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異世界征服物語  作者: COCO
第二章 中央編
22/23

#22 巨人

「セーマ・・・」


扉を開け入ってきたのは、昼間、式典会場でセーマを魔王と宣告した聖女ユニであった。


なぜか猛烈な恐怖心がセーマを襲う。


(俺が怯えている?こんなこといままでなかったぞ!なんだこいつは!?)


目の前のユニは初め微笑んでいたが、たんだん顔が崩れてくる。

徐々に目に涙があふれてきて、鼻水をすすりだす。


(どっかで見たことある光景だな・・・)


美少女がその顔を恥じらいもなく崩し、泣きじゃくりだす。


「セーーマーーー!会いたかったーーーー!」


そういいながら、セーマに泣きながら飛びつくユニ。


(うっ、苦しい)


万力で締め上げるように抱きしめられる。


見かけによらずとんでもない力である。


「セーマ!セーマ!」


ユニはセーマの苦痛などお構いなしに力いっぱい抱きしめてきた。


気が遠のくセーマ。


(俺が感じていた恐怖ってこれのことか?前にも同じ事された気がするけど・・・もしかしてこのひとって・・・)


薄れ行く意識の中、セーマはユニに人間以外のなにかを感じていた。


「セーマー、って、あれ?セーマ?セーマーーー」


ユニの腕の中、完全にグロッキー状態になるセーマであった・・・





「うっ・・・」


気がつくセーマ。


「セーマ、大丈夫?」


ユニが覗き込む。

セーマはあの隔離部屋のベッドに寝かされていた。

しばらく気絶していたらしい。


(あれ?もうあの恐怖感が無い・・・)


ユニに抱きしめられた途端、あの恐怖感は消えていた。


(しかし、あの身体であの力・・・このひと只者じゃないな・・・)


