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Deep jet-black  作者: 夜夢羅
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沈む光

学生の身で暇なので書いてます。コロナが一刻でも早くこの世から根絶されますよう願っています。

しばらくすると投稿頻度が落ちるので御了承ください

穏やかな昼下がりの草原。


そこに奇怪な爆発音が鳴り響くと同時、数百m前方で土煙と火煙が入り混じって形成される爆煙が高く昇った。


地面には地割れが現れていおり、草花が焼かれている。巻き込まれては四肢五臓遺さないような威力だ


「これが青天の霹靂っていうやつか」


臆することなく僕は土煙が収まるまでやや高いところから事態の一部始終を覗く。

晴れていくうちに地面が抉れているのがくっきり見え始めてくる。

そして晴れ切ったのち爆心地には


「ゲッ…まずい…ルエ、早く立って、逃げるよ」

「ちょっと待ってぇ。あっ!これも綺麗!ねぇ見てみてぇ」


ルエは陽気に綺麗な花々を蹲み込んで摘み取り鞄に取り込んでいる。

事態の深刻さを知らない方はとても気楽だ。刻一刻と危機は身に迫ってくる。


「いや、本当に一大事なんだけど…」

「ヨムラにはポケットがあるじゃない。なんとかしてくれるでしょう?」

「家に置いてきました」

「………」


ポカンと口を開けてこちらを見るルエに対して、僕はルエの手を引き無理矢理立たせ走り出した。


「こんな草原なのに逃げるほどの相手なの!?」

「あれはケウナだよ。それでも逃げ出さないというの?はい黙って前進!」


どうやら彼女は不服ながらも納得してくれたそうだ。


後方から僕たちのことを認識し、追跡してくる人型の怪物。ケウナ。

皮膚は焼けただれ紅く痛々しい姿をしているが見る見るうちに皮膚が再生され紺の皮膚ができていく。あれは足元で爆発を起こすことによって移動速度を爆速させ、相手に近寄り爆裂を繰り返す。


威力によっては、こんがり焼かれ捕食され、もしくは全てが灰となり消え去るか。

その反動で自身も焼けてしまうが爆発に対する驚異的な耐久力と回復力で身を守っている。だがそれ以外の衝撃にはめっぽう弱い。

対抗手段としては遠距離攻撃、弓なんかでやれば1発で倒れるほどの弱モンスターだ。

なのだが


「なんで…なんでこんな時に限ってあなたはポッケをつけてないの!見る限り他に装備もつけてないなんて信じらんない!」


僕はぐうの音も出なかった。自分が唯一この状況をいとも簡単に打破できるというのに。

街から近いと言って小道具入れを腰につけているだけの軽装できてしまったことが悔やまれる。


振り返り後方を見るに恐るべき速さで接近して来る奴は、周囲を焼き払いながら獰猛な顔付きで襲い来る。だがその姿を突如として視界から遮るドームが生まれた。


「私の精度は低いからこれぐらいしかできない…けどっ…!」


彼女は力を振り絞り鋭利な氷柱を放った、だが氷のドームをケウナ共に粉砕しよう時、案の定爆発が起こり攻撃もろとも吹き飛ばされていた。何が起きたのか理解しようとしない彼女に僕は事の真相を伝えてあげる。


「目の前の障害物を破壊する行為と攻撃が被らないタイミングで仕掛ければよかったものを…」


ルエは表情を赤らめていた。黙り込み今度は僕の腕をつかみ走り出そうとした。が、

しかしその必要はなくなった。どうやら自身の爆発によって崩落した氷の下敷きになり果てていた。


彼女の顔を見やると先ほどとは打って変わり、自慢げであった。


_____________________________________


雲間から赤々と溢れる夕暮れ時。

街の中心街から少し外れた我が家に帰った。


ルエと暮らすこの家には数室使われていない部屋がある。そこまで広い家を携えるのも祖先から受け継がれるからだ。


両親を小さいころに無くし、父親と親しかった騎士に引き取られ育てられた。

もう彼とは数年会っていない、それも彼の努力の証だろう。定期的に届く手紙で知ったが、近衛騎士になり他の街で活躍しているそうだ。


こんな風に思い出に浸っていると必ず思い出すことが僕にはあった。

あれは驚くべき出来事だった。


彼と別れ1年後、


いつものように仕事に出て、家に帰ると何者かが侵入した形跡があった。


最初は驚いたもののまだ居るかもしれない盗人に襲われぬよう慎重に歩み始め、二階へ上がり、自室へ向かう。すると部屋から物音が聞こえた。


その時初めての出来事に焦り、どう行動すればいいのか判断が鈍っていたのだろう。

何故こんな行動に打って出たのか今でも不思議だが、僕は思いっきりドアを開け部屋に突入した。


するとそこには1人の少女が荒らされた家具や本棚の前で蹲っていたのだ。


「あの〜、うちになんの用…かな…。」

「!……」


彼女は潤んだ瞳で僕を見つめた。そして言葉を綴る。


「私は…貴方に会いにきました。」

「それで勝手に家に上がって人様のものを荒らすの?」

「それは!……すみませんでした。少しでも早く貴方に知ってもらいたくて…でも見つからなくて…」


知ってほしいとはどういうことだろう。特段知りたいことなどないけれど、自分にというのは少し気になった。


「一体何を探してたんだ?どうせ金品めあてだったんだろう?うちに金目のものはありません」

「ち、違います!とにかく結末から言いますと…


この世界は一度滅び再構成された上に成り立っています。


何故そのようなことが起こったか…


そこで貴方に紐解いて欲しいのです。この世の真実を…


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