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とある放課後の日常

作者: さーにゃ

「おい、いつまで寝てるんだ?そろそろ起きろ」

「うにゅ…?」


頭上から降ってきた言葉に、目をこすりながら机に伏せっていた体を起こした私の目の前にいたのは、ブレザーのポケットに両手を突っ込んだ少女。


「おお、天使が見え…いたっ!」

「寝ぼけてるならもう一発いっとくか?」

「全力で遠慮しときますっ!」

「そうか」


そう言った彼女は手を再びポケットにしまった。

彼女は信乃。

私のクラスメイトで、親友。クールな性格で、美人。そう、美人。(ここ、テストに出るよ!)しかも、さらっさらでツヤツヤな黒髪ストレートとか神さまはやっぱり不公平なんだねって思いたくなるよね。

でも、寝てる私をこうして放課後に起こしてくれるほどの優しさの持ち主だ。

ところで何で私が寝ていたかと言うと…?


「なんでだっけ?」

「6時間目が薬物乱用防止教室だったろ?その流れでずっと寝てた」

「なるほど…」


やば、HRの記憶ないわ。

てか私どうやって教室帰って…まさか寝たまま歩いて!?


「私、神か…」

「いや、お前もたれかかってきて重かったからな」

「スンマセン…ってえええ!?なんで私の考えてることが!?」

「…顔に書いてあるんだよ…っと」


そう言うと、信乃は私の前の席の椅子を引くと、腰をおろした。


「いやだってさ〜、ああ言うビデオって大体一緒じゃん〜。しかも今回なんか前見たやつと一緒だったし〜」

「ん、まあ確かに。」

「よって、寝てもおっけ〜!!私、無罪!」

「意義ありだ」

「ええ〜、信乃さいばんちょ〜許してくださいよ〜。…こちら、お納めください。」

「なんだ?」

「今日の牛乳の紙パックになります」

「いらん」

「ええ〜」

「そんなことより、」


と、急に深刻な顔で身を乗り出してきた信乃に、


「な、何?」

「綾、今日、いいもの持ってきたんだ。」


それと同時に、意味ありげに、ポケットに突っ込まれたままの右手を一瞥。


「ま、まさか…?」


私の脳裏をよぎったのは、さっき見たビデオの、金髪チャラ男の、頭弱そうな先輩(A)。

(そう、私だって途中まで起きていたのだ。ただ、途中で見たことあるやつだと気づいてからは…)



(先輩)「おい、いいものあるんだ」

(後輩)「なんすか?」

(先輩)「ハーブだ」

(後輩)「ええ?なんか怪しいもんじゃないんすか?」

(先輩)「いやいや、安全だ。ちょっと気持ちが良くなるだけさ。試してみるか?」

(後輩)「ハイ!(馬鹿)」


「ーーおい、綾!」

「ひゃいっ!?」

「聞いてるか?」

「う、うん、聞いてるよ!(脳内劇場に集中してて聞いてなかったz e☆)…で、なんなの?」


教室にはもう誰もいないが、自然と声を潜めてしまう。


「なんだと思う?」

「ええ〜わかんないよ〜。ひんと!ヒント頂戴!」


ーまさかとは思うけど。イケナイお薬だったりとかー


「ん〜、気持ち良くなるやつ?」


ーはいキタコレ!有罪!ギルティー!


「わ、わかんないなぁ〜…もう一個!」

「本当か?」


信乃は少し怪訝そうな顔で、


「そうだな〜」


ーまさか、まさかほんとにそんなことはないいよね?ね?


「ハーブ系かな」


ー終わった!終わったよ!犯罪者だよ!


「信乃ちゃん…君もそっち側に行ってしまったんだね…」

「ん?なんのことを言ってるか分からないが…」

「誰からもらったの?」

「先輩から」


(後輩)「結果は人によって様々だけど、きっかけはみんな大体一緒だって、後から知らされました…」


「のおおおお!」

「なんか、先輩が買ったらしいんだけど、強すぎたらしい」


ー先輩、おのれ貴様私の信乃ちゃんになんてものをーー


「ま、私結構余裕なんだけどね」

「なっ!?」


ーこ、こいつ、慣れてやがる!?しかも常習者だと?いったいどれだけ…?


「ちなみにどれぐらい…?」

「ん?毎日かな?」


ーま、毎日だとぉ!?ヘビースモーカー!?(※タバコではありません。)


「一回に二ついっちゃうこともあるよね」


ーうん、いっちゃてるよ。完全にいっちゃてるよ!!…そうか、道理で…私のことバカって言ったり、宿題写させてくれなかったりしたわけだ…脳がやられてしまっていたのか…(※正常な行動です)


「先生に隠れて食べるってのもちょっとだけスリルあるよね」


ー学校でも!?いつの間に!?私がずっとそばにいるのに!?(…そういえば今日も寝てたんだった)


「おお…おおぅ…」

「で、食べる?」


私の方を見て首をかしげる信乃に、


「私も、墜ちるよ…信乃ちゃんといしょならどんなことだって…」

「いや、なに言ってるのかわからんが…」


ザッ、ザッ


聞き覚えのある音とともに、私の手の上に落とされたのは、


「ん?粒?そうかMDなんちゃらとかいうやつーー」

「ほら」

「へ?」


顔をあげた私の視線の先には、


『ミン◯ィア スーパークールミント』


「…なるほど」

「食べてみ?」

「…かっら!」


ーー今度から、寝ないようにしよう。

















読んでいただいた方、ありがとうございます!楽しんでいただけたのなら幸いです。

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