉ! ヨーグルトか!?

先生:無糖のヨーグルトが望ましいです。

おじ:わかるぞぅ! 4個で売ってるアレやろう!? あれは甘くてうまいなぁ! 今度からあれを食べるとしよう!


それぜったい無糖じゃない。ww でも先生はあきらめモードで弱々しく「そうしてください……」と言ってます。無糖じゃなくても菓子パンよりはマシらしい。ww


おじ:そうかぁ。ヨーグルトがええんかぁ。


そう言いながらおじいはお金を払います。お釣りも渡して心に余裕が出たのか先生は笑顔を浮かべて、今日の話をまとめました。


先生:とにかく菓子パンはよくないです。


これを聞いたおじいは、よく聞こえなかったらしい。


おじ:なんや? かし? ぱん?
























………………菓子パン?? ワシが太っておるのは、たまに食べる菓子パンのせいやろうか?


絶望的な顔で天を仰ぐ先生。wwwwww ふりだしに戻る。wwwwwwwwwwwww また最初からやり直し。wwwwwwww


なんとかおじいを帰したあと、先生は土下座の勢いでわたしにお待たせして申し訳ございませんでしたと謝罪してくださったのですけれど、気にしないでください。www めちゃくちゃ面白かったです。wwwwww


病院代もお薬代もバカになりませんけれど、この一幕を見られただけでお金を払った価値はありました。ww おもしろかった♡ww

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― 新着の感想 ―
[一言] 先生の努力……笑。 おじいさん本当に菓子パンお好きなんですね。 ソウさんご推察の通り、これ絶対毎日食べているパターンだと思います。 ずっとこのやりとりを前にして怒らないソウさん、心が広いなぁ…
[良い点] おじいちゃんどうしても菓子パン食べたかったんでしょうねwwwww 面白かったです!
[一言] 父の付き添いで行くクリニックみたいなwwww 老人医療を謳っているだけあって(あらためてよく見たら老齢科とか書いてあった),医者も患者も高齢者。ナースのみなさんはお姉様♡ そう,医者がループ…
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