魔法の授業
すいません。遅くなりました。
夏休みは、課題やらクラブや遊びやらとやりたいこととやらなければいけないことが多くてほんと困りますw
これからは今までどおりに出すと思うので、よろしくお願いします!
「まずは基本の属性から説明していきましょう。全員が持っている無属性…そのままの魔力のことですね。そして、基本六属性と呼ばれる火、水、風、土、闇、光。そしてイリヤ様が持っていらっしゃる特殊属性、又は特殊魔法と呼ばれる召喚、時空ですね。大体、人族は1、2属性を持っていますね。この中に、無属性は数えません。…私は、火、水、風、光の四属性を持っています。そして、特殊属性を持つ方は総じて魔力が高く、ほかの属性を持たなかったそうです。ですので…………………が……です……」
『ますた~あそぼ~』
『…ローズ、今は勉強中だから静かにしといてくれ…。後で召喚してやるから。」
『む~わかった…ぜったいにあとで遊んでね?』
『ああ。分かってる。』
俺がカールの話を聞いていると、ローズは声を掛けてきた。少し不機嫌そうだが、一応俺の言っていることを理解してくれたのか素直にいうことを聞いてくれた。
まあ、まずはロースが話していることに説明しよう。朝起きるときに声が聞こえてきて、最初は誰だ!となったんだけど。それがロザリーの声だとわかって、能力の説明を見てみると、念話というものがあったんだ。これは自分の作った魔物と意思疎通のためにあるもののようで、頭の中で話せるというものだ。これがなくても鳴き声で感情的なものは何となく理解できていたんだけどな…まあ、あったほうがいいから嬉しいけどね。
そして次は現状の説明だ。今、カールから魔法の授業を受けているところだ。
どうして授業を受けることになっているのかというと、俺が魔力操作ができることを聞いた父さんがカールに俺に授業をしてくれるように頼んでくれたからだ。
「……………イリヤ様!何か上の空のような感じでしたが、話を聞いていましたか?」
「う、うん…。大丈夫だよ!」
「では、今説明したことをもう一度言ってもらえますか?」
「わかった…」
カールが、疑惑の目を向けてきて、カールの言葉を繰り返すように言ってきたので繰り返す。…と言っても本当は、そこまで聞いていなかったが、知識にそれぐらいのことは入っているので、簡単にまとめて言おうと思う。
まずは、全員が持っている無属性、基本六属性の火、水、風、土、光、闇。そして、特殊属性、又は特殊魔法と呼ばれる召喚、時空で持っている者はほとんどいない。次に、人族は大抵一属性で持っていない人も少なくない。エルフなら二属性は当然のように持っていて、獣人は持っていないことが多い。
そして特殊属性を持っている者はその一つしかもっていなかったので、特殊属性を二つとも持っているのは俺が初めてだということ。魔法の等級が、初級、中級、上級、超級、神級と分けられ、神級は神話などで出てくるぐらいで使える者はいない。そして、基本属性を持つ者は持っていない属性の魔法も威力は格段に落ちるが使うことができる。特殊属性を持つ者はその属性しか使えない(無属性は含まれない)。次は魔力について。ほとんどはは初級魔法を数発撃てればいい方で、宮廷魔術師は上級を扱える。
そして、魔力は使えば増えていく。増える最大量はその人の資質に作用される。
魔法の発動は、詠唱型、魔法陣型があり、無詠唱はイメージが強ければできるので、そこまで貴重ではない(初級の魔法では)。…まぁ威力が落ちたり、発動しないことだって少なくない。しかし、強いイメージをしながらの魔力操作は、ほとんどの人が遅くなるので詠唱を使う。魔法陣型は魔法陣に魔力を流して発動する魔法。これは失われた技術で遺跡などで見つけられたものを使うしかない。初級などは開発されていたりするが、好んで使う者はほとんどいない。
「…ほんとに聞いてたんですね…。というか、よく一度で今のを覚えましたね…。」
「え!?いや、魔法を早く使ってみたかったから頑張ったんだよ!」
「…まあいいです。では、実技に移りましょうか。」
カールはメガネを一度押し上げてから話し始めた。
「といってもできるかもしれませんが、まずは魔力操作です。魔力は空気中の魔素を取り込み心臓で変換し体の中に貯められることがわかっています。ですので、魔力操作は心臓から魔力を取り出して動かすイメージで動かしてください。この時、どうやって、何が、どうなるのか。魔法では、その過程が、起こす事象に近いほど、魔力の消費が減り、威力が上がります。そして、結果のイメージが不鮮明だと、魔力消費が増えて威力が下がったり、魔法が発動しないことも起こりうります。
では、魔力を右手に動かしてください。」
「え、いきなり?」
「ええ。やり方はお教えしましたので、後はやってみるだけです。」
俺は言われた通り、心臓のとこにある、もやのようなものを管を通すように右手に動かすと、結構すんなり動かすことができた。
「やった。できてるよね!
