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第113話 ブレイブVSジャッチ

 運命を懸けた本戦一回戦はあっという間に終了した。


『勝者、ジャッチ・ボーギャック』

『勝者、ブレイブ・ドラゴニル!』

『勝者、ルーファス・ウル・リュコス!』

『勝者、スタンフォード・クリエニーラ・レベリオン!』


 四者共、圧倒的な強さを見せつけて一回戦を勝ち抜いた。

 特にルーファスに至っては対戦相手が試合開始と同時に斬り伏せられるという瞬殺具合である。

 強者が更に絞られ、ここからが本番と言わんばかりの四人が揃った。

 トーナメント表を見れば、次に当たるのはジャッチとブレイブだ。


「ジャッチ君とドラゴニル君の戦い、どちらが勝つのでしょうか」

「ブレイブに決まってるよ。彼は世界樹の集落の時代から外敵を斬り続けた最強の剣。人の心を得てからもそれは変わらないもん」


 ラクリアは舞台上に上がるブレイブへとうっとりとした視線を向ける。


「早く思い出してくれないかなぁ」

「滅竜魔闘が終わったらたっぷりと問い詰めなくちゃね。セタリアには悪いけど貴重な情報源だもの……」


 アロエラは恋敵ではあったもののセタリアの境遇に心底同情した。


「ジャッチ・ボーギャック。炎魔法の名門であるボーギャック家の嫡男でスタンフォード殿下の友人でしたわね。確かステイシーとは同じクラスでしたわよね?」

「はい、私もよくジャッチ君には鍛錬に付き合っていただきました」

「私奴も付き合ってあげたでしょうに」

「ジャッチ君は火炎魔法に関しては右に出る者がいないと言っても過言ではありません」

「なはは! 無視ですかな!」


 ステイシーはガーデルの方を見向きもせずにジャッチを応援し始める。


「頑張ってください、ジャッチ君!」


 観客はブレイブの応援一色。その状況でこの観客席のみがジャッチの応援をしていた。


『試合開始!』


 そして、ついに決められた結末へ時は動き出す。


「〝火炎斬(バーンブレイド)!!!〟」


 ジャッチは両手剣に炎を纏わせてブレイブへと斬りかかる。


「俺は剣、ただ巫女の敵を斬るための剣……あれ、巫女って誰だ?」


 目の前まで炎の剣が迫っているというのに、ブレイブはどこかボーっとした表情を浮かべていた。


「試合中に考え事かドラゴニル! なめてんじゃねぇぞ!」


 ジャッチは試合が始まっているというのに自分の方へ見向きもしないブレイブに激高する。

 そのまま炎の剣がブレイブに直撃するかと思われた瞬間、金属同士が激しくぶつかり合う音が響き渡る。


「聖剣ベスティア・ブレイブ、俺は人間じゃなかったのか……」

「こいつ、俺の火炎斬を片手で……!?」


 ブレイブは光を纏った右手で炎の剣を受け止めていた。

 光に包まれた右手は焼けることもなく、刃を通すこともしない。


「俺は何者なんだ。どうすればいいんだ」

「くっ、やっぱ一筋縄じゃいかねぇか」


 ジャッチは冷や汗をかきながらも一旦ブレイブから距離を取って火炎魔法を唱える。


「〝豪火球(フレイムスフィア)!!!〟」


 巨大な火球がブレイブへと迫る。

 ジャッチ渾身の一撃。それをブレイブは――


「〝滅竜光刃(めつりゅうこうじん)〟」


 力なく抜いた光の剣で両断した。


「……斬る」


 光の灯らない瞳がジャッチを射貫く。

 いつも明るく笑顔を絶やさない主人公の姿はそこにはなかった。

 そこにあったのは敵を斬るために生まれた一振りの剣だった。


「〝滅竜閃刃(めつりゅうせんじん)〟」

「がはっ……」


 目にも止まらぬ速度で振るわれた光の剣は一瞬でジャッチを袈裟斬りにする。

 そのまま剣についた血を振り払うと、ブレイブは振り返ることなく舞台を後にする。


『勝者、ブレイブ・ドラゴニル!』


 観客席からは歓声が飛ぶが、ブレイブは淡々と舞台を去っていく。


「一歩も動かずにジャッチ君に勝つなんて……」

「あんなブレイブ見たことない……」

「規格外の強さですな」

「おー、滅竜剣久しぶりに見た! やっぱブレイブは強いね!」

「ここはそのまま、問題は次の試合ね……」


 ブレイブは圧倒的な強さを見せて勝ち上がる。結末は変わらず、ジャッチは破れた。


 そして、次に待っているのは学園最強の剣士と運命に立ち向かう者の戦いだ。


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