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ep.11 待ち人

 「花のん、しんどくない?」


花のんがとある一軒家の前から動かなくなって半年が過ぎた。

俺は毎日人様の家の前でうろうろする訳にもいかず、通報されない程度に1週間に1回、数分ほど花のんの様子を見に行っていた。

花のんはずっと2階を見ている。雨の日も雪の日も朝も夜もずっとここにいる。


「ううん、しんどくなんかないよ。私がここに居たくているんだから。」


心配してくれてありがとうと花のんは笑う。


「なんでここに居たいの?」


半年の間に何回も聞いたこの質問。「内緒」と言うばかりで答えはいつも教えてくれない。


「う〜ん内緒!」


「もう半年が経つよ、花のんのことが心配だよ。身体はバーチャルでも心は生きてるだろ?」


「君はこの半年で随分優しく話すようになったね。素敵だよ」


褒められて嬉しい気持ちときっと花のんは一生俺に秘密は教えてくれないんだろうなと悟り寂しくなった。


「じゃあそろそろ行くわ、辛くなったらいつでも帰ってこいよ。待ってるから」


花のんは大きくて美しい若葉色した瞳で俺を驚いたように見る。

何か変なこと言ったかな?と少し不安になる。


「君はボクを待ってるの?」


「そうだよ。配信で輝く君を待っている」


「そっかぁ〜!!!君はボクを待っているんだねぇ!」


久しぶりにテンションMAXの花のんを見て嬉しくなる。

やっぱりこの子が笑うと花が咲き誇るように空気が明るくなる


「そういうことだからさ、いつでも頼れよ!」


「うん!ありがとう!気をつけてね〜」


ブンブンと手を振る花のん。きっと花のんは帰って来ない。だって恐らくあの家の2階にいるのは花のんの中の人だから

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