「………」
「あ、あれ?なんかおかしいの?」
カールの無言の視線が俺を刺した。その反応は怖い…。
「はあ…。いえ昨日も感じましたが信じられないですね…。本当のこと言わせてもらいますと、今教えたことだけでできるものではないんですよ?それも、そんなスムーズに…。」
「じゃ、じゃあ本当はどうやるの?」
「後ろから私が、魔力を動かすのを魔力で支援するんですよ?それを…」
「え、えっと次、次は何するの?」
まだカールがぶつぶつ言っているので、誤魔化すためにも先を促した。
「はあ…そうですね。次は魔力操作の応用でもあるんですけど、身体強化です。身体強化は魔力を体中に行き渡らせるように、強化のイメージをしながら動かしてください。この魔法は魔力の消費が少なく戦士もよく使う魔法です。」
細胞に魔力を流すようなイメージにしようと思ったが、さすがに魔力消費が多くなりすぎるだろうし、管をイメージするにも血管がどことつながっているかなんて知らないからイメージしにくい。だからおおざっぱに細胞をイメージして、浸透していくように魔力を流す。
すると、すっと体が軽くなったように感じられた。
「……もういいです。イリヤ様はそういう方です。」
「え、なんで?だって魔力を体に行き渡らせるだけでしょ?魔力の操作ができる人なら、できるんじゃないの?」
「…いえ…言うだけなら簡単だけどやるのは難しいことなんですよ?まあ、早くできる人ならいますよ?ですけど一度目でできるものではないんです。一度目は自分でやってみて、それができないから教えてる人がやり方のイメージを教えて、それからやっとできるようになるものなんです。」
「えっと、それは、ほら!僕が魔力操作ができたから!」
「いえ、だから…いや、やっぱりいいです。」
カールは、もう考えることを諦めたようだ。
「身体強化なんですが、身体強化は身体能力を1~2倍強化できるものなんです。それ以上の強化はすることはできるのですが、ほとんどの人は体を壊す諸刃の剣となるんです。それでですね、この魔法は元の身体能力が高いほうが、強化後の身体能力が跳ね上がりますので、イリヤ様は体ができるまでこの魔法は使わないようにしてください。」
「ねえ。今のを聞いてて思ったんだけど、これって魔法使いにまで攻撃が及んだ時のための対策なんでしょう?…でもこの魔法は前衛でも使われるなら、どう頑張っても対抗なんてできないんじゃないの?」
だってどう考えても元の身体能力は前衛の戦士の方が高い。それなのに前衛の攻撃が及んだ時の対策として覚えておいても、身体能力の差が埋まらないだろう。
「…その歳でそこに気付くのはさすがです。…そうですね…そのことを話す前にイリヤ様がなるであろう魔法剣士のことを話しましょう。魔法剣士は簡単に言うと、魔法と剣を交えて戦うもののことを総称して言います。剣以外を使っても魔法剣士というんです。
これだけを聞くと、強いと思うかもしれませんが、それは違います。魔法と剣を戦いの中で併用するのは、相当難しいことなんです。そして、両方のことを訓練すると両方とも中途半端になってしまうんです。ですので、強い魔法剣士はほんの一握りなんです。」
「えっそれじゃ僕も片方を選んさほうがいいんじゃないの?」
「…いえ、イリヤ様は昨日の武器の適正を覚えていますか?」
「うん。当然!」
「その武器の適正を視られるのは王族のみです。そして、魔法使いの素質がある者は多くなく需要が高いので、仕えれば生活が保障されます。そのため、魔法の素質があると分かればその時点でほとんどの人が魔法使いを目指すんです。そして大人になってから才能があるかもわからない武器を使ったところで、もう遅いのです。しかし、イリヤ様はその点、どの武器に才能があるかもわかっており、優秀な指導者も付きます。」