そう考えたセーマは彼女に単刀直入に聞いてみた。


「あのう、ユニさんですよね?僕たちどこかでお会いしましたっけ?」


その言葉に目を丸くするユニ・・・


「じょ、冗談でしょ?セーマ・・・」


「いえ、冗談ではありません」


「あっ、そっか!まだ転生中だもんね!でも、ちょっとくらい憶えているでしょ?」


「いえ、全く憶えていません」


「これでも?」


そういうとユニはセーマの顔を自分の胸にうずめた。


「どお?思い出した?」


「いえ、思い出せません」


すると次はセーマにおもいきりキスをした。


ひとしきり唇を吸うと顔を離し


「どう?思い出した?」


「いえ、全く」


するとみるみるまた泣きそうな顔をするユニ。



「ひどいわ~~ママのこと忘れるなんて~~。あんなにお世話をしてあげたのに~~」



わんわん泣きだすユニ。


「え?ママ?お世話?」


なんのことだか全く分からないセーマ。


ひとしきり泣くとユニは顔を上げセーマをにらみつけた。


「仕方ないわ。それなら・・・」


そういうとユニは服を脱ぎだした。


「あ、あのユニさん?」


「さっ、セーマも脱いで」


「なにをしようというのでしょうか?」


「そんなの決まってるじゃない!いいことよ!」


先に服を脱いだユニがセーマの服を脱がしだした。





「なんだ?」


王宮の衛兵は赤い光体が王宮の内門のすぐ外に落ちるのを見た。


「おい?今の見たか?」


「ああ、見たよ。確認しないと」


衛兵2人は、内門の外に出た。


「あれか?」


球体が赤く発光しつつ地面を転がっている。

2人はさらに詳しく見ようと近づいた。


すると、突然、光体は煙を吐き出した。

見る見るうちに辺りは煙だらけになる。

その中で赤く不気味に光る球体。


「おい!大丈夫か?」

「ああ、でもなんだ急に?」

「おい!あれ、見ろよ」

「なんだ、ありゃ!」


2人の目の前で赤い光が急に煙の中、上昇し始めた。

その光が彼らの頭より上で静止し、彼らの方に近づいてきた。

煙が晴れ、その中から現れたのは・・・


「嘘だろ・・・」


そう呟いた衛兵の首が巨大な手で掴まれ、そのまま宙吊りにされる・・・


彼らの目の前に現れたのは、3m近い一つ眼の巨人であった。


巨人はそのまま衛兵を軽々と投げ飛ばした。

内門の壁に激突する衛兵。

もう1人の衛兵はわけがわからず立ちすくんでいたが、仲間が投げ飛ばされたのを見て急に動き出した。

剣を抜き放ち巨人の前に立ちはだかる。


「敵襲!出合え出合え!」


大声で叫ぶ衛兵。


巨人はどこからともなく巨大なこん棒を取り出し、衛兵めがけて振り回しだした。


そんなものを振り回されては剣を打ち込む隙はない。


衛兵は構えつつじりじり後退した。



(応援を呼びましたか。こんなところで手間取っている場合ではありませんね。強引に突破しなさい。あなたなら一対一なら決して負けません)



巨人の頭の中に指示が飛ぶ。

巨人は衛兵を無視して王宮内部に侵入しようとした。

堂々と内門をくぐろうとする。

痺れを切らした衛兵が後ろから切りかかった。

しかし、それを待っていたかのように、巨人はこん棒で彼を叩き伏せた。

衛兵はそのまま地面に叩きつけられ、ピクピク痙攣した後動かなくなった。


「何事か!」


そう叫びながら衛兵たちが詰め所から数人出てくる。

しかし彼らは目の前に立ちはだかる血まみれの巨人を見て、即座に言葉を失った。





(なんの騒ぎだ?)


ジークフリードは落ちた赤い光の正体を確認するため、内門に向かっていた。

門近くがなにやら騒がしい。


「何事です?」


「あっ、ジーク様!危険です、お下がりを。魔物の襲撃です!」


「魔物?」


「一つ眼の巨人です!当番兵が応戦してますが手ごわいようです。すでに何人かやられています!」


「応援を呼んで下さい。私はこの目で確かめます」


そういうと衛兵の制止を振り切りジークは現場に向かった。


(巨人だと?魔族か?)


確かに魔族は異形の物が多い。

しかし、一つ眼の巨人というのはジークが知っている限りではない。

記憶にあるのは、太古の戦争の記録の中で登場した巨人である。


(あれは確か聖十字架セイントクロスにすべて滅ぼされたはず・・・)


走りながら前に学校の古代史で習ったことを思い出す。


現場に到着するジーク。

そこは血だらけであり、こん棒で叩き伏せられ血まみれになって死んでいる当番兵が数人転がっていた。

その光景を目の当たりにして、ジークの意識が一気に戦闘モードに移行する。

一応生き残っているものがいないか確かめるため呼びかけてみる。


「おーい!だれかいないのか?」


すると、ずしんずしんと大きな足音が近づいてくる。


剣を抜き放つジーク。


暗闇から月明かりの照らす中に姿を現したのは、更に血まみれになった巨人であった・・・





「グロリアちゃん、急いで!」

シルビアが急かす。

シルビアとグロリアは王宮近くのホテルに詰めていた。

セーマの周辺を監視するためである。

王宮内をウロウロするわけにもいかないので、なにかあったらスカーレットから連絡がもらえることになっていた。

連絡とは護符を使った例のテレパシーによる通信である。


「待ってよ、シルビア。巨人が侵入ってどういうことよ?」


「そんなのあたしだってわからないわよ。それしか連絡されてないんだから。でも、巨人なんてセーマさま絡みでなきゃ考えられないわ!」


「じゃあ、目的はセーマさま?」


「おそらくそうだと思うわ。タイミングが良すぎるもの。」


2人は王宮へと急いだ。





「槍を持ってやつを囲め!急げ!」


ジークの怒声が飛ぶ。


相手は3m近い巨人。

しかも、巨大なこん棒を振り回す。

こんなもの当たったらひとたまりもない。

2mにもみたない自分たちがこいつを倒すには、長槍を持った兵で周りを囲み、弓や魔導士の遠隔攻撃で攻撃するしかない。


即座に判断し、そのための指示を飛ばす。

自分は早々と槍に切り替え、巨人をけん制していた。


(なんとかこの広場に留めないと。王宮内部では抑えられない・・・)


