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魔力の儀

俺は今、馬車に揺られているところだ。

どういう事かというと、俺は今日で三歳になったので『魔力の儀』のために教会に行くのだ。


俺が三歳になるまでにあった事は、まずはやっぱり、ロザリーが俺のところによく遊びに来るようになったことだ。ロザリーは『魔力の儀』で光と水に適正があり、魔力量は中級に値していた。そのため、毎日魔法の練習が開始されたようだ。

そして、魔法の練習と座学などが終わったあと、俺の部屋に来て、魔法を見せてくれたり、色々な話を聞かせてくれるようになった。


他には、上の兄弟も遊びに来るようになったことだ。まぁその上の兄弟については、またの機会に紹介するとしよう。


後は、俺が結構しっかり話すようになったり、立てるようになった(前から出来てはいたが)事ぐらいだ。


「イリヤ。教会に着いたわよ。」

「わかった。」


この世界で普及している宗教はエイリーン聖国が信仰している、主神アイテルを頂点とした宗教だ。他にも、神はいるが、その分野の人たちが信仰しているだけなので、宗教としては確立されていない。


教会は、全体的に白でできていて、塔と家が組み合わされたような形をしている。

扉を開け、中に入る。中はイメージ通りの教会だ。長椅子がいくつも並べられ、周りにいつくも像が並べられ、中央の奥に、ひときわ大きい像が建てられている。周りの像が、各分野の神で、一番奥が主神の像だろう。その像は、俺が天界で会った神様なのだろうが、像の方がかっこいい爺さんだ。


「お久しぶりでございます。アリアーナ様」

「久しぶりね。アズ爺。それと、紹介するわ。この子が私の子よ」

「はじめまして、イリヤです。きょうはよろしくおねがいします。」

「存じておりますとも。私はここの神父をしています、アズール・アルミスとです。それにしても、この年でしっかりしていますなぁ。」

「そうでしょ?この子は絶対に天才よ!」

「ははっそうですなぁ」


奥から出てきた壮年の男性はここの神父のようだ。アズ爺は、俺の母さんが子供の頃からお世話になっているらしく両方とも柔らかい笑みを浮かべている。そしてまだ50代でも通用しそうな見た目と違い、70を超えてるらしい。

 


「それでは早速行きましょうか。」

「ええ。そうね」


そういい、アズ爺は奥の扉に向かっていくので、俺たちもそれについて行く。

教会の奥の扉をくぐり、階段を降りていく。降りたそこには、広めの部屋があり、その中央の床には大きな魔法陣が書かれてあった。


「では、イリヤ様はその魔法陣の中央にたってください。」

「わかりました。」


俺はアズ爺にそう言われ中央に向かって行き、地面に書かれた魔法陣の中央に立った。


「始めてよろしいですね?アリアーナ様」

「ええ。……イリヤ少し違和感みたいなのを覚えるかもしれないけど我慢してね?」

「うん。大丈夫。」

「…では、始めます…」


アズ爺が確認すると、母さんは少しだけ心配そうだ。

 アズ爺は、魔法陣に手をつき、目を瞑って集中する。すると、魔方陣が白い光を放ち始めた。白い光は明滅し、だんだんと輝きが強くなっていく。それにつれて、胸のあたりに違和感を感じ始めた。


「グッ!!」


だが、それは違和感と呼べるレべルを超え、我慢できない程の痛みとなり、俺は(うずく)まる。


「イリヤ!!」


母さんが俺の声を聞き近づこうとするが、邪魔をしてはいけないことを思い出したのか、魔法陣の前で立ち止まる。その場で何もできないことを悔しそうに唇を噛み、祈るように手を組み合わせ願う様に俺の方を見ている。

もしかしたら痛みを感じるのは普通ではないのかもしれない。いや普通ではないのだろう。

だんだんと痛みが増していき、魔方陣がひときわ強く輝いたと同時に、胸で何かが外れた感覚の後、俺の体から強大な魔力が吹き出した。

アズ爺は、魔力の奔流に呑まれ壁まで吹き飛ばされ、母さんは、瞬時に魔力強化で踏みとどまる。


俺は少し倦怠感を感じたので、このままでは危ないと感じ、魔力の制御を試みる。すると、感覚的にどうすればいいのか理解出来たので、魔力を俺の体の中に留めようとすると、吹き出ていた魔力が止まった……感覚的に理解出来たのは前世で無意識に制御していたからなのかもしれないな……。


