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第104話 国王陛下の魔力

 突然教室に現れた王国最高権力者に教室が騒然とする。

 当然後ろには護衛を務める騎士団長の姿もある。

 ルーファスの父親でもある騎士団長は、コメリナにとっては本家の長だ。


 さすがのコメリナもこの事態には緊張せざるを得なかった。


「さて、料金はこれでよいかな?」

「はい、確かに」


 オクスフォードから料金を受け取ったコメリナはフードを被りなおして占いの準備に取り掛かる。


「私も王族として何度も占い師に未来を占ってもらったものだが、血液占いというのは初めてだ」

「私、考えました。殿下、協力してくれました」

「ほう、スタンフォードが」


 スタンフォードは人混みに紛れながらもオクスフォードの様子を窺った。

 中学でやりたい放題やらかして王家に泥を塗った身であるため、父親であるオクスフォードとは顔を合わせづらかったのだ。


「コメリナ嬢、学校でのスタンフォードの様子はどうだ?」

「殿下、あまり人気ない。でも、友達たくさんいます」


 コメリナはスタンフォードがクラスメイトから好かれていないことも隠さずに伝えた。


「殿下、変わりました。だから、わかる人はわかります」


 そして、コメリナは自身の本音を包み隠さずに伝える。


「殿下、良い人。私、殿下いるから学園楽しいです」

「……そうか」


 そんなコメリナに対して、オクスフォードは感慨深そうな表情を浮かべていた。

 実はこの場に来たのも単純にスタンフォードの様子が気になったから来たという親バカ精神からだったのだ。

 それからオクスフォードは、小さく指を切って器へと血液を垂らす。

 それをコメリナは自在に操り、中へと浮かべて解析を始める。


「殿下、ニアと血液型一致。魔力属性、雷。殿下と属性一致。ニアとは属性不一致、魔力波長一致。総魔力量――殿下と不一致、ニアと不一致」


 血液からの解析の結果、コメリナは驚いた表情を浮かべて血液を器へと戻した。


「陛下、魔力量が……」

「ほう、血液一滴でそこまでわかるとは驚きだ。スティール、コメリナ嬢は優秀な魔導士だな」

「ええ、ルーファスにも見習ってほしいくらいです」


 コメリナの様子から血液占いが正確なものだと理解したオクスフォードは感心したように笑顔を浮かべた。


「コメリナ嬢、占い結果を聞こうか」

「……いいんですか?」

「構わんよ。何せ、私が前線に出ることはもうないだろうからな」


 オクスフォードに言われ、コメリナは躊躇いがちに占い結果を告げた。


「魔力の質、殿下と同じ一級品。魔力量、殿下、ニアより全然低い……」

「ああ、私の魔力量はそこまで多くはない」


 オクスフォードは生まれつき魔力量が少なかった。

 オクスフォードの世代では、護衛として幼い頃から常に騎士団長のスティールが付いていたため、戦いの場で彼が剣を抜いたことは一度もなかったのだ。


「学生時代でも隠してはいたがな。まあ、もう息子達も大きくなった以上、隠す必要もないだろう」


 楽し気に笑うと、オクスフォードは真剣な表情を浮かべる。


「それよりもコメリナ嬢の実力の方が気になったものでな」

「実力?」

「ああ、私の目に狂いはなかったようだ」


 それだけ告げると、オクスフォードは席を立つ。


「では、な」


 教室を出ていくオクスフォードに誰もが視線を注ぐ。

 そして、クラスメイト達の視線は一斉にコメリナとスタンフォードへと向く。


「いや、マジで何しに来たんだあの人……」


 そんな中、スタンフォードはただただ困惑していたのだった。


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