槍は王宮内部では振り回しづらく、一度破られれば終わりである。


槍を有効に使うにはスペースが必要なのだ。


ジークの巧みなけん制で足止めされる巨人。


この広場を通って王宮内部に入ろうとする巨人を、槍を持った衛兵が囲み始めた。


その後ろに弓兵、魔導士が集まりだし攻撃態勢が整いだす。


(まずいですね。意外と早く対応されそうです。さっさと突破しましょう。跳びなさい)


巨人の頭の中にまた指示が飛ぶ。


巨人は少し後退すると、王宮に向かって走り出しそのままジャンプした。


ジークの真上を通り越す巨人。


そのジャンプで囲みを突破すると王宮内部に走って侵入した。


「しまった!追え!やつをそれ以上入れてはならん!」


ジークはすぐさま後を追った。





「はいセーマ、目をつむって」


ユニがセーマの頭の上からたらいに汲んだお湯をかける。


セーマの頭からシャンプーが流れ落ちる。


「大丈夫?目に入らなかった?」


セーマとユニは2人で風呂に入っていた。



(いいことってこのことかい!)



かなり残念がるセーマ。


これだけの美少女と一緒に風呂に入り、身体を洗ってもらっているのである。


《いいこと》には変わりないが、セーマが想像した《いいこと》とは違っていた。



「あの、ユニさん?この後どうなるのでしょう?」


「どおって?別にいつもどおりよ。気持ちいいでしょ?」


そういうと手に石鹸を泡立ててセーマの後ろからセーマの身体を洗いだした。

ときどきユニの豊満な胸がセーマの背中に触れる。


(まじでこりゃ生殺しだわ・・・)


セーマはユニを押し倒したいという衝動を押さえるのに必死である。

ユニと自分の過去に何があったのかわからぬ限り迂闊に手は出せないのだ。


セーマは本能的にそのことを理解していた。


「セーマ、お風呂が嫌いで大変だったわよね。あたしが一緒に入らない限り入らないって、いっつも駄々をこねていたもの・・・」


「そ、そうだったんですか?」


「シャンプーが目に入るのが嫌で頭は絶対に洗おうとしないし。無理矢理押さえつけて洗ってたのよ」


「へえ~」


「かわいかったな~~」


ひとり思い出に浸るユニ。


「あの、ユニさん?それは一体いつの話なんでしょうか?」


セーマは自分は話に置いてけぼりで、勝手に盛り上がるユニに説明を求めた。


その質問に戸惑うユニ。


「ホント、全然憶えてないんだね・・・。わかっていたけどなんか寂しいな・・・」


「あっごめん!そんなつもり言ったんじゃないんだ」


思わず謝るセーマ。


「いいわ、仕方ないもの。よし、終わり!さっ、出ましょ!」


そういうとユニはセーマに風呂を出るよう促した。


セーマの身体を丁寧に拭くユニ。


先にベッドに行くよう促し、自分の身体を拭きだす。


(この流れは、やっぱりあれだよな?まだ全然思い出せてないけど、いいよな、俺?据え膳喰わねばなんとやらだよな、俺?)


