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異世界征服物語  作者: COCO
第二章 中央編
20/23

#20 式典

ホテルに荷を降ろし、すぐに会場入りする一行。

そこには国王アーサー以下、国の重鎮たちが、英雄セーマを待ち受けていた。

主役のセーマの登場に割れんばかりの拍手が起こる。

そして、お定まりの国王の挨拶、セーマの紹介が行われた。


セーマのこれまでの活躍はみんな知っている。

会場のみんながセーマを受け入れてくれたようだった、彼女が挨拶するまでは・・・


会場は歓談の時間帯となった。

会場の有力者がセーマに集まる。

実力者であるイワンがセーマのそばにいるため、イワンと面識のある者たちは集まりやすかった。

ここに来るまでは色々な噂があって、みんな及び腰であったが、それが杞憂であったことがわかるとどんどんひとが集まった。

当然、会場の美女たちも黙っていない。

少しずつセーマの周りに集まりだした。


「ブー」


ブーたれるのはシルビアである。


「なにブーたれてるのよ、シルビア」


「もー、心配じゃないのグロリアちゃん。セーマさまが誰かに取られちゃうかもよ?」


「大丈夫よ。セーマさまがあたしを裏切るなんてありえないわ」


自信満々のグロリア。


「その割にはさっきからちらちらセーマさまをみていらっしゃるわね」


そういうとシルビアは、スタスタとセーマのところに歩いていった。


「ちょ、待ってシルビア」


その後を追うグロリア。


シルビアはセーマの後ろにつくと、セーマの尻を指でつついて合図した。


それに気づくセーマ。


シルビアはセーマにメモをそっと渡し、耳元で囁いた。


「これあたしのルームナンバーです。今晩もお世話させて下さいね」


同じくグロリアもメモを手渡す。


終わると周りの女性陣の中にすっと溶け込む2人。


さすがにわきまえている。


そんなセーマをじっと見つめる娘がいた。


スカーレットである。


シルビア&グロリアのように上手に立ち回れるわけが無い。


ストローでジュースでブクブクやりながら、ムスッと膨れている。


(もう、やっぱり女性にだらしないんだから!)


スカーレットはこのセーマに対する気持ちがなんなのかいまだに分からずにいた。


あるはずも無い記憶、だが彼女にはたしかに現実に起こったことなのだ。

そして彼を初めて見たときのドキドキ感、なぜか以前どこかで感じたことのあるものなのだ。


(どうして思い出せないんだろう・・・)


そんなことを考えていると、突然、前側から両足を抱きしめられた。


(えっ?)


驚いて下をみるスカーレット。


「ねーさま!おかえりなさい!」


それは彼女の弟で王太子であるリチャードであった。


「リチャード!どうしてここに!」


「父上がね、ねーさまに会ってきなさいって!」


そういうとリチャードは顔をスカーレットに擦り付けてきた。


まだ7歳、母親に甘えたい年頃である。


スカーレットが父である国王アーサーを見ると、目が合った。

その目は優しく、こちらを見つめていた。


(リチャードを甘えさせてやってくれ)


その目はそうスカーレットに語りかけていた。


(しかし、ということは守役の奴がこのあたりにいるとゆうことか)


スカーレットがそう考えた途端、聞き覚えのある声がした。


「リチャードさま、こちらでしたか!」


姿を現したのは、守役のジークフリードである。


イワンの長男で20歳。

現在リチャードの守役として出仕している。

優男であるが、幼少時よりイワンに鍛えられており、実力はある。


「あっ、スカーレットさま、お久しぶりです」


相変わらず、儀礼的な挨拶。

幼馴染であるが、イワンに身分の違いを徹底的に叩き込まれているため、決して歩み寄ってこない。

それがいつのころからかスカーレットをイライラさせていた。


「お久しぶりね、ジーク」


それだけいうと、膨れっ面でプイッと顔をそむけるスカーレット。


それで会話は終了。


ジークとしてももっと色々話したいところであるが、スカーレットとは最近いつもこんな感じなのである。


以前はもっと自然に話せたのに・・・


「相変わらずスカーレットにいじめられてるのね、ジーク」


そういってジークを後ろから抱きしめる女性がいた。


王位継承権第二位のエリザベスである。


「こんなめんどくさい女ほっといて、こっちに来なさいよ」


そういうとジークの右手を引き、自分たちのテーブルへと連れて行こうとした。


するとスカーレットはジークの左手を掴み、それを阻止した。


「ジークは役目中よ。勝手なことしないで」


怒るスカーレット。


「あら~、お久しぶりね。スカーレット。ずいぶん長い任務だったわね。経費がかさんで大変ってみんないってたわよ~~」


今回のスカーレット隊の遠征費用は、任務の内容を考えるとかかりすぎであった。

その点を突いてこられると痛い。

途中エリザベズ陣営からの横槍もあったが、証拠がないので反論もできない。


「あなたがいなくて(からかう相手がいなくて)寂しかったのよ~。あなたも一緒にこっちに来なさいよ。前みたいに3人で楽しくやりましょうよ」


「結構です。リチャードがいますので。行きたければ2人で行って下さい。ジーク、役目を放って姉さんと2人でどこへなりと行ってください!リチャードにはわたしが付いてますので御心配無く!」