そのおかげで、弱くなることはないと断言された。こんなところでも、王族が周りより恵まれているとはびっくりだ。まぁだからと言って絶対強くなれるわけではないだろうけど…。
「まあ少し話がそれましたが、魔法と剣を両立することは困難を極めます。なので、剣士の身体強化の倍率がそこまで高くないんです。これがその理由です。」
「そうだったんだ…」
俺は魔法と剣を両立すればいいんじゃないかと思っていたが、そう簡単なことではないようだ。特に、一般人にとっては…。まぁ考えてみれば両方を教えてくれる師匠を見つけることもそう簡単なことではないだろう。
「では今日は最後に魔力の放出をしましょう。手から…まあやりやすい場所であればどこでもいいですが…そこから、今まで扱っていた魔力を外に出してください。」
俺は言われた通り、手から出そうとしてみるがうまくいかなかった。
「出ないんだけど…」
それを聞いて、カールは安堵の表情を浮かべた。俺が見ているのに気が付いたのか、カールはあからさまに咳ばらいをして、
「…イリヤ様が今まで一度で成功させてきたので、やっと普通の人のようなことになったなと思いまして…」
カールがそう弁解してきた。俺はその言葉に苦笑を浮かべ、普通の子供のようにカールにやり方を聞いたりして教えてもらいながら何度かやると、体から何かが抜けていくのを感じられるようになった。
このことで俺は身体強化と魔力操作が一度目でできたのは前世が関係しているだろうなと推測していた。まあそれが当たっているのかはわからいが…。
「では、今日の授業はここまでです。それで、イリヤ様に宿題といいますか、できるだけやっておいてもらいたいのが、魔力の放出です。これが、魔力の増加につながりますので。…まあ今のままでもイリヤ様の魔力量は私よりも多いので相当なんですが…。」
今日の授業はこれで終わりらしい。俺は魔力が多いのでそこまで疲れてはいない。そう、カールが言ったように俺は、この時点で宮廷魔術師長の魔力量を超えているのだ。といっても、頑張ったところで、技術の差は埋まらないので勝てないが…。
俺はカールに礼をして部屋に戻って、魔力の放出のふりをしてローズを召喚して思う存分遊んでやった。
夜、御飯を食べるときに教えてもらった魔法の話をした。
「ほんとイリヤにはびっくりさせられたよ。まさか一日で魔法の基礎ができるとはなぁ…」
「ええ。ほんとにびっくりしたわ。」
「一日でできるなんてすごいわね~。将来が怖いわ~」
「さすがね。ほんと将来が楽しみですわね。」
父さんと母さん、ローラ、シャルが俺のことを楽しそうに話していた。権力の争いとかでぎすぎすしたような家族でなくてほんとよかったと思う。
「一日でできるようになるなんて凄いわね!」
「ロザリーはもう魔法が使えるんでしょ?そのほうが凄いよ。」
俺は五歳になったロザリーと話していた。ロザリーは、治療系の魔法がすごく得意だ。治療系の魔法は難しく五歳で使えるのは相当才能があるのだ。
「僕は早く魔法が使ってみたいなぁ。」
「イリヤにはまだ早いわよ!私だって基礎をいっぱい練習したんだから!」
「でも魔法ってかっこいいんじゃん!早く使いたいなぁ。」
中身高校生の奴が何を言っているんだとなるかもしれないが、やっぱり魔法ってのは憧れだと思うんだ。
その後、ロザリーと一緒に練習する約束したり、父さんが早くも俺が将来どんなことができるようになるのか語りだしたり、母さんたちが少し酔って抱きついて撫でてきたりといろいろあったが、楽しい夕食を過ごした。