自問自答するセーマ。


部屋の明かりを暗くするユニ。


ユニはベッドに潜り込み、セーマの股間に手を伸ばす。


セーマに添い寝する形でセーマのシンボルをやさしくさすりだす。


「うおっ!」


その気持ちよさに思わず声が出るセーマ。


「どう、セーマ?」


ユニはそのままセーマの乳首を舐め上げる。


セーマの身体に激しい衝動が走る。


この瞬間スイッチがはいるセーマ。


ユニに覆いかぶさり、ユニの身体を貪りだした。


されるがままのユニ。


しばらくするとセーマは我慢しきれなくなりユニの中に入ろうとした。


「セーマ、してもいいけど、そのかわりお願いがあるの」


突然のユニの言葉にハッとなるセーマ。


「2人でどこかだれもいないところに行って暮らしましょう」


「えっ?なんで?」


「なんでって、あたしさえいればいいじゃない。あたしもあなたさえいれば何もいらないわ」


「そんな、2人だけなんて危険だよ」


「危険なんてことないわ。この世界にあなたに勝てるものなんてないもの。お願いセーマ。2人でどこかに行きましょう」


そういうとユニはセーマに抱きついてきた。


「さあ、契りを交わしましょう」


そのセリフで再びスイッチが入ったセーマは、今度こそユニに入ろうとした。


だが


突然セーマは首を絞められそのまま後ろに仰け反らされた。

なにが起こったのか全くわからなかった。

驚いて後ろを振り向くセーマ。

そこにはひとりの少女の姿があった。



「なにやってるの、お・に・い・ちゃん?」



それはセーマに聞き覚えのある声であった。



「どうしてここに・・・」



目を丸くして驚くセーマ。

そこにいたのは、セーマの義妹、美羽みわであった。


そして彼女を見て目を丸くしているのがもうひとりいた、ユニである。



「テンマ・・・」



そう呟くユニ。


3人の間に重い沈黙が流れていた・・・





巨人は迷いなくセーマのいる地下の隔離部屋に向かった。


(楽しみですね。君の力がどこまで通用するか、もうすぐわかりますよ・・・)


巨人の操り主は巨人に適宜指示を与え、向かい来る衛兵たちをなぎ倒して進んでいた。


それを追いかけるジーク。


(あいつ、見かけ以上に素早い。どこで仕掛ける?)


走りながら対策を考えねばならない。


地下に向かっているところをみると、今ならやはりこう考えざろうえない。


(行き先はセーマ殿のところか)


ジークはセーマとの面識はないが、父親のイワンからそのひととなりをたっぷり聞かされていた。


機会があればじっくり話がしたいと思っていた相手だ。


そのセーマの隔離部屋の前が仕掛け場所になりそうだ。


(さて、ジーク、どう仕掛ける?)


ジークの頭にはすでにいくつかの作戦ができあがっていた・・・





(下でなんか起こってる!)


好奇心一杯でちょろちょろ王宮を走り回っているのは王太子のリチャードである。


スカーレットの部屋をスカーレット、エリザベスの隙をついて抜け出したのだ。


ジークがなかなか帰ってこないので、心配する2人の雰囲気を感じて、自分が確かめにいこうと思い立ったのだ。


リチャードは下に向かって階段を駆け下りていった・・・・





ところ変わってスカーレットの部屋。


2人が血相を変えてリチャードを捜している。


「どうしよう、姉さん。リチャードがいない!」


「落ち着いてスカーレット。部屋にいないなら、ジークを追って下に行ったのよ。そうとしか考えられないわ」


下は今、巨人の侵入で危険な状態である。

そんな中、リチャードがひとりでのこのこ歩き回るなどあってはならないことである。


スカーレット&エリザベス「すぐに追いかけましょう!」


普段はいがみ合っているくせに、いざとなると仲がいい2人。


そういうと2人は寝巻きのまま部屋を飛び出し、リチャードの後を追った。





「ここどこ?」


リチャードは勢いに任せて部屋を飛び出したが、普段行かない区画に紛れ込んで迷子になっていた。

いつもはジークがそばにいるから、迷うことなど無いのに・・・


7歳の男の子にとっては広すぎる王宮。

初めて踏み込めば大人でも迷子になる場所である以上それは仕方の無いことであった。


半べそを掻きながらあてもなく彷徨う。


ジークは下の階にいると思い、ひたすら階段を下に向かって下りていった。


そのうち、階段は終わり最下層に到着した。


いくつか部屋があり廊下を彷徨った。


「ジーク、どこ?」


呼んでみるも返事はない。


泣きそうにあるのを必死に堪えるリチャード。


その時、廊下の反対側からドカドカと足音がする。


誰か来たのだろう。


もしかしたらジークかもしれない。


そんな淡い期待をしながら、そちらを見た。



「?」



リチャードは急にあたりがすべて暗くなって驚いた。


大きなものが目の前に急に現れたのだ。


通路を大きく塞ぐ巨大なもの。


その影がリチャードの周りを暗くしたのだ。


赤い眼が怪しく光る。


猛烈な恐怖がリチャードを襲う。


泣き出すリチャード。


彼の目の前に現れたのは



赤い単眼の巨人であった・・・




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