「頼もしい言葉ね。さすが我が妹!ジーク、さあ行きましょう!」


腹は違えど、王女姉妹である。


そのケンカに巻き込まれてはジークもやりようがなかった。


「相変わらずの優男だな、ジーク。エリザベス、こんなやつのどこがいいんだ?」


そういうのはサルマンの三男、アントンである。


歳はジークと同じ20歳で、3人とは幼馴染でもある。

しかしジークと違い甘やかされて育ったせいか、実力がないくせに生意気である。

そのせいかエリザベス、スカーレットによく思われてない。

ちなみにジークとは同じ学校で同級生であったが、学業も武芸もジークに一度も勝ったことがなかった。


「そんなの決まってるでしょ!顔よ、顔!」


エリザベスが答える。


ジークはイワンの若い頃そっくりといわれるほどの美形であった。


「ジーク、お前ってホント要領悪いよな。見ていてイライラするわ・・・」


少々酔っ払っているのかアントンがジークに絡んできた。


「なにジークに絡んでるのよ、なんの役目にも付いてない人がいう言葉?」


エリザベスがアントンをたしなめつつ、ジークの手を引こうとしたとき、イワンが現れた。


「あら、イワンお久しぶり」


「お久しぶりです。エリザベス殿下。申し訳ありませんが息子は役目中です。戻してやってくれませんかな?時間が空いたときに此度の埋め合わせはさせますので」


「わかってるわよイワン。久しぶりに妹と会ったから、ちょっと昔みたいに遊んでみたくなっただけよ」


エリザベスの了解を得るとイワンはジークに向き直り叱責を始めた。


「いかに殿下のお誘いとはいえ、役目を放り出すとは何事だ!」


「はっ、申し訳ありません」


「さっさと役目に戻れ」


そういわれるとすぐさまリチャードの元に戻るジーク。


「相変わらず甘いな、貴様たちは」


そう言って現れたのはサルマンであった。





「おやおや、これはアーレンベルク伯」


「ひさしぶりだな、モロゾフ公」


イワン・モロゾフ公爵、これがイワンのフルネームと爵位である。


「伯よ、またケンカを売りに来たのかな?」


ニヤッと笑うイワン。


「いや、残念だがそれは今度だ。今日の目的はあれだ」


そういってひとりの女性を指差した。


その先にいたのはユニであった。





ユニは今日も朝から仕事で出ており、この時間になってようやく来れたのだ。


しかし、ついにセーマと会えるのである。


会場に入り、すぐ彼を捜すユニ。


会場で一際、人だかりができている一角がある。


その中心に見覚えのある姿が・・・


(セーマ・・・)


見た瞬間、涙がこぼれる・・・


しかし、ようやく会えたのも束の間、ユニも会場の男性陣に取り囲まれてしまった・・・





「おい、聖女ユニが来たってよ!」

「どこどこ?」

「あそこだよ、ああ、もう人だかりになってる」

「いってみようぜ」


セーマの周りのマスコミ関係者、会場スタッフらは、ユニが現れると一斉にそちらに移動して行った。


「聖女?ユニ?」


セーマは何だと思い、その方向を見た。

その姿、どこかで見たような気がする。

しかし、思い出せない。


(まあ、いいか。今はそれどころじゃない。集まった女性たちの相手をしなければ)


そう思うと周囲に集まった女性陣に笑顔を振りまきだした。






(全く、ジークもセーマ殿もなによ。女性に会うとすぐデレデレしちゃって。どうして男の人はみんなああなんだろう・・・)


そう考えながら、会場をフラフラしているスカーレット。

すでにリチャードの守役はジークが引き継いでいる。


そんな中、ユニをチラッ見かけた。


その瞬間、また既視感に襲われる・・・


(あの金髪のひと、どこかで見たことがある・・・)


以前激しい既視感に襲われた際(#17)に、脳裏に蘇った女性が、ユニにソックリなのである。


(一体どうしてちゃったの、わたし?)


