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冒頭

真っ暗だが、怒号似た焦った声が聞こえる。

「大変です!...んが...まり...せ...」

ピーピーと音が聞こえる。

「至急....くを...長...い」

さきほどから、声が途切れ途切れだ。意識もはっきりしているのに体が動かない。どうしたんだ?

「...さん!...ですか!!...」

こんな夢は初めてだ。声は聞こえるのに起きれない夢なんて。

「......さん...」

段々声も聞こえなくなってきた。本当に何なんだ?

「........」

 不思議な体験だ、でもこんなこと今まで起きた事と比べると全然うろたえることではないな。

うん、そうだな。全然うろたえることではない。むしろこれからのことを考えてうろてえるべきだな。不可能だと思っていた現実がもう少しで実現しそうなのだから。そう、もう少しで助けられる。もう少しで良くなるんだ。良くなる目処がついたんだ。だから、瞼を開けて起き上がらなければならない。さあ!起きろ!起きるんだ!さあさあ!起きるんだ!起きてまた会社に出勤だ!...................................?

なぜ起きない?なぜだ?本当にどうした俺?わからない。落ち着け、落ち着くんだ俺よ。そうだ!昨日ことでも考えて落ち着こう。昨日は朝ごはん食べて、電車に乗り会社に行き、いつものように業務をこなし昼ごはんを食べ、帰りの電車に乗り、雨がふってきたのでコンビニでビニール傘を買い、駅前の交差点で信号待ちをしていたはずだ。

その後どうしたんだ?...思い出せない。思い出せない......思い出せない......思い............思い.....................出したくない...

思い出したくない、曇りがかったビニール傘の向こうから急速に接近してくる光を思い出したくない。

思い出したくない。思い出したくない。思い出したくない。思い出したくない。

そうだ、これはやはり夢だ。そのとき、自分は青信号を確認して横断歩道を歩いていたはずだ。いつもなら、スマフォにイヤホンを耳に着けいじりながら渡っていた所を、雨だったためスマフォも出さずに横断したはずだ。大雨だったため、傘にぶつかる雨音は相当うるさかったが。大丈夫。大丈夫なはずだ。だから大丈夫だ。大丈夫だ。平気だ。万事解決だ。問題ない。問題ない...はずだ。

だから自分の周りに広がっていった赤い液体は血ではない。断じて血ではない、夢だ、夢だ!目覚めろ!目覚めろ!目覚めろ!目覚めろ!目覚めて!目覚めて下さい!お願いします......

そんな願いとは裏腹に体の力が抜けていくことがわかる。悪い意味で体が寒くなるのを感じる。

現実が押し寄せてくる、時間が短いことがわかってしまう。

嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!お願いします!お願いします!神様助けてください!まだやらなくちゃいけないことがたくさんあるのです!お願いします!こんなのあんまりです!これからなのです!やっとなんです!だからお願いします!お願いします...

無理ですよね...無理なんですよね...でも、こんなのあんまりですよ!あんまりだ!まじめにやって、やっとのことで...ここまできて...結果がこんなふうって!あんまりじゃないか!良い人は報われるんじゃないのかよ!これも神の試練なのか!これも努力すればどうにかなるのか!言ってみろよ!おい!聞いているのか!おい!

くそ!くそ!くそ!ちくしょう!全てが、神が憎い、ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!ずるい!

くそ!これで終わりか!これで全て終わりか!終わってしまうのか!終わるのか!くそやろぉ!おい!出て来い!出てきやがれ!お前の間違った教えや道徳を信じて、守って、生きてきたが報われず、最悪の終わり方を迎えたぞ!詫びの一つでも言ったらどうだ!おい!おい!絶対許さないからな!次があるなら絶対お前が間違っていたことを認めさせてやるからな!絶対にだ!こんな理不尽な規則あってたまるかぁぁぁ!

 「わかりました。じゃあ、願いを叶えてあげますね。」

 とどこからか、明るく妖艶な女性の声が聞こえた。


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