「イリヤ!!大丈夫!?」


 母さんが魔力の奔流が収まると同時に、駆け寄ってきて俺を抱き上げる。


「全然大丈夫だよ。」


 母さんは俺の体を撫で回した後、大丈夫だと分かったのか俺を下ろしてくれた。

 本当に胸に感じていた痛みも、何かが外れる感覚とともにまるで何事もなかったかのように消えたので、俺は嘘を言っていない。

 だが、それでも母さんは心配なのだろう。俺の頭を撫でながらずっと心配そうにしている。


「今の魔力は凄かったですねぇ。何十年と神父をやっていますが、こんな事は初めてです。」


アズ爺は、吹き飛ばされたのにピンピンしながら近づいてくる。だが、表情は驚きに包まれていて、少し冷や汗まで掻いていそうだ。


「アズ爺……ごめんなさい。」

「いえいえ。イリヤ様は悪くありませんよ。」

「でも、なんであんな事になったのかしら……」

「それは私にも……多分、前代未聞でしょうからな。」


母さんとアズ爺は、さっきの事を話し合っているが、俺は他の事を考えていた

それは、俺の能力についてだ。魔力が解放されたと同時に、俺の頭に知識が流れ込んできた。

その能力の名は『召喚神術』自分が想像した魔物を創造し召喚するっていうチートな能力だった。ちょっとした制約があるみたいだが、それを考慮してもチートだ。

まだする事があるので、詳細はまた後にしよう。


「この話は今はやめておきましょう……考えても分からないことだわ。イリヤの体には何もおかしいところはないようだし……適正と魔力量を調べましょう。」

「そうですな。少しお待ちください。」


そう言い、アズ爺は奥の部屋から水晶玉を持ってくる。


「イリヤ様。この水晶玉に手を触れてください。」

「うん。」


俺は少しワクワクしていた。確かにさっきの能力は凄いが、どうせなら炎の玉とか風の刃とか出してみたい!俺はそんなことを考えながら、水晶玉に触れる。

すると、青く強い光を発した。


「なっ!?こ、これは!?」

「え!?こんな色みたことない!」

「もしかして魔力がないとかじゃないよね?」

「い、いえ。そうではなくて逆です。これは神級です。」

「え!?うそっ!そんなの……」

「信じられないのは分かります。私も伝承や神話などでしか聞いたことがないので……」

「そ、それってすごいの?」

「ええ!イリヤ!あなたは本当に凄いわ!」


俺は知らないふりをしたが、本当は知っている。この世界で魔力量は初級、中級、上級、王級 、神級と分けられる。ほとんどの人が初級にも満たない。中級もあれば魔法使いとして一人前だ。上級にもなれば、宮廷魔術師として国に迎え入れられる。王級は世界も少数しか存在していない。神級は伝承では勇者がそうだったと伝わっているぐらいなので、これだけ驚かれている訳だ。

 一応言っておくと、魔力の儀で測った時から王級の魔力量というのもいないらしい。


そして推奨は青く光っていたのが消え、紫になり、青白く光り消える。


「え!?」


俺はそれを見て驚いた。知っていない振りを忘れるほどに…。ついでにちょっと落胆した。何故かというと……


「イリヤ!これは凄いわ!特殊属性が二つともよ!」

「こ、これはまた……世界初の特殊属性二つ持ちですか……」

「それってすごいんだよね?」

「ええ、ええ!本当に凄いわ!」


そう、特殊属性と呼ばれる時空間属性と召喚属性の二つだったからだ……。この二つは希少属性ともいわれ百万人に1人と言われている。そして2つ、両方を持っているのは、伝承でも見られていない。だから俺が世界初なわけだ。俺が驚いたのはこういうことだ。

そして、俺が落胆したのは、炎の玉とかそういうザ・魔法ってのがつかえないからだ!どうせなら派手な攻撃とかそういうのしてみたかったのに……。


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