セーマと会って以来、おかしくなりつつある自分に不安を覚えるスカーレットだった。





サルマンは、再チャレンジとばかりにユニに近づいた。

今回は前回のように、周りに気を使い消極的に接するようなまねはしない。

ユニの周りにいる男たちはみんなユニが狙いなのである。

そこまで頑張る気がないやつらは、今この場に来ていない。

(すでに獲得競争から降りているということである)

なので、遠慮なく2大勢力筆頭貴族としての力を使い、ユニの目の前に立ちはだかった。

他の男たちはサルマンが相手では引かざろうえなかった。


「聖女ユニよ、今日もご機嫌麗しゅう・・・」


などとお決まりのセリフを連発するサルマン。


しかし、ユニは彼など気にも留めてなかった。


ユニの視線の先にはセーマしかいなかった。


(セーマ・・・)


すぐにでも彼の元に行きたいのだが、男共が行く手を遮る。


お得意の「チャーム」※を使って、みんな手なずけてしまうという手もあるが、あれは諸刃の剣であり、場合によっては、男共がユニを取り合って大騒ぎになりかねない。


※ユニは笑顔一発で人の心を捉える能力を持っている。ただし、稀に効かない人もいる。


仕方なくセーマを遠目で見つめるユニ。


サルマンがなんか話しているが全く聞いてない。


セーマがいる・・・


見ているだけで涙が出てくる・・・


セーマがしゃべってる・・・女性と・・・


(ダメ、あたし以外のと話しちゃダメ・・・)


セーマを女たちが取り囲んでいる・・・


(ダメ、あたし以外がセーマに近づいちゃダメ・・・)


セーマが女たちと楽しそうに盛り上がっている・・・


(あたし以外と楽しそうにしちゃダメ~~~)


ユニの心に心理的ストレスが積み重なっていく。


だんだん顔がヒクついてくる。


しかし、それを顔に出さないように必死に堪えるユニ。


そのストレスがセーマに向かいだす・・・


ちょうどその時、横にいたクレメンスがユニに耳打ちをした。


「どうです?やつは?やはりなにか忌まわしき者の類ですかな?」


「それについては、ご挨拶の席で・・・」


ユニの顔は笑ってない・・・・



そこから少し離れたセーマの席。

相変わらず女性陣に取り囲まれている・・・

しかし、セーマもユニが気になっていた。


横目でユニを観察してみると・・・


(かなりかわいいな・・・。小柄だけどスタイルもいい・・・)


そしてユニが明らかにこちらをチラチラ見ているのがわかる・・・


彼女が自分に興味があるのは明白であった。


しばらくすると、ユニが会場の中央ステージに呼ばれた。

これから、一言挨拶するとのこと。


壇上に上がるユニ。


その姿に会場の男性陣から、うめき声があがる。


その立ち居振る舞いだけで会場中を魅了するユニ。


念の為、「チャーム」も振りまく・・・


もはや会場はユニの支配下といってよかった・・・


「みなさま、わたくし、このたびゴンドワナから来ましたユニと申します」


「本日は、英雄とも救世主とも呼ばれているセーマさまにお会いできて光栄に思っております・・・」


「そして、突然ですが、わたしは今からみなさんに重大な発表をしなければなりません、それは・・・」


ユニの顔は少しヒクつき、笑っていなかった・・・




「その男、魔王です。いますぐ捕らえて下さい」




和やかだった会場が、一瞬で凍りついていた・・・


登場人物紹介


ジークフリート・モロゾフ

T180 20歳

イワンの長男

現在、王太子リチャードの守役として出仕している。

父親に似て真面目でやさしい性格である。

加えて非常にハンサムである。

幼少時より、モロゾフ家の次期当主として厳しく育てられており、武芸、学業、ともに掛け値なしで優れている。

王太子の守役として抜擢されたのは、彼が名門貴族であるからではなく、実力があるからである。


アントン・アーレンベルク

T178 20歳

サルマンの三男

エリザベスの従兄

ジークフリートの幼少時よりのライバル(と、彼は思っている)

同い年のため常に彼と比較されてきた。

全てにおいて彼に一歩後れを取り、今まで一度も勝ったことが無い。

そのためか性格が卑屈になり、ひねくれたところがある。

彼が甘やかされて育ったため、ジークに一度も勝てなかったと周りの者は思っているが、実際は、常に必死に努力していた。

打倒モロゾフを掲げる家内で、甘やかされるわけがなった。

(特にゴードンが目を光らせており、サボるなどありえなかった)

生意気そうにみえる態度、言動も、頑張っても勝てなかったことを隠すためである。

(そのことは、ジークもエリザベスも知っている。が、彼のために敢えて騙されている振りをしている)





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